議事録の作成は新人が任されることの多い仕事ですが、意外と書き方がわからず、戸惑ってしまうことも多いのではないでしょうか。今回は議事録の書き方について解説します。「議事録とはどのようなものか?」の意味を確認したうえで、メモの取り方、議事録の見本・テンプレートも紹介しますので、ぜひ上司に認められる議事録を作成しましょう。
議事録の書き方とコツ
書き方は基本社内のフォーマットを利用
議事録は、正しい書き方が決まっているものではないので、会社によって異なるフォーマットが利用されています。基本的にはこれまで社内で使っていたフォーマットを使って記入するとよいでしょう。
会社によっては細かく記載して数枚作成していることもありますし、A4用紙1枚にまとめているところもあります。社内にフォーマットがない場合は、下で紹介しているテンプレートなどを参考にするとよいでしょう。
事前準備は要点・目的・構成
上手な議事録のコツは、事前準備をしっかりとすることです。事前準備でチェックするのは、これから行う会議の要点と目的を把握することです。何のための会議なのか、前回はどのような流れだったのかなどを確認しておきましょう。
次に会議の構成を作成しておきます。会議名や日時、場所など、わかっている部分を記入しましょう。構成例は下で紹介していますので、参考にしてください。
メモ・写真・マインドマップなどで記録する
会議が始まったら、とにかくしっかりと記録をしましょう。基本的には手書きでメモを取る人が多いです。終わった後に、ホワイトボードの写真を撮影することもあります。カメラの利用は会社によって禁止の可能性もありますので、確認してから利用しましょう。
メモの取り方として、マインドマップを利用する方法もあります。マインドマップとは、真ん中に議題を書き、そこから枝分かれするように議論の内容を記入していく方法です。
この他にも、ICレコーダーで記録する方法もあります。聞き逃すことのできない重要な会議であれば記録は必要ですが、ちょっとした打合せの場合は、記録をして聞き直すのは時間が掛かり過ぎるのでしないことが多いです。
不明点はその場で確認
会議をしていると、内容がよくわからなくなったり、聞き逃すこともあります。不明点はその場で確認しておきましょう。何度も議論を止めてしまうのは問題ですが、適宜確認するのは問題ありません。
5W1Hと数値に注意してまとめる
会議が終わったら、5W1Hに注意して議事録にまとめましょう。
5W1H
「Who(誰が・誰の)」
「What(何を)」
「When(いつ・いつまでに)」
「Why(なぜ・どうして)」
「Where(どこで)」
「How(どのように)」
どれかが抜けていると、意味が通じない議事録になってしまいがちです。特に主語と目的語がきちんとしているかも確認しましょう。会話では、主語や目的語を省略して話すこともあります。参加していない人でも理解できるようにまとめるのが大切です。
また、金額や回数などの数値はビジネスでは重要な項目です。「たくさん」や「多数」などの言葉は、人によって思い浮かべる数が違うこともありますので、できるだけ数値は記録しましょう。
口語は文語にまとめ、不要な部分は削る
まとめるときは、話し言葉である口語を、書き言葉である文語に直しましょう。例えば「○○について鈴木さんと話をしてみたのですが、あまり乗り気ではないようでした。」という内容は、「○○について鈴木さんと打合せ。消極的。」のようにまとめることができます。
口語を文語に直すのと同時に、不要な言葉は削除し、短くわかりやすくまとめましょう。あまりにも長文だと、議事録を読む人の時間が多く必要になります。
議事録とは何か
議事録とは「会議・株主総会・打ち合わせの記録」
議事録とは、会議や打ち合わせの記録です。ちょっとした社内の打ち合わせを記録することもありますが、株主総会や取締役会の議事録など、法律で作成するように定められているものもあります。
議事録の目的は「内容の周知と共有」、効率化もできる
議事録の目的は、会議の内容を会議に参加していない人に周知したり、欠席した人に共有することです。働き方改革や仕事の効率化として、会議の参加者を減らすべきという傾向もあることから、しっかりとした議事録を使って、参加していない人に内容を共有することは重要です。
議事録の構成例
議事録の構成も5W1H
事前準備で作成しておく議事録の構成を紹介します。わかりやすい文章と同じく、大切なのは5W1Hです。
