自然現象を使った四字熟語はたくさんありますが、その代表格が「疾風迅雷」です。「疾風」や「雷」を使って、この言葉はどのような意味を伝えているのでしょうか。
そこで今回は「疾風迅雷」の読み方から意味、由来や使い方、さらに類語などを解説します。
「疾風迅雷」とは?
疾風迅雷の意味①「素早く激しいさま」
四字熟語「疾風迅雷」の意味は、“素早く激しいさま”です。「しっぷうじんらい」と読みます。
「疾風」とは”はやて”とも言われる強く早い風のことで、一方「迅雷」は直訳すると”速い雷”となるのですが「雷の激しい轟(とどろき)」という意味です。
この二つの言葉を合わせた「疾風迅雷」は、言葉どおりに”強くて速い風と激しい雷”という意味で使われることもあります。
しかしそこから転じて「素早く激しいさま」という意味で使われることが多くなりました。
疾風迅雷の意味②「迅速な行動や事態の急激な変化」
「疾風迅雷」は「素早く激しいさま」がさらに発展させて、人の行動が速い様子から“迅速な行動”、または物事のスピードが速いことから“事態の急激な変化”という意味にも使われます。
つまり「疾風迅雷」という言葉は、いろいろな物事について「目にも止まらないほどのスピード」や「大変な激しさ」といった意味で解釈されて、異様のような意味になりました。
由来は中国古典『礼記』の一篇
「疾風迅雷」は、中国の古典『礼気』(らいき)の中の一篇「玉藻」(ぎょくそう)に由来します。
『礼記』は周(紀元前1046年~紀元前256年)からそれに続く漢の時代に儒学者によって編纂された書物で、「礼」について書かれています。「礼」とは様々な行事において守るべきマナーのことで、服装から道具、ものの言い方に動作に至るまで書かれています。
「疾風迅雷」が出てくる「玉藻」では、礼服の規定や礼儀作法について書かれていて、「疾風迅雷」は「若し疾風迅雷甚雨有らば」とあり、早い風と激しい雷という意味で使われています。
「疾風迅雷」は英語で“with lightning speed”
「疾風迅雷」を英語で訳す場合、竜巻や稲妻を使って訳されます。その例は次の通りです。
- “with lightning speed”「稲妻のスピードで」
- “as quick as lightning”「稲妻のように」
- “like a whirlwind”「竜巻のように」
いづれも「疾風迅雷」のように使わエる自然現象は違うとはいえ、「稲妻」や「竜巻」に自然の脅威を感じる点は世界共通なのでしょう。
「疾風迅雷」の使い方と例文とは?
スピードの速さを強調するための「疾風迅雷」
疾風迅雷の最もよくある使い方が、スピードの速さを強調するときに使い方です。「疾風迅雷の勢い」などというと、ただ速いというよりもずっとそのスピード感が強調されます。
攻撃のスピードを伝える「疾風迅雷」
「疾風迅雷」というの言葉の持つ力強さから、戦闘などの戦うシーンで使われることがあります。疾風や雷という言葉から受ける印象が、尋常ではない物々しさを伝えるのに合っているのでしょう。
「敵が油断したその隙に、疾風迅雷の攻撃を仕掛けた」
「疾風迅雷の機動性を誇る軍事力に完敗した」
急激な事態の変化の意味で使われる「疾風迅雷」
急激に事態が変わった、状況が変化したという意味で「疾風迅雷」は使われます。文学的な使われ方ですが、状況の突然の変化を比喩的に表現することができます。
「疾風迅雷の出来事に最初は戸惑ったものの、しばらくして落ち着きを取り戻した」
「疾風迅雷」の類語と例文とは?
類語①「電光石火(でんこうせっか)」
稲妻や石を打った出たときの火のように「動作などがとても早いこと」または「短い時間」のたとえになります。
「電光石火に仕事を終えた」
類語②「迅雷風烈(じんらいふうれつ)」
「激しい雷と風」のことであり、「行動が非常に早い様子」という意味です。
「この城は迅雷風烈にも耐えるほど頑丈だ」
類語③「迅速果敢(じんそくかかん)」
「とても速い」という意味の「迅速」と決断力があり、物事を思い切ってすることという意味の「果敢」から成り立っています。
その意味は「素早く決定して思い切って行動すること」と「思い切った行動をする決断力」があります。
「彼の仕事ぶりは迅速果敢で、次々と交渉を進める」
まとめ
「疾風迅雷」とは「非常に速く激しいさま」を意味する四字熟語です。「疾風」や「雷」という人が恐れるような自然現象を例えにして、早く進みまた激しい様子を表しています。スポーツや戦闘などでの素早い行動や、早い状況の変化などを表すのに使われます。
「サッカーの試合で、疾風迅雷のパスワークにより敵チームを翻弄した」
「疾風迅雷のように走った」