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「鶏口牛後」の意味や読みとは?由来の漢文・現代訳と後半も紹介

「鶏口牛後」という言葉を知っていますか?漢字をみても、いまいち意味がわからない漢字ではないでしょうか。今回は「鶏口牛後」の意味や由来となったお話を紹介します。あまり知られていない「鶏口牛後」の後半の話も紹介していますので、中国の戦国時代を想像しながら読んでみてはいかがでしょうか。

「鶏口牛後」の意味と読みとは?

「鶏口牛後」の意味は”大組織の下より、小組織のトップ”

「鶏口牛後」の意味は、“大組織の下より、小組織のトップ”です。漢字の通り「鶏の口」と「牛の後ろ」を表しています。「後ろ」とは「尻」のことです。「牛の尻」になるくらいなら「鶏の口」になった方がいいという考え方で、現実に当てはめると、大きな組織の一番下にいるよりも、小さな組織のトップになった方がよいという意味です。

「鶏口牛後」の読みは”けいこうぎゅうご”

「鶏口牛後」の読み方は“けいこうぎゅうご”です。「鶏」は「鶏卵(けいらん)」で使うように「けい」と読みます。

「口」は、「口角(こうかく)」などで「こう」と読みますし、「牛」は「牛肉」の「ぎゅう」、「後」は「午後」の「ご」です。一般的な読み方が並んでいますので、難しく考えずに読みましょう。

「鶏口牛後」の由来とは?

「『史記』蘇秦列伝」の”鶏口となるも牛後となるなかれ”が省略

「鶏口牛後」という言葉は「『史記』蘇秦列伝」に書かれた「鶏口となるも牛後となるなかれ」という言葉を省略して作られたものと言われています。

「『史記』蘇秦列伝」は、「蘇秦」という人が、戦国時代に活躍した話が書かれています。「鶏口牛後」は、当時一番大きな国だった「秦」が、周りの6つの小国に領地を要求した時の話です。

「蘇秦」は「燕」という国に行き、「鶏口牛後」の話をし、「秦」の支配下に入るくらいなら、6つの国で同盟を組んで小国のトップでいた方がよいと、同盟を組むことを説得しました。

「鶏口牛後」の現代訳

秦は、武力を背景に領土の割譲を求めていました。洛陽に蘇秦という人がいました。秦の恵王のところに、演説に行きましたが、政治家として採用してもらえませんでした。

そこで、燕の文侯のところへ行き、趙と南北に同盟をさせようとして、話をしました。燕は蘇秦に説得しに行く資金を与え、趙に行かせました。

蘇秦は、趙の粛侯に、このように言いました。「臣下の兵力を合わせれば、それは秦の兵力の10倍になります。力を合わせて、西の秦を攻撃すれば、秦は必ず負けるでしょう。王のために考えますところ、6か国が南北に同盟し、秦を排斥するよりいい方法はありません。」

そこで、粛侯は蘇秦に資金を与えて、臣下と同盟を結ばせようとしました。蘇秦は世間に知られていたことわざを使って、このように臣下に説きました。

「鶏のくちばしになったとしても、牛の尻にはなるな。(小さな組織の一番上になっても、大きな組織に従ってはならない。)」このようにして、南北6国の同盟が成立しました。

「鶏口牛後」には後半がある?

「鶏口牛後」の後半の話

「鶏口牛後」には、続きの「後半」があります。後半は、蘇秦が6国同盟を結び終わり、裕福になっているところから始まります。

裕福になった蘇秦は、家族の態度が変わったことにがっかりしました。

趙の粛侯は蘇秦に領土や位を与えましたが、その後、蘇秦は趙を欺いて同盟を破壊しようとしました。その計画によって斉と魏が趙を攻撃し、蘇秦は恐れて趙を去ったため、南北の6国同盟は消滅しました。

魏の国の張儀というものがいました。張儀は、蘇秦に恩を感じていたことから、蘇秦が趙にいる間は自分の意見を述べませんでしたが、蘇秦が去ってからは、6国が秦に仕える関係性の方がよいと説き、6国を横に連ねて、秦に仕えさせました。

「鶏口牛後」の使い方と例文とは?

「鶏口牛後」の就活・転職での使い方

「鶏口牛後」は、就活や転職の話で、時々使われる言葉です。会社選びのときに、大企業で働くのか、中小企業やベンチャーで働くのかを迷う人は多いでしょう。

「鶏口牛後」を当てはめれば、大企業の下の方で仕事をするよりも、小さな会社で思う存分実力を発揮した方がいいと考えられます。

ただし、大企業の方が安定しているのでいい、という考え方の人もいますので、就活や転職活動では、必ずしも「鶏口牛後」が当てはまるわけではありません。

「鶏口牛後」の良しあしは人それぞれということを忘れずに、相手に失礼にならないように使いましょう。

「鶏口牛後」を使った例文

「鶏口牛後」を使った例文をご紹介しましょう。

  • 大企業の仕事をしていても、やりがいを感じなかったので、鶏口牛後の気持ちで起業することにした。
  • 鶏口牛後とは言うけれど、私は大企業の下の方で安定した生活ができればいい。

まとめ

「鶏口牛後」とは、「けいこうぎゅうご」と読み、「大きな組織の一番下にいるよりも、小さな組織のトップになった方がよい」という意味の言葉です。現実では、大きな組織の下の方が小さな組織のトップよりもいいと考える人もいますので、「鶏口牛後」を使う時には、相手の気持ちを考えて使うとよいでしょう。