「枯れ木も山の賑わい」の意味とは?類義語・対義語や使い方も!

「枯れ木も山の賑わい」とは「石の上にも三年」などと同じことわざです。しかし「情けは人の為ならず」と同様に意味を間違えて誤用しやすいことわざでもあります。今回は「枯れ木も山の賑わい」の意味や使い方、誤用などについて解説します。類語や枯れ木も山の賑わいの反対語などもご紹介しますので参考にしてください。

「枯れ木も山の賑わい」の意味とは?

「枯れ木も山の賑わい」の意味は”ないよりはましなもの”

「枯れ木も山の賑わい」の意味は、“つまらないものでも、ないよりはましなもの”です。ことわざのひとつです。

「枯れ木」を”つまらないもの・必要とは思えないもの”に例え、そんなものでもあれば山をそれなりに賑わせる、ないよりはましだろう、ということを言っています。

「枯れ木も山の賑わい」の誤用と間違いやすいことわざとは?

「枯れ木も山の賑わい」は誤用に注意

「枯れ木も山の賑わい」ということわざは、意味を誤認している人が多いと言われています。誤った認識は「枯れ木も山の賑わい」を「人がたくさん集まることで場が盛り上がる」というものです。

これは「枯れ木(=人)が集まれば山(=その場所)が賑わう」という誤用の原因となっているようです。そのため、何かの集まりに人を誘うときなどに「枯れ木も山の賑わいですから、ぜひお越しください」などと誤った使い方をしてしまいます。

「枯れ木」は「その人がつまらない人・いなくてもいい人」という意味なので、誤った使い方をして、相手の気を悪くさせないようにしましょう。

「枯れ木に花」は再びよみがえること

「枯れ木も山の賑わい」と似た響きを持つことわざに「枯れ木に花」があります。しかし「枯れ木に花」と「枯れ木も山の賑わい」は意味がまったく違うので、間違って使わないようにしましょう。

「枯れ木に花」とは、「何かが蘇ること」「一度衰退したものが復活すること」という意味です。一度枯れてしまった木には、もう花は咲きません。しかし「一度枯れたにもかかわらず花が咲いた」という奇跡のような状況を「人の復活」になぞらえています。

「枯れ木も山の賑わい」の類義語・対義語とは?

類語「蟻も軍勢」とは”勢力の一端となること”

「枯れ木も山の賑わい」と似た意味を持つことわざに「蟻も軍勢(ありもぐんぜい)」があります。「蟻も軍勢」とは「いなくても良いような非力な者でも、いないよりはましである」という意味です。「蟻」のように小さな虫でも、多くの軍勢となれば一つの力となる、という意味をことわざにしています。

「枯れ木も山の賑わい」の意味である「ないよりはましなもの」と似ていて、「いなくても良い人や、微力しかない物でもないよりはあった方が良い」という意味で使われます。

「あばたもえくぼ」は類語ではない

「枯れ木も山の賑わい」の類語ではないか、と迷いやすいことわざが「あばたもえくぼ」です。「あばたもえくぼ」には「その人の欠点ですら良く見える」という意味があります。

「あばた」とは皮膚に残った傷跡のことで、本来であれば欠点として認識されやすいものです。しかし、その人に思い入れがあったり、あばた以外に良いところがたくさんある人であれば「あばたすらもえくぼのように感じられる」という心情をことわざにしています。

そのため「枯れ木も山の賑わい」と「あばたもえくぼ」は類語とは言えません。

「枯れ木も山の賑わい」の反対語は”無用の長物”

「枯れ木も山の賑わい」と反対の意味を持つことわざはたくさんあります。その中でも使いやすいのは「無用の長物(むようのちょうぶつ)」です。

「無用の長物」とは「あっても役に立たない、むしろ邪魔になる」という意味のことわざです。「無用」とは「用のないもの」、「長物」とは「長い物」のことです。

一般的には短いものより長いものの方が何かと役に立つ、と認識されていても、それ自体が無用なものであれば役に立たない、ということをことわざにしています。

「枯れ木も山の賑わい」が持つ「ないよりもまし」と比較すると、正反対の意味と言えるでしょう。

「枯れ木も山の賑わい」の使い方と例文とは?

「枯れ木も山の賑わい」は謙遜に使う

「枯れ木も山の賑わい」ということわざは、人を「枯れ木」に例えるため、自分や自分の身内を謙遜する場合にしか使いません。

  • 「お誘いいただきありがとうございます。枯れ木も山の賑わいと思い、参加させていただくことにいたしました」
  • 「父は最初、渋っておりましたが、枯れ木も山の賑わいと言って同窓会に出掛けて行きました」
  • 「弊社部長は、枯れ木も山の賑わいと言いながらも、楽しそうに出席させていただいたようです」

「枯れ木も山の賑わい」は物事にも使える

「枯れ木も山の賑わい」は、本来は人についてしか使いません。しかし、時代とともに人だけでなく、物やできごとについても使われるようになりました。

  • 「先週購入した安物の絵ですが、枯れ木も山の賑わいかと思いリビングに飾っています」
  • 「忘年会では覚え立てのウクレレを弾くことにしました、枯れ木も山の賑わいというやつです」

「枯れ木も山の賑わい」の英語表現とは?

「枯れ木も山の賑わい」は英語で”It’s better than nothing”

「枯れ木も山の賑わい」は日本語のことわざであるため、英語にまったく同じ表現はありません。「枯れ木も山の賑わい」が持つ”ないよりはましなもの”という意味であれば、英語の“It’s better than nothing”で表すことができます。

「better」は”~より良い”、「nothing」は”ない”という意味です。英語は必ず主語が付くので「It’s」で始まります。

まとめ

「枯れ木も山の賑わい」は誤用にさえ注意すれば、自分や自分の身内を謙遜する言葉として、とても品格のある表現として使うことができます。

自分がしゃしゃり出るのではなく、控えめに謙虚な姿勢で何かに参加することや、自前の作品などをお披露目するときなどにも使える表現ですので、ぜひこの機会に覚えておいてください。