「袂を分かつ」の意味は?語源や使い方・類語を紹介(例文付き)

「人との別れ」を意味する「袂を分かつ」という言葉ですが、単なる別れを意味しているのではありません。「袂を分かつの正しい意味が知りたい」や「袂ってそもそもどこの部分か分からない」という方に向けて、「袂を分かつ」の意味や語源、使い方を紹介します。類語や例文も紹介しているため、参考にしてください。

「袂を分かつ」とは?

「袂を分かつ」の意味は”人との別れ”

「袂を分かつ」の意味は、“今まで一緒に行動していた人との別れのこと”です。単に「人との別れ」を表しているのではなく、”同じ目標や目的をもって行動していた人と、価値観や意見が違ってきたため別れてしまう”状況で使われます。

例えば、「Aと人のためになる企業を目指して活動してきたが、彼があまりにもお金のことだけを考えるようになったため、袂を分かつことにする」という例文。上記の例文では、「人のため」という共通の目的をもって一緒に行動していたが、価値観の違いで関係を断っているため、「袂を分かつ」が使えます。

「袂を分かつ」の読み方は”たもとをわかつ”

「袂を分かつ」の読み方は“たもとをわかつ”です。「袂」という漢字は、「ころもへん」に「夬(かい)」という漢字で成り立っています。よくある間違いとして「ころもへん」を「しめすへん」にしてしまうことが挙げられるため、書き言葉で使用するときは注意してください。

「袂」とは和服に備わっている物を入れる場所

「袂」とは、和服の1部分を表しています。和服には、手を出す「袖口(そでぐち)」と、腕の関節付近を通す「袖丈(そでたけ)」があり、「袖口」と「袖丈」の間の垂れ下がっている部分を「袂」と呼ぶのです。和服では、懐に小さな荷物などを入れるのですが、「袂」も同じような機能があり、時代劇などでは袂から小銭を取り出すシーンが見られます。

「袂を分かつ」の語源は”手元(たもと)”

「袂」という漢字はもともと“手元(たもと)”が転じてできたとされており、和服の1部分の他に「側」や「傍ら」という意味があります。「側」や「傍ら」から「別れる」として、「袂を分かつ」という言葉が使われています。また、昔は袂の部分を好きな人に向かって振ると、一緒になれると考えられていました。

袂を振った相手と結婚すれば、長くお世話になった親元を離れなければならないため、「袂を分かつ」ができたとされています。

「袂を分かつ」の使い方や例文とは?

別れる対象が「人」であるときに使われる

「別れ」を意味する「袂を分かつ」という言葉ですが、「別れ」の対象は「物」でなく、「人」であるときに使われます。例えば、「お酒をやめる」を、「袂を分かつ」を使って「お酒と袂を分かつ」とは言いません。「袂を分かつ」の意味は、ただの別れではなく「価値観や意見が異なり、関係を断つこと」であるため、「個人」や人が集まった「組織」に対して使われます。

過去形では「袂を分かつようになった」

「袂を分かつ」を過去形で使うときは、「袂を分かつようになった」と表現します。「袂を分かった」でも過去形になるのですが、「分かった」を「理解した」と誤って解釈される場合があるため注意が必要です。

誤解を防ぐためには、「袂を分かつようになった」や「袂を分かつ結果となった」の方が、伝わりやすいため、状況に応じて使用してください。

「袂を分かつ」を使った例文

「袂を分かつ」を使った例文をご紹介しましょう。

  • 今は我慢しているが、彼らはいずれ袂を分かつことになるだろう
  • ある一件を境に、ともに歩んできた2人が袂を分かつことになった

「袂を分かつ」の類語とは?

「一緒にいた人との別れ」を意味する”袖を分かつ”

「袂を分かつ」の類語には、”一緒にいた人との別れ”を意味する「袖を分かつ」が当てはまります。読み方は”そでをわかつ”です。「袂を分かつ」と同様に、その場での別れや死別を意味するのではなく、意見や価値観の違いから決別してしまう状況で使います。

「袂を分かつ」と同じ意味の”袂別”

「袂を分かつ」と同じ意味をもつ「袂別」も、類語に当てはまります。読み方は”べいべつ”で、「袂別する」などの使い方をします。例えば、”最悪の場合、Aさんとは袂別する可能性も視野にいれて、最後の説得を行う”という例文。

上記の例文では、「説得した結果によっては、Aさんと関係を断つかもしれない」という意味になります。

「袂を分かつ」の反対語とは?

「ともに行動する」という意味の”袂を連ねる”

「袂を分かつ」の反対語には、”ともに行動する”という意味の「袂を連ねる」が当てはまります。読み方は「たもとをつらねる」で、”着物を着た人が袂を並べて座っている様子”からできた言葉です。

「一緒に行動していた人との別れ」を意味する”袂を分かつ”と比べると、「袂を連ねる」は一緒に行動しているため、反対語となります。

「袂を分かつ」の英語表現とは?

「袂を分かつ」は英語で”break off”

「袂を分かつ」を英語で表現する場合、”断ち切る”を意味する「break off」が当てはまります。例えば、”break off relations”という例文。上記の例文では、「relations」が”関係”を意味しているため、「関係を断ち切る」となります。

まとめ

「袂を分かつ」とは、「人との別れ」を意味する言葉です。単なる別れではなく、今まで一緒に行動していたが価値観や意見の違いから、関係を断つ状況で使用されます。類語には「一緒にいた人との別れ」を意味する「袖を分かつ」や、「袂を分かつ」と同じ意味の「袂別」が当てはまります。状況に応じて、類語に言い換えてみてください。

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hana
大阪在住の新人ライターです。学生時代にビジネスマナーや医療事務・秘書などの検定を取得し、前職は医療秘書として医院勤めでした。料理とスポーツが得意なので、いつか記事にできたらなと思っています。よろしくお願いします。