人生の節目に使われることが多い言葉「門出」。春を迎える卒業の季節には、とくに耳にする機会が増える言葉です。今回はその「門出」について、由来から使い方、類語や英語表現まで詳しく紹介していきます。同じ意味で使われやすい「船出」との違いも解説します。
「門出」とは?
「門出」の意味は”旅立ち・新生活の始まり”
「門出」の意味は、“旅立ち・新生活の始まり”です。どちらの意味も、新たな道に進むことへの前向きな気持ちが込められています。読み方は「かどで」です。昔は「かどいで」とも読んでいました。
「門出」の由来は”門を出る”
「門出」の由来は、字のごとく「門を出る」から来ています。昔は今と違って、旅に出ても無事に帰ってこれるかの保証はありませんでした。「門」、つまり今でいう「家の玄関」を出て旅に出かけるということは、かなりの強い意志を持っていたはずです。この状況が、人生の節目となるような大事な場面で使われるようになった由来とも言えます。
「門出」と「首途」は同じ意味
「門出」は「首途」(かどで)と表記もできます。「首」は「いちばん始め」、「途」は単に「旅の道すじ」ではなく「清められた道」の意味合いがあり、「門出」よりも神聖なニュアンスが込められています。現在、「首途」で使われることはほとんどありません。
「門出」の使い方と例文とは?
「門出」は結婚式などのめでたい席で使う
「門出」は、結婚式や卒業式などめでたい席で使われることが多いです。ライフステージの変化や社会人をむかえた方などに応援の意味も込めて使います。ビジネスシーンでは、栄転や転職による送別会などで、お祝いや激励の気持ちを込めて使うこともあります。
「門出」を使った例文
「門出」を使った文章となると「門出を祝う」が出てきやすいですが、他にも「人生の門出」や「門出を送る」、「門出にのぞんで」などさまざまな表現ができます。「門出」自体で意味が通じるため、どの品詞でも組み合わせやすい特徴があります。
- 「大学卒業という門出を祝って、今夜は家族で食事に出かけよう」
- 「人生初めての門出に立ち、少し緊張している」
- 「ついに大切な娘の門出を見送る日がきた」
- 「大事な門出に立ち会う経験は、これが初めてだ」
- 「新たな門出にのぞむ息子を、これからもどうぞ宜しくお願いいたします」
「門出」の類語や類似表現とは?
「門出」の類語は”鹿島だち・出立”
「門出」の類語は、「鹿島だち」(かしまだち)と「出立」(しゅったつ)です。
「鹿島だち」は「旅行に出発すること」という意味があり、「門出」の1つ目の意味「旅立ち」と同じように使います。「新生活を始める」のような意味合いはありません。
「出立」は「旅に出発すること」と「物事を始めること」という意味があり、「門出」と非常に似ています。異なる点は、“始めること”が“新生活”、または“新しいこと”とは限らないということです。
類似表現「船出」はビジネスシーンで使う
「船出」(ふなで)も「門出」と似た意味を持つ言葉です。「船出」には「港から船が出ること」、そして比喩的表現の「新生活を始めること」という意味があり、「門出」のような「自分の家を出て旅に出ること」のような意味合いはありません。「門出」よりも堅い表現なので、結婚式のような場面ではなくビジネスの場で使われることが多いです。
「門出」の英語表現とは?
「門出」の英語表現は”new 〇〇”と複数ある
「門出」の英語表現はいくつかあります。今回はその中でも聞き慣れた単語と、“新しい”を意味する”new”を使った表現を紹介します。表現したい内容に合わせて使い分けましょう。
- “始まり“を意味する”beginning”を使う表現
「new beginning」
- “出発”を意味する” departure”を使う表現
「new departure」
- “旅行”や“人生の道すじ”を意味する”journey”を使う表現
「new journey」
「門出」(new 〇〇)の例文
- 「彼らの門出を祝福しましょう!」
“Let’s congrats on their new beginning!”
- 「私の門出を祝ってくれてありがとう!」
“Thank you for celebrating my new departure!”
- 「父の新たな門出に、乾杯!」
” A toast for my father new journey!”
まとめ
「門出」は、結婚式や卒業式などめでたい席でよく使われる言葉です。応援や激励の意味合いがあり、基本的に伝えた相手が嫌な思いをすることはありません。代表のあいさつや手紙などで使う機会があるので、使いこなせるようになっておくと便利です。ビジネスシーンでも使える言葉ですが、堅い表現を必要とする場面なら「門出」よりも「船出」を用いることをお勧めします。場の内容や雰囲気によって上手に使い分けましょう。