「稚拙」の意味とは?類語「幼稚」との違いや対義語も紹介

「稚拙な文章」などと言うときの「稚拙」は「幼稚」とは違うのでしょうか?この記事では「稚拙」の意味と、使い方を例文とともに紹介します。あわせて類語との意味の違いや、対義語・反対語や英語も紹介しています。

「稚拙」の意味と使い方は?例文とともに紹介

まずはじめに「稚拙」の意味と、使い方を例文とともに紹介します。

「稚拙」の意味は「レベルが低いこと」

「稚拙」(ちせつ)とは、「幼稚で拙いこと」という意味です。ここでの「幼稚」とは、年齢が幼いという意味ではなく、考え方ややり方が未発達でレベルが低いことをいいます。「拙い(つたない)」とは、下手だ、巧みでないなどの劣った様子を表します。

また、「稚」には「まだじゅうぶんに成長していない」という意味があり、「稚魚」「稚児」「丁稚」などの言葉に使われる漢字です。

下手なことを批評するときに「稚拙な〇〇」と表現する

同じような意味を持つ「幼稚」や「拙い」とは別に、あえて「稚拙」を使うときは、ものごとが未完成だったり、下手だったりする事柄を批評するときです。「稚拙な表現」「稚拙な文章」というように使います。考えが不十分なまま判断することは「稚拙な判断」といいます。

「君のスピーチには稚拙な表現が多い」などと上司に言われたときは、「スピーチの完成度が低く、下手」と厳しく指摘されていることになります。

あまりにもひどいときは「あまりに稚拙な」と表現する

仕事や作品などの出来栄えのレベルがはなはだしく低いときは、「あまりにひどい出来栄え」という意味合いで「あまりに稚拙な」という言い方をします。「あの大臣の、あまりに稚拙な答弁には驚いた」「入社後まもないとはいえ、あまりに稚拙な仕事ぶりだ」などと使われます。

大人げない行動を「稚拙な行動」と表現する

物事の出来栄えの他にも、行動について「稚拙」を用いることができます。子供のような無責任な行動について「稚拙な行動」と表現したり、場当たり的で無計画な犯行について「稚拙な犯行」といったりします。

「稚拙な行動」の表現は、子どもや幼児に対しては使われず、十分な大人なのにしかるべき行動ができないことに対して使われます。

自分を謙遜するときは「稚拙ながら」と表現する

自分のやり方などが未熟なことを謙遜して言うときには「稚拙ながら小説を書いています」などと「稚拙ながら」という言い方をします。「恥ずかしながら」「お粗末ながら」と同じ意味合いです。

ただし、「稚拙」には「不十分、レベルが低い」という意味もあるため、ビジネスにおける自分の仕事について「稚拙ながら報告書をまとめました」などと使うと「手抜きをしました」と言っていることにもなるため、注意が必要です。

「稚拙」の類語と関連語は?

次に、「稚拙」の類語と関連語を紹介します。

「幼稚」の意味は「考え方や行動が未熟なこと」

「幼稚」とは、「考え方や行動が未熟なこと」という意味です。「幼いこと、年齢が低いこと」の意味もあるため、前者の意味を表したいときには「稚拙」を使うことで「考え方や行動が未熟なこと」の意味を強調することができます。

「未熟」の意味は「技術などがまだ十分でないこと」

「未熟」とは、「技術などがまだ十分でないこと」という意味です。技術が一人前ではない人や、学問や修養の経験がまだ足りない人のことを「未熟者」と言います。

「技術が未熟だ」というときは、技術レベルが基準に達していないことを表し、「技術が稚拙だ」というときは、技術レベル自体が低いことを表すといえます。

「取るに足らない」の意味は「取り上げるほどの価値がないこと」

「取るに足らない」は「取るに足りない」ともいい、「取り上げるほどの価値がない」という意味の表現です。

「取るに足らない発言だ」などといい、表現の出来栄えのレベルが低いのではなく、表現の内容に価値が見いだせないことを表現するときに使います。

「稚拙美」は誉め言葉

「稚拙美」という芸術用語があります。古代の美しさという意味の「archaic beauty」(アルカイック・ビューティー)の訳語であり、ここでの「稚拙」はネガティブな意味ではなく、「素朴でよいもの」という意味です。

「稚拙美」は、特に古代ギリシャのアルカイック彫刻の持つ素朴な美しさに対して使われますが、技巧に頼らない純粋な美しさを表現するときにも使われます。

「稚拙」の対義語・反対語は?

次に「稚拙」の対義語・反対語を紹介します。

「洗練」の意味は「無駄なく行き届いた仕上がり」

「洗練」とは、「無駄なく行き届いた仕上がり」のことをいいます。練り上げられ磨かれた文章のことを「洗練された文章」と表現します。また行き届いた品格のある人という意味で「洗練された人」などともいいます。

「洗練された技術」というときは、「見えないところにも工夫をこらし、かつ無駄のない高い技術」であることを表現します。「稚拙な技術」というときの逆の意味であるといえます。

「熟練」の意味は「経験を積んで上手なこと」

「熟練」とは、経験を積んで上手なことを表します。「熟練工」「熟練技術者」などといいます。技術のレベルの高さを表すため、「稚拙」よりも「未熟」の対義語の意味合いが強いといえます。

「巧み」の意味は「精密で上手なこと」

「巧み」とは、「精密で上手なこと」をいいます。「巧みな文章表現」「巧みなプレー」などと技術の高いことを表現します。

「稚拙」の英語表現は?

「稚拙」の英語は「poor」

「稚拙な英語」は「poor English」「broken English」、「稚拙な判断」は「poor judgment」、「稚拙な行動」は「immature behavior」などと表現されます。

前後関係や使われる場面などにより、稚拙を表す英語表現はさまざまなものがありますが、最も汎用性のある表現は「poor」だといえます。

まとめ

「稚拙」は「幼稚で拙いこと」という意味が基本にあり、「レベルが低いこと」や「考えが不十分なこと」を表現するときにも使われます。

ビジネスにおいて「稚拙な仕事ぶり」などと評価された場合は、求められる仕事のレベルに達していないことをかなりネガティブに評価されていると心得ておきましょう。