「やんごとなき」の意味とは?正しい使い方と類語や英語訳も紹介

古語として使われる「やんごとなき」という言葉は、現代でも本の中や、時にはビジネスシーンなどでも聞かれることがあります。しかしこの「やんごとなき」の意味を、ちゃんと分かっているでしょうか。

そこでこの記事では「やんごとなき」の意味と正しい使い方にあわせて、類語や英語表現も解説します。

「やんごとなき」とは?

「やんごとなき」の意味は”身分が高い・重要な”

「やんごとなき」の意味は、“身分が高い・重要な”です。他にも「高貴だ・並ではない・特別である」などの意味もあります。物事の特別な状態や重要なことを指すときに使われます。

身分に対してまたは物事に対して、特別であり、時には重要だという意味で「やんごとなき」が使われます。

かしこまった会話で使われる

古語として使われていた「やんごとなき」の歴史は古いのですが、現代語としても使われます。身分の高い一族を「やんごとなき一族」と呼んだり、ビジネスシーンなどのかしこまった会話の中で重要な事情を「やんごとなき事情」と表現したりします。

ただしあまり日常会話で使われる表現とは言えません。そのため日常会話で「やんごとなき」を使えば聞き手の意表をつく言い回しとなることを覚えておきましょう。

語源と漢字「止(ん)事無き」

「やんごとなき」の語源は「止むに止まれぬ」で、これが一般語化されて「やんごとなき」になりました。原義は「捨ててはおけない」で、気になることをそのままにしておけないという意味を、二重否定して表現するという用法です。

また漢字では「止(ん)事無き」と書き、「ん」はあったり省略されたりします。

「やんごとなき」は古語”やんごとなし”の連用形

「やんごとなき」は古語の「やんごとなし」の連用形です。連用形とは、その語に別の用語を後に連ねるときの活用形で、例えば「高く飛ぶ」のときの「高く」や「咲き散る」の「咲き」が連用形です。

また古語の「やんごとなし」の意味はいくつかあり、「やむをえない」「そのままにしておけない」「なみなみでなく格別である」「身分が高貴である」「貴重だ」や「学問などの知識がある」といった意味があります。

「身分が高貴である」という意味は少し家柄いいという程度で使われることはなく、最高級の高貴さであり家柄も最も高い場合に使われます。

「やんごとなき」の使い方と例文とは?

「高貴である」の意味は皇族など”身分が最高位”のときに使う

現代語として「やんごとなき」を使う使い方は、主に二つあります。ひとつ目は高貴であるという意味です。「高貴である」という場合は、その身分は最高位である場合です。日本なら皇族などに対して「やんごとなき人々」や「やんごとなき方々」のように使われます。

「重要である」の意味で使う場合は”ただ事ではない”事情に

貴重や重要であるの意味で使う「やんごとなき」は、「ただ事ではない特別」といった意味があり、時には緊急性が含まれている場合もあります。「やんごとなき事情」のように事情や状況を説明するのに使われます。

「やんごとなき」を使った例文

「やんごとなき」を使った例文をご紹介しましょう。

  • 「やんごとなき身分の方がいらっしゃっる」
  • 「やんごとなき状況のため、本日のミーティングは次回に延期する」
  • 「やんごとなき事情により遅れました。申し訳ありません」

「やんごとなき事情」の誤用に注意

どうにもならない事情や理由という意味で「やんごとなき事情」が使われる場合がありますが、使う状況に合わせた使い方をしましょう。

「やんごとなき事情があって遅れました」など大切な会議に遅れたときの言い訳として使われますが、そのように聞いて「何か大変なことがあったんだな。仕方がない」というふうに特に詮索することなく受け入れてもらえる場合もあります。

その一方で遅れた事情を知りたいと思う人もいますから、むやみに「やんごとなき事情」を使うのではなく、状況によっては具体的に遅れた理由を話す必要があります。「やんごとなき事情」は使って相応しい場合とそうでない場合もあることを知っておきましょう。

「やんごとなき」の類語とは?

「やんごとなき」の類語は”重要な・貴重な”

ここでは、一般的によく使われる「重要な」という意味の「やんごとなき」の類語を紹介します。

  • 「重要な」

「やんごとなき」の意味を説明するときにも「重要な」が使われますが、類語としても最も一般的な表現になります。

例文:「重要な案件のため、審議は慎重に行う」

  • 「貴重な」

極めて大切という意味で、ある物事がとても大切だという意味で「やんごとなき」を使うときの置き換えることができます。

例文:「貴重な逸品」

「やんごとなき」の英語表現とは?

「高貴な」の意味なら”noble”

「やんごとなき」の「高貴な」という意味ならば、英語では「noble」が使えます。「貴族の」といった意味もあり、王族に対して、または一般的に身分や地位が最も高い人に対して使います。

例文:“a person of noble blood”「やんごとなき家柄の人」

「重要な」の意味なら”important”

「やんごとなき」を「重要な」という意味で使うのならば、「important」がよく使われる英語表現です。「important」には緊急性の意味も含まれることもあり、「やんごとなき」の英訳に適しています。

例文:
“Because of the important matters, I couldn’t come to the meeting on time.”
「やんごとなき事情により、会議に遅れた」

「貴重な」の意味なら”valuable”

「貴重な」という意味の英単語はいくつかあるのですが、「やんごとなき」のようにその価値を特に重要視するならば「valuable」があるでしょう。

もしも高価であることをポイントに置くならば「precious」という表現もあります。

例文:“a valuable article”「やんごとなき品物」

まとめ

「やんごとなき」とは身分の高さを意味する「高貴な」や、物事や状況が「貴重な」または「重要な」という意味の言葉です。古語として使われていましたが、現代でもビジネスシーンでは耳にする言葉です。

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「難解なワードでもわかりやすく」をモットーに、常識ワードからビジネス用語、時には文化・アート系など、幅広く記事を書かせていただいています。ドイツ在住で2児の母。好きな食べ物はビターチョコレートとナッツ類。