「下世話」の意味とは?お金の話にはどう使う?正しい例文・類語も

「下世話な話」とは「人に聞くには下品な話」、特にお金にまつわる話題でよく使いがちですが、実はこの使い方は誤用です。では「下世話」とは本当はどんな意味なのでしょうか。

今回は「下世話」の読み方から意味、正しい使い方を解説します。類語や英語表現も紹介しますので、ご自身の認識と合っているかどうかぜひ確かめてみてください。

「下世話」の意味とは?

「下世話」の意味は「世間でよく話されている言葉や話」

「下世話」の読み方は「げせわ」です。意味は、「世間でよく話される言葉や話」または「世間話やうわさ話」のこと。一般的に話されていること全般を「下世話」といいます。

誤用にもかかわらず「下品な」という意味合いが定着

「下世話」という言葉に「下品な」や「低俗的な」といった何かと比べて劣っているとか悪いといった意味合いは含まれていません。にもかかわらず、この意味での使い方は一般化している現状があります。

「下世話」の「下」という字から「下品な」などの連想されやすく、また「下世話」の由来となった「下卑」という言葉からネガティブな意味がついてしまったようです。

「下世話」の誤用例文:

  • 「下世話な話ですが、貯金はいくらお持ちですか」

「下世話」の由来は「下卑様の話」

「下世話」はもともと「下卑様の話」(げびさまのはなし)という意味の言葉から派生したのが由来です。「下卑」(げび)とは「人柄や考え方が下品で卑しいもの」という意味です。

「下世話」を「お金」の話に使うのはダメ?

失礼な意味で「お金の話」に使うのは誤用

「下世話」には「下」という字が使われているため、「下品な」や「低俗な」という意味や、時には「下ネタ」という意味で使われていることがありますが、これらの使い方は誤用です。

たとえば「お金の話」の前置きとして「下世話な話ですが」のように使われることがよくありますが、その話の内容が一般論として語られるならば、この場合の「下世話」の使い方は合っています。

しかし、その話の内容が相手に失礼で低俗的な内容として語られるときには、「下世話」は相応しくありません。

誤用の例文
  • 「下世話な話になりますが、お小遣いはいくらもらってますか」
  • 「下世話な話ですが、貯金はどれくらいありますか」

「下世話の人」も誤用

お金の話以外にも「下世話」は間違った使い方がよくみられます。その代表格が「下世話の(な)人」です。

「下世話」が世間話という意味である以上、「下世話の人」と言っても意味が通りません。これは「下世話」を「下品」や「低俗的な」という意味で捉えた典型的な誤用です。

他にもある!間違った使い方の例文

誤用の例文
  • 「下世話な話になりますが、あなたは離婚されているんですよね」
  • 「部長があんなに下世話な人だとは思わなかった。残念だ」
  • 「酒に博打って、下世話にもほどがある」
  • 「下ネタばかりで下世話。彼とはもう話をしない」
  • 「下世話な話で申し訳ないのですが、有給休暇はどれくらい取れるのですか」

この他にも、間違った読み方をして「下の世話」と解釈してしまうこともあるようですが、そのような意味も「下世話」には全くありません。

「下世話」の使い方・例文

「人から聞いた世間話」という意味で使う

「世間でよく話される話」という意味で「下世話」が使われるのが、正しい使い方です。悪い意味は含まれていないので、ただの世間話や噂話といった意味合いで使いましょう。

例文
  • 「下世話な話だが、もうすぐ○○さんと○○さんが結婚するらしいよ」
  • 「下世話に言われているけど、彼の昇進は決まったようだね」
  • 「学術的な話ばかりしていると、下世話な話が無性に恋しくなることがある」

「一般的な質問の前置き」として使う

一般的な質問をするときの前置きとして「下世話」が使われることがあります。ここでポイントとなるのは、「一般的な」というニュアンスで使うことです。

例文
  • 「下世話な話になりますが、近ごろの金融業界の動向はどうなっていますか」
  • 「下世話な質問ですが、営業では世間話って大切ですか」

「世間一般の」「庶民の間で」の意味でも使える

「下世話」を「世間一般の」や「庶民の間で」という意味で使うことも、「下世話」の正しい使い方です。

例文
  • 「下世話のことわざにも『窮鼠猫を噛む』と言うし、いじめられてきたあの子もいつか反撃してくるかもよ」

「下世話」の類語は?

「下世話」の類語は「世間話」「うわさ話」

「下世話」には「世間話」や「うわさ話」の意味がありますので、この2つの言葉はそのまま言い換え表現としても使える類語です。「世間話」は、世間の出来事などの雑談のことで、広い意味での話のネタに使えるでしょう。「うわさ話」に関しては、うわさ(噂)は「ある人の身の上話」を指すため、人に関する話題に適しています。

「よもやま話」も類語として使える

「よもやま話(よもやまばなし)」も、世間のことについての雑談を意味するため、類語と言えます。「よもやま話」の場合は、とりとめのない話というニュアンスがあるため、話の内容がまとまっていなくとも問題ありません。

「下世話」の英語表現は?

「下世話」は英語で「common saying」

「下世話」は英語では「common saying」です。これは「人が話すこと」という意味です。話の内容に良い・悪いの意味を含まずに、一般的な言い方をするならば「common saying」が適訳でしょう。

例文:
“It is a common saying that cutting nails at night might be not good.”
「下世話な話だが、爪を夜に切るのはよくないらしい」

「うわさ話」の意味ならば「rumor」「gossip」

また、下世話を「うわさ話」と捉えるなら、本当か嘘かわからないようなうわさ話には「rumor」、陰口に近いような悪い内容なら「gossip」もあります。

まとめ

「下世話」とは「世間で話される言葉や話」、簡単にいえば「世間話」や「噂話」という意味です。「下品な」や「世俗的な」という意味はないのですが、その誤用が一般化しているのが現状です。

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「難解なワードでもわかりやすく」をモットーに、常識ワードからビジネス用語、時には文化・アート系など、幅広く記事を書かせていただいています。ドイツ在住で2児の母。好きな食べ物はビターチョコレートとナッツ類。