白い眉と書いて「白眉」という漢字。もともとは白い眉という意味でしたが、まったく違う意味の言葉として使われているのをご存知でしょうか。今回は「白眉」の意味と、まったく違う意味の言葉になった由来の話を紹介します。「白眉」の使い方も例文を交えて紹介していますので、覚えて使ってみてはいかがでしょうか。
「白眉」の意味や読み方とは?
「白眉」の意味は”たくさんある中で最も優れている”
「白眉」の意味は、“たくさんある中で最も優れている”です。もともとは漢字の通り「白い眉」を指す言葉でしたが、三国志に書かれた「白い眉」を持つ優れた人の話が元になって、「たくさんある中で最も優れている」という意味に転じています。
由来のお話では、優れているのは「人」ですが、現代で「白眉」という言葉を使う時には、「人」でも「物」でもどちらでも使うことができる言葉です。
「白眉」の読み方は”はくび”
「白眉」の読み方は“はくび”です。「白線」の「白(はく)」は、一般的な読み方ですが、「眉」を「び」と読む機会は多くはないでしょう。「眉」と「目」のことを合わせて「眉目(びもく)」と呼ぶなど、時々使われる読み方です。
「白眉」の使い方と例文とは?
誉め言葉として使う「白眉の出来」
「白眉」の使い方として「白眉の出来」という表現があります。「たくさんある中で最も優れているできあがり」という意味になります。例えば「この絵画は白眉の出来だ。」という文は、「たくさんある絵画の中で最も優れたできあがりの絵画だ。」という意味になります。
将棋の解説で使われる「白眉の一局」
「白眉の一局」は、将棋棋士の藤井聡太さんが、羽生善治さんの将棋の解説で使い、注目をあびた言葉です。「特に第4局は白眉の一局だと思います。」という解説をしました。
このとき羽生善治さんは、渡辺明さんと7番勝負をしていたため、藤井聡太さんの解説は、「7回の対局のうち第4局が一番素晴らしかった」ということを表現しています。
「白眉」を使った例文
「白眉」を使った例文をいくつかご紹介しましょう。
- この作品は、歴史を描いた映画の中でも白眉の出来である。
- この短編集の白眉は、4つ目のお話だと思う。
- 彼は非常に優秀で、卒業生の中の白眉と呼ばれていた。
- この作品は、4ページ目のシーンが白眉だ。
「白眉」の由来とは?
「白眉」の由来は”三国志”
「白眉」の由来は「三国志」の「蜀書 馬良伝」に記載されているお話です。とても優秀な5人兄弟がおり、なかでも長男の「馬良」が最も優れていました。馬良の眉に白い毛が生えていたことから、「白眉が最も良い」と言われるようになりました。
このお話が元になって「白眉」は「たくさんある中で最も優れている」という意味になりました。
「白眉」の漢文と現代語訳
「白眉」の由来となった話の漢文は以下のようになっています。
蜀志、馬良字季常、襄陽宜城人。
蜀志にいう、馬良、字は季常、襄陽宜城の人なり。兄弟五人、竝有才名。
兄弟五人、並びに才名有り。郷里爲之諺曰、馬氏五常、白眉最良。
郷里之が為に諺して曰わく、馬氏の五常、白眉最も良し。良眉中有白毛。
良の眉中に白毛有り。故以稱之。先主稱尊號、以良爲侍中。
故に以て之を称す。先主、尊号を称し、良を以て侍中と為す。
現代語訳は以下のようになります。
馬良は、字(あざな、呼び名のこと)を季常といい、襄陽宜城(地名)の人である。兄弟5人皆優秀で評判だった。郷里の人々は「馬氏の五常(名前に常のついた5人兄弟のこと)、白眉が最も優秀だ。」馬良の眉には白い毛が生えていた。そこで、このように言われたのだ。先主(劉備)は、帝位につくと馬良を侍中(官職のこと)にした。
「白眉」の類語とは?
「白眉」の類語は”白眉最良”や”馬良白眉”
「白眉」の類語には“白眉最良”と“馬良白眉”があります。漢字からもわかる通り、同じく「三国志」の「白眉」の話から作られた言葉です。「白眉」「白眉最良」「馬良白眉」は、すべて同じ意味の言葉で、「たくさんある中で最も優れている」という意味です。
「白眉」の英語表現とは?
「白眉」は英語で”masterpiece”
「白眉」の意味である「たくさんある中で最も優れている」という意味では、傑作という意味の“Masterpiece”を使うことができます。ただし傑作は、主に作品に使う言葉ですので、人に使う時には違う表現が必要です。
人に使う時には、「most excellent person(thing)」と記載し、「最も優れた人(物)」という表現が良いでしょう。
まとめ
「白眉」は「はくび」と読む故事成語です。もともとは「白い眉」という意味の言葉ですが、「三国志」の「蜀書 馬良伝」が由来となり、「たくさんある中で最も優れている」という意味の言葉として使われています。由来となった話は、5人の優秀な兄弟のうち、一番優秀な長男の眉に白い毛が生えていたという内容です。そのため、優秀なものがたくさんある中で、さらに最も優れているという誉め言葉として使われることが多いです。使いこなせると、語彙力が高いと感じられる単語の1つです。ぜひ覚えておきましょう。