「大往生」の意味と語源とは?使い方と英語や類語・反対語も紹介

高齢社会にともない「大往生」という言葉が注目されています。理想的な死に方とされる「大往生」ですが、意味がはっきりしない人も多いのではないでしょうか?さらに「大往生」には何歳からという定義はあるのでしょうか?

この記事では「大往生」の意味や語源と使い方などを紹介します。あわせて英語・類語・反対語など、大往生にまつわる言葉も解説します。

「大往生」の意味と語源とは?

まずはじめに「大往生」の意味と語源を紹介します。

「大往生」の意味は「安らかに死ぬこと」

「大往生」(だいおうじょう)とは、「苦痛や心の乱れがなく、安らかに死ぬこと」という意味です。その意味から派生して「立派な死に方」「長生きして寿命を全うした」という意味でも使われています。

200万部を超えるベストセラーとなり、映画化もされた永六輔の著書『大往生』では、死ぬときに、生まれてきてよかった、生きてきてよかったと思いながら死ぬことを大往生というと、大往生の意味が述べられています。

いずれにしても、自分の人生に満足して肯定的に死を迎えることが「大往生」だといえます。

「大往生」の語源は仏教用語の「往生」

「大往生」のもとになっている言葉は「往生」という仏教用語です。仏教においては、浄土に生まれることを「極楽往生」といい、「安らかに死ぬこと」という意味も含みます。「極楽往生」という仏教用語を離れ、一般的に「安らかに死ぬこと」の意味で使われるときに「大往生」と表現されます。

「往生」には他にも複数の意味があります。「あきらめてじたばたしないこと」という意味で、自分の間違いを認めず抵抗する人に「往生しろ」「往生際が悪い」などと使ったり、「閉口すること」という意味で「あの件には往生した」などと使ったりします。

さらに「どうにもならない状態」という意味の「立ち往生」という言葉もあり、「安らかに死ぬこと」とは関係のない意味で「往生」は使われています。

しかし「大往生」には、「じたばたしないこと」や「閉口すること」という意味は含まれていません。

「大往生」の使い方と英語表現は?

次に「大往生」の使い方と英語表現を紹介します。

「大往生を遂げる」は「立派な死を遂げる」という意味で使われる

「大往生」は一般的に「大往生する/した」と使われますが、とくに「大往生を遂げる/遂げた」というときは、困難を乗り越えて最後は立派な死を遂げた、などといった意味合いを表現するときに使われます。

「大往生」はお悔やみの言葉としては不適

「大往生」は「安らかに死ぬこと」「天寿をまっとうすること」という意味であるため、亡くなった方の家族に対して使っても意味としては失礼ではないはずですが、お悔やみの言葉としては不適切な言葉だという認識が一般的です。

その理由は、葬儀などで親族が「大往生でした」と挨拶で述べることが多く、そのとき「もう十分長生きしたので満足です」といった謙遜の意味が含まれることがあるためです。つまり、遺族に「天寿を全うされましたね」とねぎらうつもりでかけた言葉が「十分長生きされたので仕方がないですね」という意味に捉えられてしまうおそれがあるのです。

「大往生」はさまざまな意味に取れる言葉であるため、遺族にかけるお悔やみの言葉としては使わないのがよいでしょう。

また、遺族の立場にあるときに「大往生でしたね」と言われると、どのような意味で言われたのかがわからず返答に困る人もいるようです。相手は悪い意味で使っていないため、お悔やみへのお礼の言葉として「ありがとうございます」と返すのがよいでしょう。

「大往生」は何歳から使えるという定義はない

「大往生」は「天寿を全うした」「寿命まで元気に長生きして亡くなった」という意味があるため、以前は80歳を超えると大往生と考えることが一般的でした。しかし昨今は平均寿命が延び、80代でも元気な人が多くなっていることから、90歳以上くらいからを大往生と考える人が今後は多くなっていくのではと考えられます。

「大往生」の英語表現は「peaceful death」「calm death」

「安らかな死」という意味での「大往生」の英語表現は、「 peaceful death」「calm death」があります。

「大往生を遂げる」は「die in peace」「die peacefully」、「天寿を全うした」は「have lived a full life」の表現が近いです。

「大往生」の類語と関連語は?

次に「大往生」の類語と関連語を紹介します。

「天寿を全うする」の意味は「授かった人生を全うする」

「天寿を全うする」(てんじゅをまっとうする)とは、「天から授けられた寿命を全うする」という意味です。「全うする」とは「完全に果たす」という意味で、ここでは人生をやりきった、という意味で使われます。遺族が葬儀などにおいて挨拶で使うときは、「大往生」と同じ意味合いで使われます。

「逝去」とは「死」を敬う言葉

「逝去」(せいきょ)とは、人が死ぬことを敬って言うときの言葉です。「死亡」という直接的な表現を避けたいときに使われます。「他界」も直接的な表現を避けるときの言葉です。「逝去」「他界」には、「大往生」に含まれる「安らかに死ぬこと」や「立派に亡くなった」などの意味はありません。

「入寂」「入滅」の意味は「高僧が亡くなること」

「入滅」(にゅうめつ)とは、仏教用語で煩悩が消えて解脱することの意味ですが、高僧が亡くなることも表す言葉です。「入寂」(にゅうじゃく)も仏教用語で、僧侶や高僧が亡くなることを表します。いずれも一般の人には使われません。

「大往生」の反対語・対義語とは?

最後に「大往生」の反対の言葉を紹介します。

「早世」「早逝」の意味は「若くして死ぬこと」

「早世」「早逝」とも「そうせい」と読み、どちらも「若くして死ぬこと」という意味です。

「夭折」「夭逝」の意味は「才能が開花する前に若死にすること」

「夭折」(ようせつ)、「夭逝」(ようせい)とは、持っていた才能が開花する前に早死にするという意味です。夭逝した天才画家、などと芸術家などに用いられます。

まとめ

「大往生」とは、仏教用語の「極楽往生」を由来とする言葉です。現代社会では「天寿を全うして安らかに死ぬこと」という意味で一般的に使われています。

寿命が延びたことなどから、自分の人生の終わらせ方を考える「終活」を行う人が増えていることもあり、「大往生」という言葉も注目されてきているといえます。

「大往生」は自らの死に方として望む人が多い、良い意味の言葉ですが、「大往生」に含まれる「天寿を全うする」という意味が、「十分長生きしたのだから死もやむをえず」という意味で捉えられることがあるため、遺族の方へのお悔やみの言葉としては使わないようにするのが無難です。