カンパニー制とは?事業部制の違いとデメリット・失敗例も紹介

日本国内でも大企業を中心に多くの企業が採用する「カンパニー制」。企業を円滑に運営していくための手段として注目されていますが、事業部制との違いをご存知でしょうか?

ここでは「カンパニー制」の概念を中心に、事業部との違いや導入のメリット、逆に懸念されるデメリットや失敗例、記事の終わりに分社化とホールディング制についても紹介しています。



カンパニー制とは?

カンパニー制の概念や導入の目的、メリットなど解説します。

カンパニー制とは「企業にある事業部門をそれぞれ独立化すること」

カンパニー制とは企業内の事業がそれぞれ独立した一つの会社として扱い、組織にするという企業形態やあり方を指します。

カンパニー制はソニーが初めて導入

海外では上場企業を始め、国際企業や大企業などすでに「カンパニー制」を導入していますが、日本国内では大手「ソニー株式会社」が1994年に始めて採用をし注目を浴びました。当時は、1986年から1991年に国内を熱狂させた「バブル景気」がはじけ、バブル崩壊の真っただ中でした。

平成バブルと呼ばれたフィーバーぶりが終焉を迎え、企業のあり方にも少しずつ変革が見え始めましたが、中でもソニーのカンパニー制導入は、企業における社員の社内意識を根本的に修正する大きな動きとなったようです。

大手「トヨタ」「みずほ」「パナソニック」も続けて導入

カンパニー制を導入したトップ企業は多くありますが、中でも有名なのが「トヨタ自動車株式会社」や「みずほフィナンシャルグループ」、また「パナソニック株式会社」などです。これらの大手会社は、運営での意思決定の迅速化や投資へのチャンレジなどをゴールに、積極的に導入した企業となります。

カンパニー制のメリットは「事業の独立性構築」と「経営資源と権限の譲渡」

カンパニー制の一つ目のメリットは「企業内における事業の独立性構築」です。同じ企業内で同こゴールを目指しながらも、個性や独立性を重視したシステムは、働く社員にとっても魅力的でモチベーションへの活力ともなることが期待されます。

二つ目のメリットはカンパニーごとにそれぞれ「経営資源と権限」が譲渡されることです。経営資源とはヒト、モノ、カネ、のことで「人材、商品やサービス、予算や利益」などを指し、権限とは主に投資や人事、経営戦略における意思決定を指します。カンパニー制を導入することで、それぞれのカンパニーが一つの会社としての機能と責任を持って、組織に参加することができることは大きなメリットです。

カンパニー制は英語で「Company System」

カンパニー制は英語で「Company System」となりますが、国や企業に浸透する文化によって「In-House Company」と呼ばれることもあります。

事業部制とは?

それでは「事業部制」とは一体どのような形態のものなのでしょうか?概念とカンパニー制との違いを解説します。

事業部制とは「製品やサービスごとに事業部門を置くこと」

「事業部制」とは、大企業で考えらえれる多様化や顧客のニーズに合わせて、事業部門が事業の推進を目的に事業運営をする形態を指しています。事業部制では、それぞれの事業部門が健全に運営を継続していけるよう「業務管理や予算決めの権限を与える」ことが前提となります。

事業部制とカンパニー制の違いは「権限が含まれないこと」

カンパニー制と事業部制の決定的な違いは「事業部制には投資や人事、また経営戦略における意見の主張や決定権などが含まれないこと」です。

わかりやすく言えば、カンパニー制には意思決定の権限がありますが、事業部制にはそれが含まれません。つまり、事業部制は「業務や予算決め」までが許された権限となり、企業戦略や人事、投資に関しての口出しはできないということになります。

カンパニー制のデメリットと失敗例

カンパニー制を導入する時は、メリットだけではなく「デメリット」や過去の失敗例も学んでおく必要があります。現在の企業において本当にカンパニー制が求められているのか、考察の材料として参考にしてみて下さい。

カンパニー制のデメリットは「他とのつながりが希薄化すること」

カンパニー制を導入する上で考えられるデメリットは、カンパニー内部でほぼ事業が完結してしまうため、他のカンパニーとの関連性やつながりが希薄になってしまうということでしょう。

ここで考えたいことは、カンパニー制で経営資源や権限を譲渡されたとしても、カンパニーという枠を超えて他とのつながりを軽視すべきではないということです。むしろ、関係が希薄になりがちになるからこそ、アイデアや意見の交換で得られる相乗効果は尊重すべきでしょう。

カンパニー制では、どうしても縦割り傾向が加速することは否めません。しかし、カンパニー同士、また本社間との連携や情報共有は積極的に行うようにすることは不可欠です。

カンパニー制の失敗例は「金銭感覚の欠如」や「本社の口出し」

カンパニー制で多く見られる失敗例は、大企業に勤めるがゆえに「多額のキャッシュフローに対しての金銭感覚が欠如してしまい、結果的に多額の支出に対して成果を生むことができない」という例です。このケースでは多額の資金を扱うことへの慎重さに欠ける上、大企業でのキャリアとプライドが壁となり、反省することを拒んでしまうことが問題となります。

また、カンパニー制の突然の導入で本社自体が混乱し、従来のあり方を突き通してしまうこともあります。この例では、本来カンパニーに譲渡した権限を尊重しなければならないところを、業務や人事などの意識決定に口を挟んでしまうことで、カンパニーの独立性が阻まれてしまい、結果的に事業として成長しないという例です。

これらの失敗例からも学べるように、カンパニー制の導入で失敗をしないためにも、必要に応じて事前トレーニングを実施し、カンパニー制の概念を隅々まで理解することが重要となります。

「分社化」と「ホールディング制」とは?

最後にカンパニー制や事業部制とあわせて覚えておきたい他の制度「分社化」と「ホールディング制」について説明します。

分社化とは「法人格」を持たせる制度

分社化とは企業内の事業部や部署を本社から切り離し「法人格」を持たさせる制度です。分社化は1997年に独占禁止法が解禁となり、本社を傘下で企業を支える重要な存在として、多くの企業が分社化を推進させた経緯があります。

企業側における分社化の主なメリットは「成果や責任の所在の明確化」や「企業の肥大化防止」、また「運営や業務でのリスク分散」や「財務や税務での調整効率化」などです。

ホールディング制とは「持ち株会社のこと」

ホールディング制とは「ホールディングス」とも言われ、日本語では「持ち株会社」を指します。ホールディングは保有や保持を意味する「Hold」が語源となる制度で、グループ会社の株式を保有するところから来ています。

ホールディングスを多く持つ親会社は、グループの税金戦略を効果的に動かすことができ、さらに企業価値を極限まで高めるメリットがあると考えられます。

まとめ

長年に渡り慕って来た企業のあり方を変えることは決して容易なことではありません。しかし、多くの企業がカンパニー制の導入に前向きであるのは、決定を後押しする大きなメリットがあるからでしょう。

劇的な変革を試みたい企業なら、業務の効率化や企業内での競争力強化の一手段としても、「カンパニー制」を検討してみてはいかがでしょうか?

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某私立大経営学部卒、大手旅行会社、商社を経て、豪州へ移住。米国PCメーカーのカスタマー部に勤務後、カンガルーやエミューのいるNSW州の片田舎で生活を開始。田舎暮らしをきっかけにフリーランス(ライター・翻訳)に転身し現在に至る。趣味はゴルフ、料理、ローカルとのゴシップ、キャンプ。