「喚起」の意味とは?正しい使い方や類語を例文つきで解説

「注意喚起してください」と言われて注意するのはわかったけれど、それに続く「喚起」がどんな意味なのか迷ったことはありませんか?今回は「喚起」の読み方から意味のほかに、正しい使い方や使うときの注意点を解説します。また、注意喚起に似た言葉「厳重注意」との違いに、類語や英語表現も説明します。

「喚起」とは?

「喚起」の意味は”呼び起こすこと”

「喚起」の意味は、“呼び起こすこと・呼び覚ますこと”です。「喚起」の「喚」の字は「大声で叫ぶこと」や「呼び出すこと」という意味で、「起」は「おきる」や「おこす」という意味から、この二字を連結させて「呼び起こす」という意味になります。

「喚」という字に「大声で叫ぶこと」という意味がありますが、「喚起」に大声を出す必要はありません。あくまでもそうしたイメージで人に気づいてもらうという意味合いです。

「喚起」は読むときのアクセントが大切です。最初の「かん」にアクセントを置くことで、同音異義語である「換気」などと区別することができます。

呼び起こす対象は「注意」や「自覚」

「喚起」で呼び起こすものは、注意や自覚、良心といったメンタルと関わることです。相手の心に訴えかけるときに使われるので、寝ている人を起こすなど人や事物を物理的に起こすときには「喚起」は使われません。

「喚起」の正しい使い方・例文とは?

「喚起」と結びつきやすいのは意識や興味

「喚起」の対象は人のメンタルに関わる「意識」「興味」「記憶」などです。「世論」も人のメンタルの集合体と捉えられるので、「喚起」と一緒に使われます。

例文:

  • 「若くして病気した彼のことを思うと、健康には気をつけようという意識が喚起した」
  • 「テニスの試合を見ていたら、テニスをしてみたいという興味が喚起した」
  • 「甘いりんごをかじったら、昔の記憶が喚起した」
  • 「街頭演説で世論を喚起する」

「喚起を促す」は「喚起がせき立てられる」の意味

「喚起を促す」とは、喚起する状態をより早めたい時に使われる言い回しです。

例文:

  • 「喚起を促すことによって、私たちの結束が固まった」
  • 「人々の注意喚起を促した」

サ変動詞「喚起する」の使い方と例文

「喚起」にサ行変格活用の動詞である「する」をつけて、「喚起する」という動詞としての使い方ができます。

例文:

  • 「自発的に学ぼうとする気持ちを喚起することが大切だ」
  • 「経営が落ち込んだため、需要を喚起する新しい対策が取られた」

漢字の書き間違えに注意

「かんき」とスマホやパソコンに打ち込むと「換気」や「歓喜」などたくさんの同音異義語が見られるので、「喚起」という言葉の選び間違いに注意しましょう。また手書きの場合も「喚起」の「喚」の字を換気の「換」に置き換えてしまうのもよくある間違いなので気をつけましょう。

「注意喚起」と「厳重注意」の違いとは?

「注意喚起」の意味は注意を意識すること

「注意喚起」とは「気をつけなくてはいけないことを呼び掛けて意識させること」という意味で、「注意を喚起する」という使い方もします。相手に気をつけてほしいことを促したい場合に使われます。

例文:「不審者がいたとの通報があったので、注意喚起してください」

「厳重注意」の意味は「厳しい注意」

「厳重注意」とは「厳しく注意すること」という意味です。「厳重」とは「厳しい」という意味で、おごそかであったり、いかめしいといった状態に使われる言葉です。したがって「厳重注意」はただ注意するよりも、より固い印象を与える表現です。

注意喚起より厳重注意の方が厳しい

「喚起」よりも「厳重」の方が注意すべき度合いが高まるため、「厳重注意」の方が「注意喚起」よりも重い意味です。

ビジネスで上司から「注意喚起」と言われたら、今のうちに気をつけておけば大丈夫というニュアンスがあります。しかし「厳重注意」ならすぐに注意しないと問題になるという警告的な意味合いが含まれますので、「厳重注意」と言われたら状況を真摯に受け止めて改善に努めましょう。

「喚起」の類語とは?

「喚起」の類語は「思い出」や「記念」

  • 「思い出」
    「思い出」は記憶から昔のことを呼び起こすという意味。同じ「呼び起こす」という意味の「喚起」との違いは、「思い出」により呼び起こされることは過去の出来事に集約される。
    例文:「昔の楽しい思い出を語る」
  • 「記念」
    「思い出として残すこと」という意味の「記念」は、「思い出」と同じように過去の出来事のみを呼び起こさせる。
    例文:「卒業記念のパーティ」

「喚起する」の類語は「掻き立てる」

  • 「掻き立てる」(かきたてる)
    欲求や気力などを湧き立たせる。「喚起する」よりもより積極的に呼び起こそうとする。
    例文:「競争心を掻き立てる」
  • 「奮い起こす」(ふるいおこす)
    励まして、心を引き立てる。「喚起する」よりも呼び起こそうという気持ちが強い。
    例文:「勇気を奮い起こす」
  • 「呼び覚ます」(よびさます)
    忘れていることが思い出させる。
    例文:「記憶を呼び覚ます」

「喚起」の英語表現とは?

「喚起する」は英語で「awake」や「challenge」が使われる

「喚起する」の英語には聞きなじみのある英単語「awake」や「challenge」が使われます。「awake」は記憶や興味などを喚起するときに、「challenge」は関心や議論などを喚起するときに使われます。

感情などを掻き立てるといった意味ならば「rouse」を使い、「自分を奮い立たせる」という意味なら「rouse oneself」のように表します。

例文:

  • “His speech awaked my old memories about the school.”
    「彼のスピーチで私は昔の学校のころの記憶が喚起された」
  • “This task will challenge your ability of analysis.”
    「この仕事であなたの分析能力が喚起することになるだろう」

「注意喚起する」の英語表現は「alert」

「注意喚起する」の英語表現は「alert」という単語一語で表せます。人に○○のことで注意するという意味で使う場合には「alert 人 to ○○」という使い方をします。

例文:

  • “He alerts his children to the danger.”
    「彼は子供たちに危険だと注意喚起した」

まとめ

「喚起」とは、自覚や注意、記憶などメンタルに関わることを「呼び起こすこと」の意味です。「喚起する」や「注意喚起」などのように使われて、訴えかける相手の注意を呼び起こしたい時などに使われる言葉です。

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「難解なワードでもわかりやすく」をモットーに、常識ワードからビジネス用語、時には文化・アート系など、幅広く記事を書かせていただいています。ドイツ在住で2児の母。好きな食べ物はビターチョコレートとナッツ類。