「犬猿の仲」の意味と由来とは?類語と対義語も紹介(例文つき)

仲が悪い者同士に対して「犬猿の仲だ」と使うことがあります。日本で有名な童話「桃太郎」の物語では“犬”と“猿”は鬼を退治する仲間ですが、なぜ不仲の意味で使われるようになったのでしょうか?今回はそんな疑問を解決するためも、由来に触れながら「犬猿の仲」について詳しく解説していきます。類語や対義語、英語表現も紹介します。

「犬猿の仲」の意味や由来とは?

「犬猿の仲」の意味は”とても仲が悪い”

「犬猿の仲」の意味は、”仲が悪いこと”です。ただ仲が悪いのではなく、「顔を合わせると喧嘩が始まってしまうくらいの仲の悪さ」を表していて、“お互いを敵視している”や“絶対に分かり合えない”といったニュアンスが含まれています。

由来は「干支の順番」などいくつかある

「犬猿の仲」の由来は複数あります。今回は数ある中から有力なものを4つ紹介します。

由来① 干支の順番
1つ目は、干支の順番が関係しています。干支は、神様が十二支を決めるため呼び出した動物の到着した順で決まったとされています。犬と猿は仲良く一緒に神様のもとへ向かっていましたが、途中、猿が犬にいたずらを仕掛け先に到着。これを期に犬は猿を恨むほど嫌いになり、猿の姿を見るたびに威嚇したことが2匹の仲の悪さを印象づけたと言われています。

由来② 狩猟時の犬と猿の関係
2つ目は、狩猟の時に連れていく“猟犬”と“野生の猿”との関係が由来とされています。縄張り意識の強い猿は猟犬に出くわすと激しく威嚇。その場面を見かけた人間が「犬と猿は仲が非常に悪い」と思い、不仲の間柄にも使うようになったと言われています。

由来③ 犬と猿の性質の違い
犬は昔から人間と近い距離で生活をともにする動物で、信頼をおいている飼い主を含む自分の縄張りを守ろうとする性質があります。しかし猿は、自分たち“群”の縄張りを守ろうという意識が非常に強く、犬のように人間を守ったりしない性質の生き物と思われています。こういった対立し合う2匹の性質の違いが由来となったとも言われています。

由来④ 有名な物語「西遊記」のとあるシーン
最後は、猿がモデルのキャラクター“孫悟空”が主役の物語「西遊記」のとあるシーンです。孫悟空は、目指していた天界に到着したときに激しく暴れまわったり盗みを働きました。天界の神様は孫悟空の悪さを食い止めようと愛犬と戦い、最後に犬が孫悟空に噛みつき取り押さえることに成功します。このシーンが、「犬と猿は宿敵である」とイメージをつけたと言われています。

「犬猿の仲」の使い方と例文とは?

お互い嫌い合っている間柄で使う

「犬猿の仲」は“敵視し合っているニュアンス”がある言葉なので、お互い意識的に嫌いという気持ちを抱いている間柄のみに使います。そのため、どちらか一方が嫌だと思ってる場面では使えません。

「犬猿の仲」を使った例文

「犬猿の仲」を使った例文をいくつかご紹介しましょう。

  • 「あの人とは昔から犬猿の仲だ」
  • 「ついに犬猿の仲だった兄弟が分かり合えた」
  • 「今日は犬猿の仲であるライバル会社と話し合いだ」
  • 「〇〇さんと〇〇さんは犬猿の仲だから、同じオフィスにしないように」
  • 「犬猿の仲と聞いていた2人だったが、実際に会ってそれが嘘だとわかった」

「犬猿の仲」の類語と対義語とは?

「犬猿の仲」の類語は”水と油”

「犬猿の仲」の類語には、同じことわざ表現の「水と油」(みずとあぶら)を紹介します。「水と油」は、混ざりあえない2つの物質を“性格や性質の合わない様子”にたとえた言葉です。「しっくり合わない」や「調和がとれない」という意味を持ち、気が合わない間柄を表しています。「犬猿の仲」と非常に似ていますが、「水と油」にはお互いを敵視しているニュアンスはありません。

「犬猿の仲」の対義語は”魚と水”

「犬猿の仲」の対義語には、同じことわざ表現の「魚と水」(うおとみず)を紹介します。「魚」は「水」がなければ死んでしまうように、2つは切っても切り離すことができない関係です。この様子から、「犬猿の仲」とは対照的な「非常に仲の良い間柄」という意味で使われます。

「犬猿の仲」の英語表現とは?

「犬猿の仲」の英語表現は”fight like cats and dogs”

「犬猿の仲」を英語にする場合、「猿」ではなく「犬」と仲が悪いとされている「猫」を使い「fight like cats and dogs」(直訳:猫と犬のように喧嘩する)と表現します。「dogs and monkeys」では意味は伝わりません。

「hate each other」でも表現できる

動物を表す単語を使わないなら、“お互いを嫌い合っている”という意味の「hate each other」でも表現できます。「hate」は”嫌悪する“や”憎む“といった意味も含む単語なので、「犬猿の仲」のような敵視しているほど嫌いな相手に使うには適切です。

まとめ

「犬猿の仲」は嫌い合っているような間柄に使う言葉で、顔を合わせれば喧嘩になるほど非常に仲が悪い関係を表します。「あの2人は犬猿の仲だから」と言われたら、火に油を注ぐようなことはしないよう注意してください。

今回紹介した類語や対義語、英語表現はわかりやすい言葉を紹介しています。日常会話やビジネスシーンでも使えるので、あわせて覚えておきましょう。