「割れ鍋に綴じ蓋」の意味とは?使い方や類語も解説(例文あり)

テレビや漫画などでたまに耳にする「割れ鍋に綴じ蓋」ということわざの意味を知っていますか。今回は「割れ鍋に綴じ蓋」の意味や使い方、類語や反対語などについて解説します。「割れ鍋に綴じ蓋」は褒め言葉なのか、悪い意味なのか、失礼になることわざなのか、ということについてもご紹介しますので参考にしてください。

「割れ鍋に綴じ蓋」とは?

「割れ鍋に綴じ蓋」の意味は”夫婦の相性”

「割れ鍋に綴じ蓋」の意味は、“夫婦の相性”です。人との関係や相性を表すことわざです「割れ鍋に綴じ蓋」とは”自分に合った夫(妻)である”という意味です。

「割れ鍋」とは文字通り割れた鍋のことで、「使いものにならない=欠点がある人間」を表しています。「綴じ蓋」とは、壊れてしまった部分を修理したつぎはぎの蓋のことで、「破れ鍋」と同じように、完璧ではない人柄を表します。

つまり「配偶者は自分のような欠点がある人間と同じ、完璧ではない夫(妻)であり、お互いにお似合いだと思っている」ということを「割れ鍋に綴じ蓋」ということわざで表しています。

「割れ鍋に綴じ蓋」の読み方は”われなべにとじぶた”

「割れ鍋に綴じ蓋」の読み方は、“われなべにとじぶた”です。「割れ鍋に綴じ蓋」ということわざを本などで見たことがある、という人は多いかもしれません。

「とじぶた」の部分が「綴じ蓋」ですので、「閉じ蓋」と間違わないようにしましょう。

「破れ鍋に綴じ蓋」とも書く

「割れ鍋に綴じ蓋」ということわざは一つですが、違う漢字で書かれることもあります。それは「破鍋に綴じ蓋」です。

「破鍋」と書いて「われなべ」と読むので、「割れ鍋に綴じ蓋」と同じ読みをします。どちらの漢字も正しく、間違いではありませんので覚えておきましょう。

「割れ鍋に綴じ蓋」の使い方と例文とは?

「割れ鍋に綴じ蓋」は謙遜の言葉

「割れ鍋に綴じ蓋」という言葉は自分たち夫婦についてしか使いません。それは「割れ鍋」も「綴じ蓋」も、自分や自分の配偶者が至らない人間だということを表す、謙遜の言葉だからです。

日本では、自分の夫や妻のことを、心の中では「自分に合った良い夫(妻)だ」と思っていても、他人には「不出来な妻で」「至らないところもある夫」など謙遜することが一般的です。そんなときの謙遜の言葉のひとつとして「割れ鍋に綴じ蓋」が使われます。

  • 「うちの夫婦は、いわゆる割れ鍋に綴じ蓋というやつで、まぁ何とかやってます」
  • 「至らない妻ですが、私にはちょうど良いので、割れ鍋に綴じ蓋ということでしょう」

結婚相手への褒め言葉としても使える

「割れ鍋に綴じ蓋」は、やや自虐の意味も込めた謙遜の言葉です。そのため他人に使うと大変失礼ですが、自分たち夫婦に対して使う場合は、配偶者を褒める言葉となります。

「割れ鍋に綴じ蓋」とは、一見自分や配偶者のことを悪く言っていますが、それと同時に「自分に良く合った良い夫(妻)」とも言っています。そのため自分たち夫婦に限って使えば、配偶者は自分に良く似合っている、良い相性である、という褒め言葉となるのです。

  • 「夫はなんだかんだ言いながらも、至らない私を気遣ってくれるので、割れ鍋に綴じ蓋なのでしょうね」
  • 「妻は抜けているところもありますが、割れ鍋に綴じ蓋、堅物な私には合った人です」

相手に対しては失礼で悪い意味となる

「割れ鍋に綴じ蓋」という言葉は謙遜の意味が強いことわざであるため、自分たち夫婦以外には、褒め言葉の意味であったとしても使いません。

「割れ鍋に綴じ蓋」が褒め言葉、とだけ覚えてしまうと、自分たち以外の夫婦にこの言葉を向けてしまうという、大きな失敗に繋がることがあります。

「割れた鍋」「綴じた蓋」を頭の中でイメージして、相手に向けて言って良い言葉ではないことをしっかりと覚えておきましょう。

「割れ鍋に綴じ蓋」の同義語と対義語とは?

「割れ鍋に綴じ蓋」の類語は”蓼食う虫も好き好き”

「割れ鍋に綴じ蓋」と似た意味を持つことわざは複数あります。その中でも比較的頻繁に使われるのは「蓼食う虫も好き好き(たでくうむしもすきずき)」です。

「蓼」とは草の一種です。蓼は辛みの強い草であるため、一部の虫しか好んで食べないと言われています。それを夫婦など男女の相性になぞらえて、「異性に人気があるとは思えない人でも、好いてくれる人はいる」という意味で使われます。

自分が完璧な人間でないことや、異性に人気があるとは言えない人間であったとしても、きっと相性の良い人がいる、という意味で「割れ鍋に綴じ蓋」の類語と言えるでしょう。

「割れ鍋に綴じ蓋」の反対語は”月とすっぽん”

「割れ鍋に綴じ蓋」と反対の意味を持つことわざもあります。それは「月とすっぽん」です。「月とすっぽん」とは、両者に大きな違いがあるという意味で使われます。

月とすっぽんは、どちらも形が丸く、影だけ見れば似ているようにも見えますが、その実は全く似ていません。これを「同じ人間ではあるが、両者には大きな違いがある」という意味で「月とすっぽん」を使います。

「割れ鍋に綴じ蓋」は主に夫婦の相性について使われますが、「月とすっぽん」は夫婦に限らず、人や物などさまざまなものを比べた場合にも使うことができます。

「割れ鍋に綴じ蓋」の英語表現とは?

「割れ鍋に綴じ蓋」は英語で”Every Jack has his Jill”

英語圏にも「割れ鍋に綴じ蓋」と似た意味を持つことわざがあります。それは“Every Jack has his Jill”です。

「Jack(ジャック)」「Jill(ジル)」とは、英語圏で非常にポピュラーな名前で、日本で言えば「太郎」「花子」のようなイメージです。

「Every Jack has his Jill」とは「どのジャックにも、合うジルがいる」という意味で、「誰にでも似合う人はきっといる」という意味のことわざとして知られています。

まとめ

「割れ鍋に綴じ蓋」という言葉は、自分たち夫婦を謙遜しながら、配偶者をさりげなく褒めることわざです。そのため、日頃頻繁に使われることわざではないかもしれません。他人から配偶者について聞かれたり、配偶者を褒めてもらったときの返事などに使われる程度でしょう。

しかし「割れ鍋に綴じ蓋」ということわざを使えば、自分が夫や妻を大切に思っていることや、自分に似合ってくれているという感謝の気持ちを表すこともできます。ぜひ「割れ鍋に綴じ蓋」を覚えて、機会が巡って来たときに使ってみてください。