サラッと嫌なことをかわしたり、聞き流すことができる人っていませんか?「柳に風」はそのような器用な方などに対して使うことわざです。今回は、この「柳に風」の意味と使い方を例文つきで解説していきます。似たことわざの「暖簾に腕押し」との使い分けや、類語・対義語、英語表現も紹介します。
「柳に風」の意味とは?
「柳に風」の意味は「逆らわない」「受け流す」
「柳に風」は、「逆らわないことで災いも受けない」という意味を持ちます。柳が折れることなく、風になびいている様子をたとえたことわざです。
また、強い風を受けてもなかなか折れない柳を“手強い相手”とたとえて、「どんなこともサラッと受け流す」という意味で使われることもあります。
「風に柳」や「柳に風と受け流す」と言い換えることもできる
「柳に風」は、表現方法が異なる「風に柳」や「柳に風と受け流す」と言い換えることができます。もちろん意味は同じで、とくに使い分けのルールや違いはありません。
「柳に風」と「暖簾に腕押し」の違いは?
「暖簾に腕押し」とは「手ごたえや張り合いがないこと」
「柳に風」とよく混同されることわざに「暖簾に腕押し」(のれんにうでおし)があります。こちらは「手ごたえや張り合いがないこと」をたとえていることわざで、「柳に風」とは用法が異なります。
「暖簾に腕押し」には「受け流す」の意味はない
「暖簾に腕押し」は自らが起こした行為に対しての反応のなさや薄さを表現しているため、「柳に風」のような“受け流す”といった意味がありません。また挑発しているようなニュアンスもあるため、マイナスの印象を与えやすいことわざとも言えます。
「柳に風」と同じように使うと、相手を怒らせてしまう場合もあるので気をつけましょう。
「柳に風」の使い方と例文
「柳に風」は励ましにも嫌味・皮肉にも使える
「柳に風」は、使い方次第でプラスの印象にもマイナスの印象にも変化させることができることわざです。たとえば、アドバイスや励ましの気持ちを込めて「柳に風くらいの気軽さでいこう!」などと使うとプラスの印象、嫌みや皮肉の気持ちを込めて「君にいくら注意しても柳に風で意味がない」など使うとマイナスの印象を与えます。
「柳に風」はこのように使い方で印象が変わるので、相手がいる場面で使うときは注意が必要です。
「柳に風」はビジネスシーンでも使われる
「柳に風」は、つらい立場に立たされている人や良好ではない人間関係に対しても使います。そのため、上司や先輩、得意先や同じプロジェクトチームの仲間など、さまざまな人と関わるビジネスの世界で使われることが多いです。
「柳に風」の例文
- 「あの人は話が長いから、柳に風でいるといいよ」
- 「課長はいつも同じことをいうから、柳に風で気にする必要はない」
- 「どんなつらい状況が起きても笑顔でいる先輩は、柳に風のような対応ができる人だ」
- 「君って人は柳に風で、仕事に対するやる気を感じないよ」
「柳に風」の類語と対義語は?
「柳に風」の類語は「柳の雪に折れなし」「馬の耳に風」
「柳に風」の類語には、「柳の雪に折れなし」と「馬の耳に風」ということわざがあります。
- 「柳の雪に折れなし」
“柳に雪が積もっても枝が折れない様子”をたとえた「柔らかいものの方が堅いものよりも強い」という意味があります。“受け流す”という意味は同じですが、「柳の雪に折れなし」には“どんなことでも柔軟に対応しよう”という前向きな気持ちが含まれています。 - 「馬の耳に風」
“風を吹きかけても何も感じない馬の耳”をたとえた「人の意見を聞かない」や「聞かせても価値がわからない」という意味があります。こちらは「耳」という言葉が入っているので、“物事を受け流す”というよりも“聞き流す”の意味合いが強いです。“言ってもしょうがない”と、あきらめや嫌みのようなマイナスの印象を与えます。
「柳に風」の対義語は「出る杭は打たれる」「売り言葉に買い言葉」
「柳に風」の対義語には、「出る杭は打たれる」と「売り言葉に買い言葉」ということわざがあります。
- 「出る杭は打たれる」
「余計なことをすることで邪魔扱いされる」という意味を持ちます。自分から行動を起こさない「柳に風」とは真逆で、自分から行動を起こすことによって目立ってしまう、標的にされることを表しています。 - 「売り言葉に買い言葉」
「相手の暴言に対し、同じように言い返す」という意味を持ちます。「柳に風」のように受け流してその場を終息させるのではなく、助長させ悪化させてしまう様子を表しています。
「柳に風」の英語表現は?
「柳に風」の英語表現は「No reply is best」
「柳に風」は、“返事をする”や“応じる”という意味を持つ「reply」を使い「No reply is best」と表現します。直訳は「返事をしない(応じない)ことが1番いい」で、“受け流す”というニュアンスで「柳に風」を表現できます。
“困難をしのぐ”という意味を持つ「Better bend than break」でも表現できる
受け流すものがつらいものである場合は、“困難をしのぐ”という意味を持つ「Better bend than break」でも表現できます。直訳は「折るよりも曲げる方がいい」で、”無理に逆らわない様子“を表現します。
まとめ
「柳に風」は、しなやかな柳が風に吹かれるように「逆らわない」「受け流す」という意味で使います。使い方次第で、アドバイスや励ましのようなプラスの印象を与えたり、嫌みや皮肉のようなマイナスな印象を与えます。ビジネスシーンで間違った使い方をしてしまうと、職場で気まずい思いをすることになるので十分気をつけましょう。