「真綿で首を絞める」の意味や語源とは?例文と類語・英語も解説

「ゆっくりと痛めつける」を意味する「真綿で首を絞める」ということわざ。「真綿で首が絞まるのか?」や「どんな状況で使えるのか?」という疑問を持っている方に向けて、「真綿で首を絞める」の意味や正しい使い方、類語を紹介します。例文と英語表現、真綿に関連した繊維に関する言葉もあわせて紹介しているため、ぜひ参考にしてください。

「真綿で首を絞める」の意味と語源とは?

「ゆっくりと痛めつける」を意味することわざ

「真綿で首を絞める」の意味は、”遠回しに責めたり、ゆっくりと痛めつけたりする様子”です。例えば、「見えないところで文句を言っている同僚がいるが、真綿で首を絞められている気分になり、居心地が悪い」という例文。

上記の例文は、遠回しに責められている状況であるため、適した使い方となります。

「真綿で首を絞める」の語源は「繭」にある

「真綿で首を絞める」という言葉でよく誤解されがちなのが、「ふわふわの綿で、どうやって首を絞めるのか?」という方法についてです。このことわざの語源は、真綿の材料である「繭(まゆ)」にあります。繭からとれた繊維を真綿とよび、しなやかで強度が強いことから、首をゆっくりと絞めて痛めつける様子を表すようになりました。

「真綿で首を絞める」の使い方とは?

徐々に責める状況で使う

実際に「真綿で首を絞める」場面としては、「徐々に責める」状況や「徐々に痛めつける」状況で使います。相手に直接、致命的な攻撃をするのではなく、時間をかけてゆっくりと責めていく場合に使いましょう。

「首を締める」ではなく”首を絞める”

「真綿で首を絞める」を「真綿で首を締める」と間違えて表記しないよう、注意しましょう。「締める」は、「ヒモなどを硬く結ぶ」という意味があるのに対し、「絞める」は主に首をしめることを意味します。

「真綿で首を絞める」は首をしめる状況を表しているため、「絞める」が適しています。話し言葉だけでなく、書き言葉として使用することもあるため、漢字の書き間違えには注意しましょう。

「木綿で首を絞める」は間違い

「真綿で首を絞める」のよくある間違いとして、「木綿(もめん)で首を絞める」が挙げられます。同じ「綿」という漢字がつきますが、「真綿」と「木綿」では大きな違いがあります。「真綿」は「蚕(かいこ)」からとれる、動物由来の繊維なのに対し、「木綿」は「ワタ」からとれる植物由来の繊維です。

実際の強度は「木綿」と「真綿」に大きな差はなく、水分を含んだ状態では植物由来の「木綿」の方が、高い強度をほこります。しかし、木綿よりも真綿の方が古くから使われている繊維であり、当時は強度のある素材とされていたため、「木綿」ではなく「真綿」が使われています。

「真綿で首を絞める」を使った例文

「真綿で首を絞める」を使った例文をご紹介しましょう。

  • 毎日の小さな不安が重なり、日々真綿で首を絞められる思いで生きていた
  • ライバル社へ徐々に顧客が流れていき、真綿で首を絞められるように廃業へと追い込まれている

「真綿で首を絞める」の類語とは?

「痛めつけて苦しめる」を意味する”蛇の生殺し”

「真綿で首を絞める」の類語には、「死にそうになるまで痛めつけて、苦しめること」を意味する「蛇の生殺し」が当てはまります。読み方は「へびのなまごろし」です。単に痛めつけるのではなく、「死にそうだがギリギリ生きている状態」にして、苦しみを与える状態で使われます。

「真綿で首を絞める」の英語表現とは?

「真綿で首を絞める」は英語で”They tormented me by slow degrees”

英語で「真綿で首を絞める」を表す場合、“They tormented me by slow degrees”が当てはまります。「slow degrees」が「ゆっくりと」という度合を、「tormented」が「苦しみ」の過去形を意味しており、「彼らはゆっくりとわたしを苦しめた」という意味になります。

「真綿」などの繊維を使った言い回し

「優しく包む」を意味する「真綿でくるむように」

「真綿」を使った言い回しで、「真綿でくるむように」という言葉があります。「優しく包む様子」を、柔らかい真綿で表現しています。例えば、「彼女は真綿でくるむように、指輪を受け取った」という文章。

「真綿でくるむように」と付けることで、大切にしている様子が伝わります。

「内側の悪意」を意味する「真綿に針を包む」

「真綿に針を包む」は、「優しいのは上辺だけで、内心は良く思っていないこと」を表すことわざです。「優しさ」を柔らかい「真綿」で表現し、針を包むことで「内心は悪意があること」を表しています。

「かん高い声」を意味する「絹を裂くよう」

「絹」を使った言い回しに、「絹を裂くよう」という言葉があります。「かん高い声」を表している「絹を裂くよう」という言い回しは、実際に「絹」を裂いた時に高い音が出ることが由来しています。

まとめ

「ゆっくりと痛めつける」を意味する「真綿で首を絞める」ということわざ。単に苦しめたり、責めたりするのではなく、時間をかけてゆっくりと「苦しめる」「責める」状況で使われます。類語には「痛めつけて苦しめる」を意味する「蛇の生殺し」が当てはまります。状況に応じて、類語に置き換えてみましょう。

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hana
大阪在住の新人ライターです。学生時代にビジネスマナーや医療事務・秘書などの検定を取得し、前職は医療秘書として医院勤めでした。料理とスポーツが得意なので、いつか記事にできたらなと思っています。よろしくお願いします。