「踏襲」の意味と使い方とは?類語「継承」との違いや対義語も!

「踏襲」は見たり聞いたりしたことがあっても、使ったことはないという人が多い言葉かもしれません。今回は「踏襲」の意味や正しい読み方、使い方や類語「継承」との違い・対義語などについて解説します。他にも「踏襲」の語源や、四字熟語「前例踏襲」についても触れていますので参考にしてください。

「踏襲」の読み方と意味

「踏襲」の読み方は「とうしゅう」

「踏襲」は漢字が難しく、何と読むのかわからないという方が多いようです。「踏襲」は「とうしゅう」と読みます。

「踏」という漢字を「ふ」と読むのではなく、「舞踏会(ぶとうかい)」などと同じように「とう」と読むことを覚えておきましょう。「襲」は「おそう」とも読みますが、「襲撃(しゅうげき)」のように「しゅう」とも読みます。

「ふしゅう・ふんしゅう・しゅうとう」は誤り

「踏襲」を「とうしゅう」と読めない人は多く、テレビなどでも読み間違いをしていることがあるようです。

特に多い間違いは「ふしゅう」「ふんしゅう」または「しゅうとう」などです。「しゅうとう」は「とうしゅう」を逆に読んでしまったことによる間違いですが、「周到(しゅうとう)」という別の意味を持つ言葉が存在するので、注意しましょう。

「踏襲」の意味は「受け継ぐ」

「踏襲」は、漢字を見ただけでは意味まで推測することが難しい言葉です。「踏襲」には「受け継ぐ」という意味があります

自分の前にその物事にかかわっていた人のやり方や考え方を、そのまま後任者が引き継ぐことを指す言葉です。

特にビジネスの場面で使われることが多く、前任者から業務を引き継いだ人が、前任者の考え方ややり方をそのまま引き継いだことを「彼は前任者のやり方を踏襲している」などと表します。

「踏襲」の語源・由来

「踏襲する」の語源は「踏み重ねる」

「踏襲」という言葉は「踏」と「襲」に分けることができます。

まず「踏」とは、足で地面を踏む、などと同じ意味です。この場合の「踏」には「足で踏んでなぞる」という意味があります。「襲」は、何かを攻撃する意味の「襲う」という意味もありますが、もう一つ「重ねる」という意味も持っています。

「踏んでなぞる」と「重ねる」を合わせて「踏襲」となり、「踏み重ねるようにして引き継いでいく」という意味で使われるようになったそうです。

「踏襲」の使い方と例文

「踏襲」で前任者のやり方を引き継ぐことを表す

「踏襲」が比較的頻繁に使われるビジネスの場面は、担当者の交代や、経営者の交代などのシーンです。後任者が、これまでのやり方や考え方を引き継ぐことを「踏襲」という言葉で表します。

  • 「社長は交代するが、経営方針などは前任の社長の考えを踏襲するらしい」
  • 「彼のやり方を踏襲した新人が、成績を上げてきている」
  • 「彼女は前任者のやり方を踏襲するばかりで、新しいことを試す気はないようだ」

「踏襲しつつ」で変化させることを表す

「踏襲」は、これまでのやり方を「受け継ぐ」という意味です。しかし、「踏襲しつつ」という言い方をすれば、「これまでとまったく同じやり方ではなく、少しだけ変化をさせていく」という状況を表すこともできます。

  • 「前任者のやり方を踏襲しつつ、必要と感じたところは変えて行くつもりです」
  • 「このアイデアは、これまでの考え方を踏襲しつつも、新しい視点を持っています」
  • 「代々受け継がれて来たやり方を踏襲しつつ、時代に合わせて変えていくことも必要です」

「前例踏襲」という四字熟語として使う

「踏襲」という言葉は、少し形を変えて四字熟語として使うこともできます。「踏襲」と同じ意味を持つ四字熟語は「前例踏襲(ぜんれいとうしゅう)」です。

「前例踏襲」とは、文字通り「前例を踏襲する」という意味で、それまでと変わりのないやり方が続けられる、という状況を表します。

  • 「今回の人事はまさに前例踏襲、出世コースに乗ったのは部長の後輩だけだった」
  • 「これまでの前例踏襲を繰り返すばかりでは、新しいことを始められません」
  • 「前任者の考え方はみんなが支持していた、ここは前例踏襲でいこうと思う」

「踏襲」の類語・対義語

「踏襲」の類語「継承」との違い

「踏襲」には「受け継ぐ」「倣う(ならう)」などの類語があります。いずれも、それまでのやり方や考え方を受け継ぐという意味です。

また、類語の中でも「継承」は、「踏襲」と同じ「受け継ぐ」という意味を持ちながら、受け継ぐものが異なります。「踏襲」は、それまでのやり方や考え方を受け継ぎ、「継承」は仕事の内容や、役職、位などを受け継ぎます。

「踏襲」は内面や動作、「継承」は外観や役割を受け継ぐ、と考えると違いを理解しやすくなるでしょう。

「踏襲」の対義語は「革新」「順応」

「踏襲」の対義語は「新しくする」「更新する」という意味の言葉となります。日常で比較的使いやすい対義語は「革新」「順応」などでしょう。

「革新」とは、物事を新しく革めて(あらためて)、それまでのものよりもさらに良いと思われるものに変える、という意味です。

「革める」とは「改める」よりも、思いきって新しくする、という意味を持つ言葉です。「革新」には、通常の「新しくする」という意味の「改める」よりも、「革める」の意味が強く、「革新」という文字になっています。

「順応」とは、状況などによって自分の行動を変える、という意味です。「踏襲」が持つ、「受け継ぐ」は、状況などにかかわらずそれまでのやり方を続けていくことを指すため、「踏襲」の対義語として「順応」を使うことができます。

「踏襲」の英語表現

「踏襲」は英語で「follow」

「踏襲」という言葉を、英語にする場合は「ついていく」という意味の単語を使うことができます。「踏襲」は「follow」です。

「follow」は「ついていく」「追いかける」という意味の単語で、日本語の「踏襲」と似た意味を持っています。「follow a bad example」などとすれば、「悪い習慣を踏襲する」という意味にすることができます。

まとめ

「踏襲」は、漢字や読み方の難しさから、何となく使うことを躊躇してしまう言葉です。しかし、読み方は「とうしゅう」、意味は「受け継ぐ」と一度理解してしまえば、さまざまな場面で簡単に使うことができます。ぜひこの機会に「踏襲」という言葉を自分の語彙の中に入れて、使ってみてください。