「唯々諾々」の意味とは?類語「付和雷同」との違いや対義語も

「唯々諾々」(唯唯諾諾)という四字熟語を知っていますか?「付和雷同」との違いがわかりにくい言葉ですが、どちらもビジネスでは好まれない態度を表します。

この記事では、「唯々諾々」の意味や使い方および例文と、「付和雷同」など類義語との違いを紹介します。対義語や英語表現も紹介しています。

「唯々諾々」の意味と使い方とは?例文も紹介

「唯々諾々」の意味は”はいはいと言いなりになること”

「唯々諾々」の意味は、“はいはいと言いなりになること”です。「人におもねる」という意味もあり、逆らわずに言いなりになることでに気いられようとするという意味も含まれます。

「唯」には「はい」という応答の言葉の意味があり、「諾」には引き受ける、応答する、という意味があります。つまり「唯々諾々」の漢字からは、「はいはい、わかりましたわかりました」という、言いなりになっている人の様子が見て取れます。

「唯々諾々」の読みは”いいだくだく”

「唯々諾々」の読み方は“いいだくだく”です。「唯唯(いい)」と「諾諾(だくだく)」の二つの熟語があわさった四字熟語です。

「唯々諾々」の出典は中国古典の『韓非子』

「唯々諾々」は、中国古典の『韓非子(かんぴし)』における、臣下が悪を成し遂げる術として語った「八姦(はっかん)」篇に挙げられた次の説が出典です。

書き下し文:「主未だ命ぜずして唯唯、未だ使はずして諾諾」
現代語訳:「君主が命令する前から、はいはい、と言い、何かを命令する前から、わかりましたわかりました、と言う」

このような臣下は君主の顔色を見て君主に先んじる者で、臣下はこれによって悪を成し遂げる。それによって君主は耳目をふさがれることになり、結果的にその地位や富を失う原因であるので、注意しなければならない、という文脈で書かれています。

つまり、唯々諾々と従う臣下は、何らかの下心があって、一見して従順に見える態度を取っているということになります。

「唯々諾々」の使い方の注意点と例文

「唯々諾々」は、人が無批判、従順に他者に従う様子を表すときに一般的に使われますが、その心のうちは行動とは違うことを考えているという意味を含むため、使用する場面には注意が必要です。

また、「私はあなたに唯々諾々と従います」などと自分自身の態度について積極的な意味では使われません。「唯々諾々」は、従順という意味ではなく、あえて言いなりになる、おもねるなどの、人の行動としては良いとはいえない態度であるためです。

例文:

  • 唯々諾々と受け入れているようにみえたが、実は不満がくすぶっていた
  • 彼は部長の命令にいつも唯々諾々と従っているが、その心のうちは誰にも明かしていない
  • 自分の考えを押し殺して、唯々諾々として従わざるをえない雰囲気があった

「唯々諾々」の類語とは?

類語「付和雷同」の意味と「唯々諾々」との違いを確認しておきましょう。その他の類語も紹介します。

「付和雷同」の意味は”人の意見に安易に賛同すること”

「付和雷同」(ふわらいどう)とは、自分の考えを持たずに人の意見に安易に賛同することです。

「付和雷同」は、もともとの自分の考えがないまま人の意見に同調することをいいますが、「唯々諾々」はたとえ自分の意見があったとしても、自分の意思や意見が何もないかのごとく、人の言いなりになる様子を表します。

安易に同調する態度が「付和雷同」で、人の意見にただただ従う態度、あるいはそのように見せかける態度が「唯々諾々」だと覚えておきましょう。

「百依百順」の意味は”何でも人の言いなりになること”

「百依百順」(ひゃくいひゃくじゅん)とは、何でも人の言いなりになることをいいます。「依」は頼るという意味で、「順」は逆らわないという意味です。「百」は数が多いことを表します。「百順百依」ともいいます。「唯々諾々」とほぼ同じ意味で使われます。

「盲従」の意味は”分別なく人に従うこと”

「盲従」(もうじゅう)とは、自分で判断せず、分別なく人にひたすら従うことをいいます。自分の判断ができない状態にあって人に従うことを表すところが、「唯々諾々」とは違うところです。

「唯々諾々」の対義語・反対語とは?

「不承不承」の意味は”いやいや承知すること”

「不承不承」(ふしょうぶしょう)とは、気が進まないまま、いやいや承知することです。
「不承不承ながら、その書類にサインした」などと「しぶしぶ」何かをするときに使います。

「唯々諾々」の英語とは?

「唯々諾々」の英語は”compliant”や”obedient”

「唯々諾々」の英語に関連した形容詞には次のものがあります。

  • 言いなりになる:「compliant」
  • 従順な:「obedient」「pliable」

例文:

  • 「彼は上司の命令に唯々諾々と従った。」
    He was compliant to the orders made by his boss.
  • 「唯々諾々と従う人々」
    People who obediently followed.

まとめ

「唯々諾々」とは、どんなことにも反論せず、はいはいと従うことをいいます。相手の言いなりになったり、へつらったりする様子であり、おとなしく素直な態度としての「従順」とは違う意味合いですので間違えないようにしましょう。

類義語の「付和雷同」は、自分の考えがないまま人の意見に同調することをいいます。「自分の考えがないまま」というところが「唯々諾々」との違いです。「唯々諾々」は、自分の意思や意見が何もないかのごとく、人の言いなりになる様子を表します。両者には、安易に同調している状態と、心のうちはどうであれ、言いなりになっている状態との違いがあることがポイントです。