「一寸先は闇」の意味とは?使い方の例文と類語・反対語表現も解説

「一寸先は闇」とは、先のことはまったく予測できないという意味です。目先のことに対する不安を表す表現として、新聞記事などでも使われています。

この記事では「一寸先は闇」の意味を解説し、使い方の例文や類語・対義語とともに紹介します。

「一寸先は闇」の意味とは?

「一寸先は闇」の意味は「先のことはまったく予測できない」

「一寸先は闇(いっすんさきはやみ)」とは、先のことはまったく予測できない、見通すことができない、という意味のことわざです。目の前は真っ暗闇で、そこで何がおこっているかは全くわからないという状態をたとえています。

「一寸」とは、一尺の十分の一、長さにして約三センチのことですが、わずかな時間や距離を表す比喩的な意味もあります。ここでの「一寸先」とは、すぐ目の前のことを表しています。

「一寸先の闇」の「闇」の意味は「予測不可能な悪いこと」

「闇」とは、光のない暗闇という意味とともに、それを比喩的に用いた悪徳の世界というような意味や、予測不可能なことという意味があります。ここでは予測不可能なことの意味で使われており、悪徳の闇の世界というような意味は含まれていません。ただし、予測不可能なこととして想定されるのは、よくないことや悪いことについてです。

例えば突然リストラされ、目の前が真っ暗になるような事態に陥ったとき、皮肉の気持ちを込めて「一寸先は闇」と言い表します。

「いろはがるた(京都)」の「い」の札でもある

「一寸先は闇」は「いろはかるた(京都)」の第一句「い」に書かれています。「一寸先は闇の夜に」と書くこともあります。

「一寸先の闇」の使い方と例文

「一寸先は闇」は無常の気持ちを表す比喩的な表現として使う

予測できない天災や未来への不安や、日常に起こる突発的で好ましくない出来事、あるいは厳しい生存競争などへのニヒリズムとして、「一寸先は闇」という表現を使います。

「闇」という言葉が持つ無明の淵のようなイメージが、なんとも言い表しがたい無常の気持ちの比喩として、効果を発揮しているといえます。

「一寸先は闇」を使った例文

  • 乗っていたバスが事故にあうとは、まさに一寸先は闇だ。
  • 勝負の世界に絶対ということはない。一寸先は闇の世界だ。
  • 一寸先は闇だと恐れる気持ちから、過剰なほど保険に入る人がいる。
  • 一寸先は闇というように、明日も今日と同じ日がやってくるとは限らない。
  • 天災はいつやってくるかはわからない。一寸先は闇だと心得て備えが必要だ。

「一寸先は闇」の類語

類語は「禍福は糾える縄の如し」「人間万事塞翁が馬」

「禍福は糾える縄の如し(かふくはあざなえるなわのごとし)」とは、より合わさった縄をたとえて、幸福と不幸は変転してやってくるという意味です。先のことは予測できないと読み替えることもできます。

「人間万事塞翁が馬(にんげんばんじさいおうがうま)」とは、馬が幸運や不運を順番に運んできたという中国の故事から、不幸や幸福は予測ができないものだという意味です。「禍福は糾える縄の如し」と同じように、だから先のことは予測できないということの教訓でもあります。

「沈む瀬あれば浮かぶ瀬あり」「明日は我が身」も似た表現

「沈む瀬あれば浮かぶ瀬あり(しずむせあればうかぶせあり)」とは、川の瀬の浮き沈みを人生にたとえて、人生には浮き沈みがあるという意味です。

「明日は我が身(あすはわがみ)」とは、他人の不幸などを見て、自分にもよくないことが降りかかるかもしれないという、身につまされる気持ちを表す言葉です。

「一寸先は闇」の対義語

「前途洋々」の意味は「未来は希望に満ち溢れている」

「前途洋々(ぜんとようよう)」とは、未来が大きく開いて、希望に満ちあふれている様子を表します。洋々とは、広く果てしないという意味で、まさに「一寸先は闇」の持つ暗く閉塞的な世界の反対の世界だといえます。

「順風満帆」の意味は「物事が順調に進む」

「順風満帆(じゅんぷうまんぱん)」とは、追い風をうけて帆がいっぱいにふくらみ、船が軽快に進む意から、物事が順調に進む様子を表します。その字からも風をうけて広がる明るい世界が直観的にも感じられます。

「順風満帆の人生だったが、突然の出来事が起こり、一寸先は闇だということが思い知らされた」などと、人生の明暗を対比させるのに使うことができます。

「一寸先は闇」の英語表現とは?

「一寸先は闇」は英語で「The future is a closed book」

「一寸先は闇」に相当する英語の慣用表現は、「The future is a closed book」です。「closed book」は「見当がつかないこと」という意味です。

「一寸先は闇」の意味を解説するなら、「No one knows what the future holds」と書くことができます。

また、「一寸先は闇」と同じような意味のことわざに、「Many things happen unlooked for」(思いがけないことがよく起こるものである)というものがあります。

まとめ

「一寸先は闇」とは、目の前が真っ暗で何も見えないという意から、人生には予測しないような悪いことが突然起こる、先のことは予測できない、という意味で使われることわざです。京都いろはかるたの第一句に書かれ、世の中の無常や刹那主義を謡った江戸時代の詩にもよく用いらるなど、古くから庶民の間で広く親しまれてきた表現だといえます。

また、故川島正次郎自民党副総裁が、「政界は一寸先は闇」との名言を残したことから、政界や政治にまつわる記事などに「政界は一寸先は闇」という表現がよく用いられます。