「雉も鳴かずば撃たれまい」の意味は?由来と似たことわざも

余計なことを口走ったことが災いとなり、トラブルになってしまうことはありませんか?周囲も「雉も鳴かずば撃たれまい」と囁いているかもしれません。

ここでは「雉も鳴かずば撃たれまい」の語源と意味をはじめ、使い方と例文、似たことわざと類義語、そして英語と中国語でのフレーズについてまとめています。職場で失敗をしないための心得としても、深い意味をもつ言葉です。ぜひ、参考にしてみて下さい。



「雉も鳴かずば撃たれまい」の悲しい由来と意味は?

それではまず「雉も鳴かずば撃たれまい」の気になる2つの由来と意味から紹介します。

由来は昔話「石川県民話」の「あずきまんま」

昔、屑川に「お千代」という娘がいました。母親は川の氾濫で亡くなり、父親と二人暮らしをしていました。貧しくも楽しく暮らしていましたが、ある日お千代は病にかかってしまいます。父親は「アワを食べて元気になりなさい」と言いますが、あずきまんま(赤飯)が食べたいとごねてしまいます。

父親は蔵に盗みに入り「お千代」に「赤飯」を食べさせてあげました。お千代は元気になりお千代は手毬歌で赤飯のことをくちづさむようになりました。

そんな矢先、屑川が氾濫し「人柱」を立てる話しが持ち上がっていました。「人柱」とは生きた人を土に埋めて神に無事を祈る風習の一つで、悪事を働いた人が犠牲になるのがほとんどでした。ここで「お千代」の手毬唄がある百姓の頭に浮かび、父親は人柱となってしまいました。

「キジ」を抱いたお千代の一言に涙

お千代は自分のせいで父親が人柱になったことを心から悔やみ悲しみました。幾日も鳴き続けましたが、その後、周囲と一言も口を聞かなくなってしまいました。

ある日、猟師がキジをしとめに山へと向かいました。猟師は銃の引き金を引き、キジをとらえた場所へと足を向けると、そこには立派な大人になったお千代が息のないキジを抱いてたたずんでいたのです。そこでお千代は猟師に向かいこう言ったそうです。

「キジよ、お前も鳴かなければ撃たれなかったろうに」

この言葉を残し、誰もお千代の姿を見なくなりました。その後、「キジも鳴かずば撃たれまい」という言葉が村に語り継がれ「人柱」を行うこともなくなったと言われています。

意味は「余計なことを口走ったことで災いを招くこと」

「雉も鳴かずば撃たれまい」はやや悲しい気持ちを引きずることわざとなりますが、意味は「余計なことを言ってしまったばかりに、後に自ら災いを招くこと」となります。

広い森林の中でも小さなキジなら簡単に隠れることができるでしょう。しかし、無駄に鳴いてしまったために自分の居所がバレてしまい、結局撃たれてしまうということから「不必要なおしゃべりや噂話などは、後に自ら災難を招く」という意味で使われるようになりました。

「雉も鳴かずば撃たれまい」の使い方と例文は?

それでは、実際に会話や文章で用いる時の正しい使い方について、例文と併せてみてみましょう。

「余計なおしゃべりはほどほどに」という戒めの意を持って使われる

使い方の例で最も多いのが「おしゃべりは災難を招く」「余計なことを言うと仇になる」というような心の内を比喩的に表現するときでしょう。つまり「不必要なおしゃべりや無駄な噂話は後で災難が降りかかるから、やめておくべきである」という自分や相手への戒めの意で使われることがあります。

「雉も鳴かずば撃たれまい」の使い方の例文

次に「雉も鳴かずば撃たれまい」を使った例文を挙げてみます。

  • 無駄なおしゃべりが仇となり、同僚のAは別の部署に飛ばされた。まさに雉も鳴かずば撃たれまいである。
  • 雉も鳴かずば撃たれまいとは言うが、自分の身を守るなら、職場では余計なことは言わないことだ。

どちらも、余計なおしゃべりが悪い結果をもたらすことを意図する文章です。

「雉も鳴かずば撃たれまい」に似たことわざ・類義語は?

続いて「雉も鳴かずば撃たれまい」に似たことわざと類義語について紹介します。

似たことわざは「口は災いの元」「多言は身を害す」

「雉も鳴かずば撃たれまい」に似たことわざはいくつかありますが、代表的なものに「口は災いの元」や「多言は身を害す」などがあります。また、「禍(わざわい)は口から」や「口は善悪の門」なども似た意味をつことわざです。

芭蕉の句「物言えば唇寒し秋の風」も似た意味を持つ

芭蕉の句の一つに「物言えば唇寒し秋の風」があります。この句の意味するところは「人の短所や弱みを言うのは寂しく、後味が悪いものである」ですが、現在は元の意味が転じて「無駄なことを口走れば災いを招く」とニュアンスで使われています。

「雉も鳴かずば撃たれまい」を英語と中国語で表現すると?

最後に「雉も鳴かずば撃たれまい」を英語と中国語でのフレーズを紹介します。

英語では定型フレーズ「loose lips sink ships」

英語で「雉も鳴かずば撃たれまい」は、定型フレーズとしてもよく使われる「loose lips sink ships(口元が緩めば船は沈む=おしゃべりは不幸を招く)」となります。つまり「余計なことを言うな、さもなければ自ら災いを招くぞ」という戒めの意味です。

「loose lips sink ships」が表す「余計なおしゃべりは災いを呼ぶ」は、英語圏のビジネスシーンでも常識に近いものがあります。クライアントに対し自分の会社の内情や人事関係の話をするのはもってのほかです。

中国語では「不作死就不会死」

中国語では「不作死就不会死(余計なことをしなければ、酷い目に合わなくて済んだ」」となります。読み方は「bù zuō sǐ jìu bú huì sǐ」ですが、一般的には俗語で「no zuo no die(アメリカではno do no dieで有名)」となります。

中国語の「不作死就不会死」はガンダムの有名なセリフ

ちなみに、アメリカや中国をはじめ世界的な人気を誇る「機動戦士ガンダム」の戦いの場面で「前に出てこなければ、無駄に死ぬことなかった」というセリフが世界的に注目を浴るようになりました。ここから中国のサイトを通して「不作死就不会死」を意味する「no zuo no die」が広まったと言われています。

まとめ

「雉も鳴かずば撃たれまい」は娘が手毬唄で余計なことを言ったばかりに「人柱」になった話が由来となることわざで、意味は「無駄なおしゃべりや余計な噂話をしてしまったばかりに、後に自ら災いを招く」となります。

「口は災いの元」が最も知られる類義語となりますが、日常生活でも職場でも「余計なおしゃべり」はほどほどにしないと、後で痛い目にあうかもしれません。くれぐれも「多言」には注意したいものですね。

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某私立大経営学部卒、大手旅行会社、商社を経て、豪州へ移住。米国PCメーカーのカスタマー部に勤務後、カンガルーやエミューのいるNSW州の片田舎で生活を開始。田舎暮らしをきっかけにフリーランス(ライター・翻訳)に転身し現在に至る。趣味はゴルフ、料理、ローカルとのゴシップ、キャンプ。