議事録の構成例
- 会議名(What何)
- 日時(Whenいつ)
- 場所(Whereどこ)
- 出席者(Who誰)
- 議題(What何)
- 決定事項(Howどのように)
- 議論内容(Whyなぜ)
この他にも、質疑応答や次回の日程など必要な項目が追加されます。状況に合わせて、わかりやすくまとめるようにしましょう。
質疑応答の書き方
会議によっては、最後に質疑応答の時間を設けていることがあります。質疑応答には、意外と重要な内容が含まれていることがありますので、記載しておくとよいでしょう。
質疑応答は、一般的には構成の最後に記載します。ただし、質疑応答の時間が何度もあったり、最後に書くと見た目が不自然になる場合は、議論内容に差し込む書き方もあります。
質疑応答も口語ではなく文語に直して記載します。質問の内容と回答の内容をわけて記載すると見やすいでしょう。
議事録の書き方ポイント
出席者・参加者を敬称略にするときの注意点
社内会議の議事録では、出席者名や参加者名の敬称を省略することも多いです。ただし、敬称を省略するときには注意点があります。
まず、必ず「敬称略」と記載しておきましょう。出席者名の横か、最後にかっこ書きで記載します。例えば「出席者:鈴木、佐藤、高橋、山田(敬称略)」とします。また、出席者を書く順番は目上の人が先です。役職順に記載しましょう。
最後に、基本的に社外の人は、敬称を省略しないのがマナーです。失礼にあたりますので、必ず名前には「様」などを記載しましょう。ただし、あまりにも人数が多い場合は、敬称略と記載することもあります。状況に合わせて判断しましょう。
代理出席の書き方
会議では、まれに代理出席があります。鈴木さんが来られなくなったので、急遽、山田さんが来るという場合です。その場合は「代理出席」と記載しておきましょう。
例えば、出席者の欄に「鈴木太郎会長(山田花子副会長代理出席)」のように記載します。代理出席者が多い場合は、出席者欄の下に代理出席者の欄を設ける方法もあります。
発言者を書く場合と書かない場合がある
議事録の作成では、どの発言を誰がしたのかがわかるように発言者名を記載しましょうと言われることも多いです。しかし、実際には発言者名を書く場合と書かない場合があります。
例えば、取引先との重要な会議であれば、議事録に書かれた発言に契約書のような効果が生まれることもあります。そのような重要な場面では、発言者名も重要になってきますので、忘れずに記載しなければなりません。
逆に、社内の打ち合わせでは、できるだけ議論を活性化させるために発言者名を記載しないこともあります。これは、発言したことを記録に残されることで、何か責任を負わされるのではないかと、発言を控えてしまうことを防止する意味を持っています。
基本的には、これまでの社内の議事録を確認して、発言者名を書くかどうかを決めるとよいでしょう。
会話形式の議事録のメリット・デメリット
議事録は基本的には書き言葉である文語で書きます。会話形式のものは「議事録」よりも「発言録」と呼ばれます。
しかし、会話形式の議事録の方が、参加していない人に伝わりやすいことを考慮して会話形式の議事録を作成する会社もあります。その場合には、口語で話した通りに記載しましょう。
会話形式の議事録は、参加していない人にも、会議の雰囲気が伝わりやすいというメリットがありますが、作成するのに時間がかかるというデメリットもあります。会社に合わせるのが基本ですが、場合によって使い分けても良いでしょう。
議事録の見本
議事録のテンプレ・サンプル
会議名 | 飲食店集客UPについてのミーティング |
開催日時 | 2019年3月12日(火)13時~14時 |
場所 | 会議室B |
参加者 | 鈴木、佐藤、山田、高木、高橋(敬称略) |
議題 | 集客UPについて |
【決定事項】 子連れのお客様を増やすための具体的な案を次回までに各自検討【議論内容】 現状について
家族連れが来店に至らない予想される原因
対策案
【次回ミーティング】 2019年3月19日(火)13時~14時 |
まとめ
議事録の書き方の流れは、「事前準備」「会議当日」「まとめ」の3段階です。事前準備では、会議の要点・目的を確認し、構成を作ります。会議当日は、できるだけしっかりとメモを取り、記録を残しましょう。最後に、口語を文語に直し、見やすくまとめます。まとめるときには5W1Hを意識し、会議に参加していない人でも内容を理解できるようにすることが大切です。