「玉に瑕」の意味とは?語源や類語・使い方と英語表現も解説

完璧に見えるのにあの欠点が惜しいといった時に使われる「玉に瑕」ということわざは比較的よく聞かれますが、果たしてその意味を正しく理解しているでしょうか。

そこで今回は「玉に瑕」の意味や由来を解説して、類語・対義語もご紹介。さらには「玉に瑕」の正しい使い方と例文、英語表現も併せて説明します。

「玉に瑕」とは?

「玉に瑕」の意味は”立派に見えるのに、わずかな欠点があること”

ことわざ「玉に瑕」の意味は、“完全で立派な物事の中に、わずかな欠点があること”です。

「玉」が「立派なものや美しいもの」という意味であるのに対して、「瑕」は「玉の表面に付いたきずやひび」を指すこともあれば「欠点がある状態」や「罪」といった意味もあります。

つまり立派なものに欠点がある状態、その欠点さえなければ完全だといった状態を表したことわざです。

「玉に瑕」の読み方は”たまにきず”、アクセントは”ま”

「玉に瑕」の読み方は、“たまにきず”です。「玉」を読むときのアクセントは“ま”です。

「玉」を読み間違えて「た」にアクセントを置いてしまうと、地名の「多摩」やよく猫などになづけられる「たま」になってしまいます。また偶然という意味の「たま」という固有名詞になってしまいます。

一方「ま」にアクセントが付けられるときは、「たま」と呼ばれる球体の形をしている言葉全般で、「玉」や「弾」も「ま」にアクセントがつきます。

「玉に瑕」の語源は中国・後漢時代の『論衡』

「玉に瑕」は中国は後漢時代に思想家「王充」よって著された『論衡』(ろんこう)の一巻「累害篇」(るいがいへん)に出てきます。

『論衡』は儒教の教えに始まり当時の政治や風俗を批判する大書で、その批判的な考察は当時としては珍しいものでした。

「玉に瑕」は”傷”では誤り

「きず」といえば「瑕」という漢字よりも「傷」のほうがよく使われますが、「玉に瑕」には「瑕」の字が使われます。

「傷」という漢字は皮膚を打ったり切ったりしたときの「ケガ」の意味です。一方「瑕」は玉の表面のきずであり欠点という意味になり、同じ「きず」という音でも使い分けされます。

常用漢字でない「瑕」

ただ「瑕」という漢字を私たちが日常的にあまり見かけることがない理由は、「瑕」は常用漢字ではないからです。常用漢字ではない漢字は新聞などではひらがなに置き換えられることが多いようです。

では常用漢字を使ってはいけないのかというかと、そうではありません。常用漢字とは、日常的によく使われる漢字の目安として内閣告知によって示されたもので、漢字の使用を制限しているわけではありません。

ですから「玉に瑕」の「瑕」はあまり使われない漢字ですが「瑕」を使うか、わかりにくいと思うのであればひらがなで表記するようにしましょう。

「玉に瑕」の類語と対義語とは?

「玉に瑕」の類語は”白璧の微瑕”

  • 「白璧の微瑕」(はくへきのびか)

「白璧の微瑕」とは「ほとんど完全なものに、ほんの少しだけ欠点があることのたとえ」です。

「白璧」とは「白い宝玉」のことで、その宝玉にほんの少しのきずがある状態から上記のような意味のたとえとなりました。

ところで「白璧」は「白い壁」(しろいかべ)と間違われやすいのですが、「壁」ではなく「璧」、つまり「完璧」(かんぺき)の「璧」の字なので書き間違えには注意しましょう。

「玉に瑕」の対義語は”瑕に玉”

  • 「瑕に玉」(きずにたま)

「玉に瑕」を逆にした表現である「瑕に玉」。冗談のようですが、立派なことわざであり、その意味は「玉に瑕」の反対になります。

正確にはその意味は「欠点ばかりが目立つけれど、わずかにいい点もあること」です。

「玉に瑕」の使い方と例文とは?

 

「完璧に見えて、少しの欠点がある人」に使うことが多い

「玉に瑕」は完ぺきに見えるのに、少しの欠点があるといった人を形容するのに使われることが多いことわざです。

成績が優秀、仕事ができる、見た目も完璧といった誰もがうらやむような長所をたくさん持っているけれど、小さな欠点があり完璧ではないと思われるようなことがある場合に「玉に瑕」が使われます。

「玉に瑕」を使った例文

「玉に瑕」を使った例文をご紹介しましょう。

  • 「彼は学業優秀でみんなから注目を浴びる存在なのに、ちょっとだらしのないところがあるのが玉に瑕」
  • 「彼女は仕事ができて美人でもあるのに、言葉遣いがきついのが玉に瑕だ」
  • 「おしゃれな内装じゃないのが玉に瑕だけど、味はいいレストランだよ」

「玉に瑕」の英語表現とは?

「玉に瑕」の直訳”flaw in the crystal”

「玉に瑕」を英語で直訳するなら“flaw in the crystal”です。

「crystal」は「水晶玉」を意味して、「flaw」は「欠陥」を意味します。

慣用句なら「fly in the ointment」

「玉に瑕」と同じ意味の英語の慣用句なら“fly in the ointment”(「軟膏の中のハエ」)です。

このことわざの意味は「玉に瑕」と同じく「完ぺきに近い状態」や「ほんの少しの欠点により完ぺきではない」という意味であったりしますが、さらに転じて「楽しみを台無しにする人のたとえ」としてもよく使われます。

聖書から生まれたことわざで、軟膏にハエが一匹入っていただけで誰も使わなくなるというエピソードから生まれました。

ことわざなら「There are spots even on the sun.」

「玉に瑕」の同義のことわざなら「There are spots even on the sun.」があります。

直訳すると「光輝く太陽にも黒点がある」ということから、「美しく完ぺきに見えるようなことでも欠点はある」という意味のことわざになりました。

まとめ

「玉に瑕」とは「立派に見えるのに、わずかな欠点があること」という意味のことわざです。長所が多い中でたった一つ欠点があるといった人のことをたとえるのによく使われますが、常用漢字ではない「瑕」という字を使いますので、書き表すときには気をつけましょう。

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「難解なワードでもわかりやすく」をモットーに、常識ワードからビジネス用語、時には文化・アート系など、幅広く記事を書かせていただいています。ドイツ在住で2児の母。好きな食べ物はビターチョコレートとナッツ類。