「石橋を叩いて渡る」の意味は?類語や反対語も紹介(例文つき)

「石橋を叩いて渡る」は失敗なく物事を進めようとするような人に使うことわざで、新しいことを始めるときや大事な仕事をするときなど、日常のさまざまな場面で登場します。基本的には良い意味で使われますが、場合によっては悪い意味が込められるときもあります。今回はそんな「石橋を叩いて渡る」について、意味や類語・反対語、英語表現もあわせて解説していきます。

「石橋を叩いて渡る」の意味や語源とは?

「石橋を叩いて渡る」の意味は”用心を重ねる”

「石橋を叩いて渡る」の意味は、“用心に用心を重ねる・慎重に物事を進める”です。先ほども説明したように、基本的には良い意味で使われますが、あまりにも用心深い人に対しては「臆病者」や「面倒な人」と皮肉や嫌みを込めて使うこともあります。

語源は「石橋が壊れないか叩く行為」

「石橋を叩いて渡る」の語源は、字を読んでごとく“石で作られた橋を叩く”という行為からきています。木で作られていた昔の橋は壊れる心配がありましたが、石橋ができたとき多くの人は「木と違い壊れることはないだろう」と思ったそうです。しかし硬い石で作られた橋であっても、叩いて安全を確認してからではないと渡らない人も中にはいました。この様子が、「用心深さ」や「物事を慎重に進める」という意味で使われるようになったと言われています。

「石橋を叩いて渡る」の使い方と例文とは?

用心深さを褒めたり皮肉ったりするときに使う

「石橋を叩いて渡る」には、用心深さを“褒める場合”と“皮肉る場合”の2タイプの使い方があります。

大きな失敗が起こらないよう前もって確認をとったり慎重に物事を進める人に対しては“褒める意味合い”で、過剰な用心深さで仕事がスムーズに進まなかったり、臨機応変に対応できない人に対しては“皮肉った意味合い”で使います。どちらの意味合いで使われているかは、話の流れや文脈、またはことわざを使った人の表情や声のトーンで判断します。

「石橋を叩いて渡る」を使った例文

「石橋を叩いて渡る」を使った例文をいくつかご紹介しましょう。

  • 「この企画は我が社に大きな利益をもたらす。石橋を叩いて渡るくらいの気持ちで進めてくれ」
  • 「石橋を叩いて渡る上司だからこそ、今まで一度も大きな失敗がない」
  • 「石橋を叩いて渡ることも大切だが、場合によっては勝負に出ることも必要だ」
  • 「石橋を叩いて渡る性格の僕は、目の前に現れたチャンスを幾度となく逃している」
  • 「なんでもかんでも石橋を叩いて渡ればいいってものではない!」

「石橋を叩いて渡る」の類語と反対語とは?

類語は「備えあれば憂いなし」

「石橋を叩いて渡る」の類語は、“普段から準備を整えておけば、いざというときでも心配することはない”という意味をもつことわざ「備えあれば憂いなし(そなえあればうれいなし)」です。大きな失敗などをしないよう常に準備万端にしておくという部分が、「石橋を叩いて渡る」の“用心深く物事を進める”という意味合いと似ています。

「曲突徙薪(きょくとつししん)」は似た意味を持つ四字熟語

似た意味をもつ四字熟語には、“災難を未然に防ぐ”という意味をもつ「曲突徙薪」があります。「石橋を叩いて渡る」の“悪いことは未然に防ぐ”という意味合いは同じです。

反対語は「一か八か(いちかばちか)」

「石橋を叩いて渡る」の反対語は、“運を天に任せてやってみる”という意味をもつことわざ「一か八か」です。悪い結果にならないよう用心深く物事を進める「石橋を叩いて渡るい」と違い、結果がどうなろうとやってみるという一種の賭けのような意味合いが含まれています。

「石橋を叩いて渡る」の英語表現とは?

英語表現は「being excessively cautious」

「石橋を叩いて渡る」は、“用心深い”という意味をもつ「cautious」を使って“being excessively cautious(直訳:過度に用心深くなる)”と表現します。“〇〇さんは石橋を叩いて渡る”など主語付きの表現なら、「She is excessively cautious」や「I am excessively cautious」と”be動詞“を変えて使いましょう。

「look before 〜 leap」でも表現できる

「石橋を叩いて渡る」は、”(申し出などに)飛びつく“という意味をもつ「leap」を使って「look before 〜 leap(直訳:飛びつく前によく見る)」でも表現できます。「〜」の部分には代名詞を入れて、「He looks before he leaps(訳:彼は石橋を叩いて渡る)」と使います。

まとめ

「石橋を叩いて渡る」ということわざは、“臨機応変に対応できない人”や“臆病者”のような皮肉が込められる場合もありますが、基本的には“用心に用心を重ね慎重に物事を進める”という良い意味で使われます。日常のあらゆる場面、特にビジネスシーンで使われることが多いので、きちんと意味から使い方を理解しスムーズに対応できるようにしておきましょう。