「ですので」の正しい使い方!「だから」の敬語ではない?

誰もが日常的に使っている「ですので」という表現ですが、その使い方は間違っていないでしょうか。「だから」の敬語だと思っていませんか?ここでは、何となく使うと損をするつなぎ言葉「ですので」についてまとめます。履歴書に志望動機を書きたいときや、絶対に失敗したくないビジネスシーンで自身をもって「ですので」を使いこなしましょう。

「ですので」の意味は?

「ですので」の意味は「~だから、~であるから」

「ですので」とは、前にある自立語に続くことで「~だから・~であるから」のような意味になります。

前の文と後の文を順接でつなぐ付属語で、正統な「つなぎ言葉」のひとつです。

「ですので」は「なので」の丁寧な表現

「ですので」は、助動詞「な」と「ので」の2語で構成された連語「なので」の丁寧な言い方です。「重要な文章ですので、管理に気をつけてください」のように、前の文章と後の文章の間に置いて使います。

「ですので」は敬語で使えるが、使い方には注意

「ですので」は丁寧な表現であるため、敬語として使うことが可能です。ただし、使い方には注意が必要です。以下で注意点を説明していきます。

「ですので」を使うときの注意点

「ですので」を文頭に立てるのはNG

「バスが決行になりました。ですので、ここからはタクシーで移動します」のように、「ですので」を文の最初に使うことは現在のところ間違いとされています。「ですので」の由来である「なので」が、それだけで言葉として自立していない“付属語”だからです。したがって、この場合は「バスが決行になりましたので、ここからは~」と続けるのが本来の使い方です。

「ですので」は「なので」の丁寧な言い方であり、「です」が含まれているので失礼のない表現と思われがちです。しかし実際には、それ自体に意味がない付属語であるために「ですので」だけでは何を示しているのかが分かりにくく、不親切でざっくりした印象になってしまいます。「~でしょうね」を「でしょうね」と言ったり、打消しから始まる「ていうか~」などの表現とも通じるところがあります。

接続詞の「だから」と混同しない

「なので(ですので)」が接続詞のような使い方をされるようになったのは、「つなぎ言葉」としてのはたらきが接続詞の「だから」に似ているためでしょう。しかし実際は似て非なるもので、「だから」はそれ自体が「それであるから・それゆえ」という意味をもつ自立語で、丁寧にすると「ですから」という表現になります。

他の自立語の後に付いてはじめて意味をもつ「なので(ですので)」とは違い、「だから」は文頭に立てても意味が通じます。たとえば、「私だって人間ですから、失敗もします」を「私だって人間です。だから、失敗もします」のように言い換えることができるのは「だから」だけです。また、「ですから」は原因を特定する性格が強く、「ですので」は少しぼかした表現なので、状況によって使い分けましょう。

「ですので」を使う場合は文体に注意

正しい文法で「ですので」を使っているはずなのに違和感があるという場合は、「ですので」使うことで文体が乱れている可能性があります。文章には「常体(だ・である)」と「敬体(です・ます・でございます)」の2タイプの文章様式があり、同じひとつの文章内ではモードを統一させるという基本ルールが存在します。「ですので」を使う場合には「敬体」に文章全体をそろえる必要があります。

例えば「私は口下手ですので、初対面の方にお会いすると緊張してうまく会話ができません」という文章の場合、「ですので」の後は「お会いしますと緊張いたしまして」とするのが文体の整った日本語ということになります。ネイティブな日本人は相手によって微妙に丁寧度を調整していることも多いですが、文体を統一するという基本ルールは知っておくと便利です。

「ですので」の類語と言い換え

「ですので」と類語の接続詞

「ですので」と同じ意味をもつ接続詞には、「ですから・そのため・そのような・そこで・したがって・ゆえに・それゆえ・そうした」などがあります。中でも「そのような」は、理由や因果関係を説明したいときに「そのような理由から・経験から・信念から」のように展開ができるので便利です。

「ですので」と「ですから」の違い

似たような意味を持つ「ですので」と「ですから」という言葉ですが、使い方が異なるため注意が必要です。

「なので」の丁寧語である「ですので」が【文中】に使うのに対し、「だから」の丁寧語である「ですから」は【文頭】で利用します。また「ですから」は「だから」と同様、相手に強い印象を与えることがあるため、使う際には相手との関係性に配慮しましょう。

書き言葉では「そのため」に言い換えると安全

数あるつなぎ言葉のうち、「ですので」「ですから」はおもに会話で用いられる「話し言葉」として認識されています。一方、履歴書のようなエントリーシートでは「そのため」「したがって」「ゆえに」などの「書き言葉」が中心です。現代語の書き言葉・話し言葉は、先述の「敬体(です・ます)」「常体(だ・です)」で区別されます。つまり、「全然(です)」が話し言葉で、「まったく(だ)」は書き言葉です。

「ですので」を使ったビジネスメール・英語表現

ビジネスメールにおける文例

  • 今週は学習強化週間ですので、いつもより帰りが遅くなります。
  • 今日まで夏休みですので、明日以降に伺います。
  • 時間がかかりそうですので、もう少しお待ちください。

「ですので」の英語表現

  • For this reason,we came here.(そのような理由で私たちはやって来た)
  • That’s the reason why he was fired.(そのような訳で彼はクビになりました)
  • The clock is broken. As such, it must be repaired.(その時計は壊れています。ですので修理が必要です)

As such,~は、「その」という意味の代名詞(such)を文頭に立てた用法です。本来は誤用ですが、ネイティブの間では広く使われています。

まとめ

「ですので」を文頭に立てる用法は、「それなので」を「なので」と省略した俗語を丁寧にした「なんちゃって丁寧語」です。時代とともに日常語として認められつつありますが、まだまだ違和感を覚える人は少なくありません。普段から使っている言葉は大切な場面でもつい出てしまうことがありますので、ビジネスマナーとしての正しい使い方をしっかり確認しておきましょう。