日本には読めそうで読めない、書けそうで書けない言葉がたくあさんありますが、「辛辣」はどちらにも当てはまる難しい言葉の一つです。さて、「辛い(つらい)という漢字が入っている「辛辣」。一体、どのような意味があるのでしょうか?
ここでは「辛辣」の意味と使い方、類語と対義語、また英語表現について例文を用いてわかりやすく解説しています。参考になれば幸いです。
「辛辣」の読み方と意味とは?
「辛辣」の意味は”見方や表現がとても手厳しいこと”
「辛辣」の意味は、“見方や表現、言葉の使い方などが非常に厳しいこと、または様子”です。つまり「辛口であること」という意味になります。
人はコミュニケーションをとる時に、言葉や表現を使って相手にメッセージを伝えようとしますが、「辛辣」はものごとの見方や判断基準が手厳しく、相手が委縮してしまうような様子を表す言葉です。
「辛辣」は言葉や表現が厳しいため、自分が痛烈に批判をされているような気持になってしまうこともあるかもしれません。批判や非難、クレームなどとはややニュアンスが異なりますが、関連付けて「辛辣」という言葉を理解すると良いでしょう。
「辛辣」には”味が極端に辛いこと”という意味も
「辛辣」の”辣”の字。どこかで見覚えはありませんか?辛口を好む人は餃子やラーメンなどに加えることもあると思いますが、真っ赤な香辛料の一つ「辣油(らーゆ)」です。
「辛辣」には「言葉や表現が手厳しい」という意味の他に「食べ物が極端に辛いこと」を意味することがあります。「辛口な意見」も「辛口な食べ物」も、どちらも「辛辣」という文字に言い換えて表現することができます。
「辛辣」の読み方は”しんらつ”
「辛辣」の読み方は“しんらつ”です。「辛辣」の「辛」は「からい」、「辣」は「ラツ」「ラチ」と読みます。「辣」は「辛辣」の他、ものごとを躊躇せずテキパキと処理する能力を表す「辣腕(らつわん)」や、手段や心根などがあくどいことを表す「独辣(どくらつ)」などで使われる言葉です。
また「辛辣」を「しんれつ」と誤読してしまうことも多いようです。「しんらつ」が正しい読み方となりますので気を付けましょう。
「辛辣」の使い方と例文とは?
「辛辣」の使い方と例文について解説します。
「辛辣」は”辛辣な~”や”辛辣さ”などのように使う
「辛辣」は見方や表現において極めて手厳しい様子を意味する言葉ですが、文章や会話で用いる時は、「辛辣な批判」や「辛辣な内容の手紙」などのように「形容動詞」として使う場合と、「辛辣さ」のように「名詞」として使う、二通りのパターンがあります。
以下で例文をみてみましょう。
「辛辣」を使った例文
辛辣を使った例文をビジネスシーンと日常生活をベースに挙げてみます。
- 会議決定に反して行動をしてしまい、周囲から辛辣な言葉を受けた。
- 国民からの辛辣な批判を受け、政府は今一度、是正案を発表する予定だ。
- 君の意見はどっちつかずで、言わば辛辣さに欠ける。
- 辛辣な一言とでも言うべきか、社長に「部長の資格なし」とどやされた。
- 結婚に反対の両親は、相手に辛辣な言葉を言い放った。
「辛辣」の類語と対義語とは?
「辛辣」と言い換えのできる類語と、反対の意味を持つ対義語について紹介します。
「辛辣」の類語は”容赦ない”や”歯に衣を着せない”など
「辛辣」の類語には、相手に対してシビアな姿勢をとるという意味の「容赦ない」「手を緩めない」「厳格な」、また相手に対して遠慮なくストレートに厳しくあたる様子を意味する「歯に衣を着せない」「ずけずけと物を言う」などが挙げられます。
中でも「容赦ない」は「相手が傷付こうが関係ない」といった極めて厳格な態度が見受けられるため、最も「辛辣」に近い意味を持つ類語とも言えるでしょう。
「辛辣」の対義語は”穏やかな”や”優しい”
一方、「辛辣」の対義語として考えられるのは、相手を思いやり、情け深い姿勢で接する様子を表す「穏やな」「優しい」「もの柔らか」などがあります。加えて、状況によっては「温厚」「平静」「落ち着いた」なども対義語として適切だと考えられるでしょう。
「辛辣」の英語表現とは?
「辛辣」の英語表現について例文と併せて紹介します。
「辛辣」は英語で”harsh”
「辛辣」を英語で表現する時は、状況によって適切な言葉が変ってきます。最もよく使われる言葉は相手に痛烈な態度をとるという意味の「harsh(ハーシュ)」で、とげとげしい意見や態度をとり、相手が不快な気持ちにさせてしまうというニュアンスがあります。
職場やビジネスでは、手厳しい意見や態度を経験することもあるでしょう。そのような場面の裏側で、陰ながらヒソヒソと「harsh harsh(厳しい、厳しい)」と言ったりします。
「辛辣」を使った英語例文
「辛辣」を使った英語例文を挙げてみます。
- あの人の言葉は辛辣過ぎて、受け入れられないわ。
The wording of that man is too harsh to accept. - ビジネスの世界は甘くない。むしろ辛辣なものなのだ。
Business is not easy. It is more like harsh.
まとめ
「辛辣」は「しんらつ」と読み、意味は「ものの見方や判断基準、また言葉や表現などが極めて手厳しいこと、または様子」そして「食べ物が極めて辛口であること」となります。
会話や文章で多く使われる熟語表現は「辛辣は意見」「辛辣な言葉」「辛辣な態度」などとなりますが、「食べ物が極端に辛い」というニュアンスと絡めて「辛辣」を覚えておくと良いでしょう。
職場でも上司や関係会社から「辛辣な言葉」を受けることもあるかもしれません。しかし、真摯な態度で受け止め、次回は「穏やかな言葉」をいただけるように努力したいものですね。