「毒を食らわば皿まで」の意味と由来とは?使い方や類語を解説

「毒を食らわば皿まで」という言葉は、漫画や小説、ドラマでも時々使われます。しかし、「食らわば」という表現は珍しいですし、意外と意味がわからずにいる人も多いのではないでしょうか。今回は「毒を食らわば皿まで」の意味や使い方を紹介します。漫画や小説をさらに楽しく読めるように、ぜひ意味を覚えてみてください。

「毒を食らわば皿まで」の意味と由来とは?

「毒を食らわば皿まで」の意味は”悪事をしたなら最後まで悪に徹する”

「毒を食らわば皿まで」の意味は、“一度悪いことをしてしまったのなら徹底的に悪事を行い、最後まで悪に徹する”です。「徹底的に悪事を働く」という、悪いことを勧めるかのようなことわざのため、使う場面には注意が必要です。

「毒を食らわば皿まで」の由来は”どうせ死ぬなら居直る”

「毒を食らわば皿まで」の由来は、どうせ毒の入った食べ物を食べてしまい、死んでしまうことが決まっているのならば、途中で食べるのをやめずに皿までなめても同じと居直ったことです。言葉の出典などは不明ですが、由来がわかっていると、意味を理解しやすいでしょう。

「毒を食らわば皿まで」の使い方・注意点とは?

「食らわば」を”食わらば・食うなら”と表記するのは間違い

「食らわば」とは、かなり珍しい表記ですが、「食らう」の未然形に、仮定を表現する助詞の「ば」がついた形です。「食らう」を未然形にすると「食らわ」となります。つまり、「食らわば」は「食らうならば」という意味です。

「毒を食らわば皿まで」の「食らわば」は、「食わらば」や「食わばら」などと書かれることもありますが、間違った書き方です。また、同じような意味に聞こえますが「食うなら」も間違った表現とされています。

「毒を以て毒を制する」との使い方の違い

「毒を食らわば皿まで」を使う場面で気を付けたいのが「毒を以て毒を制する(どくをもってどくをせいする)」との違いです。「毒を以て毒を制する」とは、悪事をなくすために、悪事を利用することを言います。例えば、悪い人を逮捕するために犯罪行為をするような場合です。

「毒を食らわば皿まで」と「毒を以て毒を制する」は、どちらも1つの悪事があり、さらに悪事を重ねたり利用する表現ですが、使う場面は大きく異なります。

「毒を食らわば皿まで」は、悪事をしてしまった人がさらに悪事を働く場合に使いますが、「毒を以て毒を制する」は、悪事をなくすための行動です。注意して使い分けましょう。

「毒を食らわば皿まで」と同じ意味の言葉とは?

「毒を食らわば皿まで」の類語は”尾を踏まば頭まで”など

「毒を食らわば皿まで」と同じ意味の言葉には“尾を踏まば頭まで”があります。獣の尻尾を踏んでしまったのなら、どうせ噛まれてしまうから、それなら頭も踏んでしまおうという言葉です。

この他にも、「濡れぬ先こそ露をも厭え」という類語もあります。「過ちを犯す前には注意をしているけれど、一度過ちを犯してしまうと、もっと酷いことを平気でしてしまう」という意味の言葉です。

身体が濡れていないときには、露ですら嫌がって濡れないようにするけれど、一度濡れてしまったら濡れても構わなくなってしまうことが由来になっています。

「毒を食らわば皿まで」の別表記

「毒を食らわば皿まで」の「食らわば」は、「食わらば」や「食わばら」、「食うなら」と表記するのは間違っているということをお伝えしました。しかし、「毒を食らわば皿まで」には、別表記も存在します。

例えば、「を」を抜いた「毒食らわば皿まで」や、「ら」がついていない「毒食わば皿まで」です。「まで」を使わずに「皿を舐れ」と表記した「毒を食わば皿を舐れ」もあります。

「毒を食らわば皿まで」の英語表現とは?

「毒を食らわば皿まで」は英語で”In for a penny, in for a pound.”

「毒を食らわば皿まで」の英語表現は、“In for a penny, in for a pound.”です。「In for」は”得る”という意味ですので、直訳すると「ペニーを得るために始めたなら、ポンドも得なければならない。」です。

ペニーとポンドはイギリスの通貨で、ペニーが100で1ポンドです。アメリカの場合は通貨が異なりますので、「in for a dime, in for a dollar.」となります。「毒を食らわば皿まで」のように悪事に関することわざではありませんが、「やるなら徹底的にやる」という意味が共通しています。

悪事に関する英語表現であれば「As well be hanged for a sheep as a lamb.」があります。意味は、子羊を盗んで絞首刑になるくらいなら、親羊を盗んだ方がましである」というものです。

まとめ

「毒を食らわば皿まで」とは、「悪いことをしたなら、徹底的に悪事を行い、悪に徹しよう」という意味のことわざです。毒の盛られた料理を食べてしまったのなら、どうせ死んでしまうことには変わりないのだから、最後まで食べて皿を舐めてしまおうと居直ったことが由来となっています。漫画や小説などで「毒を食らわば皿まで」と出てきたら、最初の悪事は何だったのかと、これからの悪事は何をするのかを考えてみてはいかがでしょうか。