「舌鼓」の意味や語源とは?「舌打ち」との違いや類語・対義語も

美味しいものを食べたときに「舌鼓を打つ」という表現を使います。この「舌鼓(したつづみ)」とは何のことでしょうか?また、いったいどんな音がするのでしょう。

この記事では「舌鼓」の意味や語源、類語・対義語、「舌鼓」と間違いやすい「舌打ち」との違いも解説します。

「舌鼓」とは?

「舌鼓」の意味は”おいしさを表す音・食事を楽しむ行為”

「舌鼓」の意味は、”おいしいものを食べたり、おいしいお酒などを飲んだときに、舌で口の中を弾いて音を出す行為”です。他にも、「おいしい料理やお酒に心から満足して、食事を楽しむ行為」という意味もあります。

つまり、「舌鼓」という言葉は、音が出ていても出ていなくても使うことができます。いずれの場合も、食べ物や飲み物を気に入って、満足する状態です。

「舌鼓」とはどんな音?語源は和楽器の”鼓”

「舌鼓」の語源は日本です。由来となったのは「鼓」という和楽器で、鼓の中心部を上手く叩くと「ポン」という音がします。

元々、昔の日本では、美味しいものを食べたり、お酒に満足したりすると、舌を上顎に打ち付けて「ポン」という音を出していたと言われています。この音が、鼓の音に似ていたことで、舌で鳴らす鼓、「舌鼓」と言われるようになったのです。

競馬の「舌鼓」は馬への合図の意味

「舌鼓」を「ぜっこ」と読む、競馬や乗馬など「馬」にかかわるシーンでは「舌鼓(したつづみ)」とは違う意味となります。

「舌鼓(ぜっこ)」とは、馬への合図として、人間の口から発する音のことです。「舌鼓」は広い草原などでも、馬の耳に聞こえやすく、呼び寄せるときに使われます。そのため、この場合の「舌鼓」は、食べ物を美味しいと感じるときの「舌鼓」とは別の意味です。

「舌鼓」の読み方は”したつづみ”と”ぜっこ”

「舌鼓」には2種類の読み方があります。“したつづみ”“ぜっこ”です。日常で使われる「舌鼓」は、主に「したつづみ」と読みます。「したづつみ」と読み違えやすいので注意しましょう。

「ぜっこ」は「舌鼓」の当て読みで、「舌」の音読みである「ぜつ」と、「鼓」の音読みの「こ」を合わせて「ぜっこ」と読みます。「ぜっこ」と読むのは、競馬や乗馬など、限られた場面のみです。

「舌鼓」と「舌打ち」の違いとは?

「舌打ち」は不快な気持ちを表す行為

現代の「舌鼓」と間違いやすいのが、同じ口から音を出す行為である「舌打ち」です。舌打ちは、上顎の前歯に近い場所に舌を当てて音を出す行為で、一般的には不快な気持ちを表します。

「舌鼓」のように、おいしいものに感動して行う行為ではありませんし、一般的には舌打ちは嫌われることが多い行為、と言えるようです。

「舌鼓」ではなく咀嚼音を出してしまう人は”クチャラー”

食べるときに、何かと音を出してしまう人のことを「クチャラー」と言います。これは、食べるときの咀嚼音が耳につく、という周囲の人が持つ不快感を言葉にしたものです。

本人はおいしく食べているからこそ、口から音を出すのかもしれませんが、一般的には食事のマナー違反と言われており、「舌鼓」と見なされることはないようです。

「舌鼓」の使い方と例文とは?

「舌鼓を打つ・舌鼓を鳴らす」でおいしさを表現する

「舌鼓」は、「打つ」「鳴らす」などの動詞と組み合わせて使われることが多い言葉です。

「あまりのおいしさに舌鼓を打つ」、「思わず舌鼓を鳴らす一品」などと使うことで、その料理がいかにおいしいかを伝えることができます。

例文
  • 「先週は、部長おすすめのイタリアン料理で、舌鼓を打ちました」
  • 「今夜は評判の店で、舌鼓を打つとしよう」
  • 「いつもの店で、おいしい料理に舌鼓を鳴らしたいものだ」
  • 「彼は月に1回は奮発して、お気に入りの食事に舌鼓を鳴らしているらしいよ」

「舌鼓」で不快な気持ちを表すこともある

「舌鼓」は、現代では「おいしい料理や酒に満足する様子」を表す、ポジティブな言葉として使われています。

しかし、「舌鼓」という言葉が生まれた当初は、不快な気分を表すときに舌鼓を鳴らしていたそうです。つまり、現代で言う「舌打ち」を、舌鼓と呼んでいた時代もあったと言われています。

その名残で、現代でも舌打ちのことを「舌鼓」と言うことが稀にあるようです。

「舌鼓」の類語と対義語とは?

舌鼓の類語①「喉を鳴らす」

「舌鼓」という言葉は、実際に鼓のような音を舌で鳴らさなくても、「舌鼓を打つ・鳴らす」などと使うことができます。

同じように、体の部位を使った比喩で、食べ物や飲み物のおいしさを表す類語が「喉を鳴らす」「頬が落ちるよう」です。

「喉を鳴らす」とは、料理や酒を見ただけで、思わず唾液を飲み込んで、喉から音が出てしまいそうなほど、食欲がわく様子を表します。「メニューを見ただけで喉がなるようだね」などと使い、いかにそれが自分の食欲を刺激しているか、ということを表す言葉です。

舌鼓の類語②「頬が落ちるよう」

「頬が落ちるよう」とは、実際に食べた料理や酒がおいしく、その感動で思わず頬が落ちてしまうような気さえする、という意味の言葉です。「この肉のやわらかさに、思わず頬が落ちてしまいそうです」などと使って、おいしさの感動を表します。

舌鼓の対義語は「空きっ腹にまずいものなし」

「舌鼓」の反対の意味を持つ対義語は、「その料理や酒を特においしいと感じていない」という意味を持つ、「空きっ腹にまずいものなし」です。

「空きっ腹にまずいものなし」とは、お腹がすいていればどんなものでもおいしく感じる、という意味で、何を食べても同じ、特においしいと感じているわけではない、という気持ちを表します。

「空きっ腹にまずいものなし」は、本当にお腹が空いていて何でもおいしく感じるときにも使いますが、自分で作った料理の感想などを、へりくだって言葉にするときにも使われます。

「舌鼓を打つ」の英語表現とは?

「舌鼓を打つ」は英語で”smack my lips”

「舌鼓を打つ」と同じ状況を英語で伝える場合には、「唇を鳴らす」という意味の言葉を使います。「舌鼓を打つ」は“smack my lips”です。

「smack」とは、叩くような音を出す、という意味で、直訳すると「唇で叩くような音を出す」となります。この表現が、日本語の「舌鼓を打つ」と同じ意味となり、食事や酒のおいしさに満足する、という意味になります。

まとめ

「舌鼓」という言葉は、以前ほど多くは使われていない言葉かもしれません。しかし、本当においしいものを食べたときは、思わず口の中で舌が鳴ってしまうような感動を覚える、という人は多いものです。「舌鼓」という言葉を覚えたら、おいしいと感じるものを食べたときの、舌の動きに意識を向けてみましょう。「舌鼓を打つ」という状況を体感できるかもしれません。