謙譲語とは?使い方一覧と尊敬語との違い・英語も解説(例文あり)

「謙譲語」という言葉は知っていても、意味や具体的な言い変えがわからないという人は多いようです。今回は「謙譲語」の意味や使い方をわかりやすく解説します。食べる・見る・聞く・言う・もらう、などの謙譲語が一目でわかる一覧もご紹介します。間違いやすい尊敬語との違いについても触れているので参考にしてください。



「謙譲語」の意味とは

謙譲語とは相手に対してへりくだる表現

「謙譲語」は「けんじょうご」と読む、日本語の種類のひとつです。「謙譲語」には「相手に対して、謙遜してへりくだる言葉」という意味があります。目上の人や、失礼があってはならない人に対して使う言葉を総称して「謙譲語」と言います。

「謙譲語」の「謙」は「へりくだる」、「譲」は「権利の主張を控える」という意味を字で、「謙譲語」は、相手に対してへりくだり、自分を主張しすぎない言葉、と言い変えることもできます。

仕事で使える「謙譲語」の使い方一覧と例文

「言う」は「申す」「申し上げる」

言葉を発する「言う」という動詞は、謙譲語にすると別の言葉になります。それは「申す」または「申し上げる」です。通常の会話では、「申す」は「申し」などと少し形を変えて使われることがほとんどです。

  • 「私が申しましたのは、Aの案件についてでございます」
  • 「弊社社員の田中が申すには、この商品がもっとも売れ行きが良いようです」
  • 「先日いただいた改善希望案についての、回答を申し上げます」

「聞く」は「うかがう」

日本語の「きく」には、「聞く」「聴く」「訊く」がありますが、この中の「聞く」は「うかがう」です。他の「聴く」は耳を傾けて意識的に聴くで、謙譲語では「拝聴(はいちょう)」「訊く」は相手に質問をするなど、問いかける意味の言葉で、謙譲語では「聞く」と同じ「うかがう」となります。

  • 「部長のお話をうかがい、大変共感いたしました」
  • 「先日の講演会を拝聴いたしました」
  • 「先ほど、先方へうかがったところ、例の件は問題なく進められているとのことです」

「見る」は「拝見」「見せていただく」

何かを目に映すことを「見る」と言います。この「見る」を謙譲語にすると「拝見」となります。「拝見」とは、「拝聴」などと同じで「拝むようにして見る(聴く)」という意味の謙譲語です。しかし、この「拝見」は、テレビ番組や公演などを一方的に見る、というニュアンスが強くなります。

ただ単に「何かを見る」という意味で使うのであれば「見せていただいた」「見せていただく」などが謙譲語として使えます。

  • 「田中様がご出演になられたテレビ番組を拝見しました」
  • 「先日見せていただいた資料よりも、より魅力的な内容となっております」

「食べる」「もらう」は「いただく」

何かを食べたり、飲んだりすることは謙譲語で「いただく」と言います。食べ物はもちろんですが、お茶やコーヒーなどの飲み物もすべて、口に入れるものは「いただく」です。

また、「いただく」は「食べる・飲む」以外にも、「何かをもらう」という意味で使うこともできます。「食べる・飲む」と「もらう」はイメージが異なる動作ですが、食べたり飲んだりするものも、相手からもらった上で「いただく」ので、使われる謙譲語は同じです。

  • 「先日の会合では大変おいしい料理をいただきました」
  • 「田中様よりいただいたお菓子は、課員でおいしくいただきました」

「行く」「寄る」は「参る」「伺う」

どこかに出かけて行く、立ち寄る、訪問する、これらは日常ではすべて「行く」という言葉で表されます。これを謙譲語にすると、出かけて行くことは「参る」「参ります」、立ち寄る、訪問するは「伺う(うかがう)」です。

  • 「田中は本日、新作発表会に参りました」
  • 「営業の帰りに、新規契約をいただいた企業へご挨拶に伺いました」
  • 「この後、A社に伺う予定です」

「会う」は「お目にかかる」

誰かに「会う」という言葉は、ビジネスシーンでも頻繁に使われる言葉でしょう。「会う」の謙譲語は「お目にかかる」です。美化後の「お」を付けて「お会いする」と言うこともできます。

  • 「先日、A社の田中様にお目にかかりました」
  • 「本日は新しい担当者様にお会いできるとのことで楽しみに参りました」

「好き」は「好む」・「嫌い」は「好まない」

人の好みを表す「好き・嫌い」も謙譲語で伝えることができます。「好き」は「好む」「嫌い」は「好まない」です。「好き・嫌い」という直接的な言葉をビジネスシーンで使うと、言い方によっては少し幼い印象となります。

  • 「私は辛い味付けが好みでして、健康診断でいつも注意されております」
  • 「好きか嫌いかと聞かれれば、正直好みではございません」

宛名の「様」は「宛」「行」

手紙やハガキ、招待状などに書かれる「様」という敬称も、自分宛にふさわしいものに変えることができます。「様」を自分に向ける場合は「宛(あて)」または「行(いき)」です。謙譲語とは少しニュアンスが異なりますが、一緒に覚えておくと便利です。

  • 「株式会社〇〇物産 営業部 田中 行」
  • 「ご参加いただける方は、お手数ですが営業部・田中宛にご返信ください」

尊敬語の意味と謙譲語と尊敬語の見分け方

尊敬語とは相手を敬う表現

「謙譲語」と反対の意味にあるのが「尊敬語」です。「尊敬語」は言葉通り、相手を尊敬して使う言葉で、自分よりも相手を高いところに置いた場合に選ばれる言葉です。

「謙譲語」と「尊敬語」は、役割は反対ですが、いずれも目上の人に対して使う言葉であるため混同しやすく、見分けがつきにくいことがあります。

尊敬語には決まった3つの形がある

尊敬語は主に3つの形に分類されます。1つ目は、語尾を「~れる」「~られる」として尊敬語とする形、2つ目は「尊敬語」というその状況に合った特別な言葉を使う形、3つ目は、「お」または「ご」を名詞や動詞に付けて丁寧語として使う形、です。

言葉や文章の中に、上記3つの内どれかの形が用いられていれば、それは尊敬語ということになります。2つ目の「その状況に合った特別な言葉」とは、「おっしゃる(言う)」「なさる(する)」などに代表されるもので、状況に応じて使い分けます。

「謙譲語」の英語説明

謙譲語を英語で説明する場合は「humble from」を使う

「謙譲語」という認識は、日本だけでなく英語圏にもあります。「謙譲語」は英語で「humble from」または「expression of modesty」です。

「humble」には「謙虚な」「つつましい」という意味があり、日本ほど謙譲語に対する意識が強くない、と言われている英語圏の人にも「へりくだった」と言うニュアンスを伝えやすいかもしれません。

また「modesty」にも「謙遜」「控えめ」という意味があり、相手に対して恐れながら接する、というイメージを持ってもらいやすいでしょう。

まとめ

「謙譲語」は、ある意味では尊敬語よりも難しいと感じる人が多いかもしれません。自分のことだから、どんな言い方でも良いだろう、と考えてしまいがちですが、目上の人との会話で言葉を選ぶのは、自分のためではなく相手のためです。相手が聞いて気分が悪くならないようなへりくだり方をすることも、重要なおもてなしのひとつなのかもしれません。