「不易流行」の意味とは?使い方を例文で解説!類語や英語表現も

ビジネスや経営で使われる「不易流行」という言葉をご存知でしょうか?「不易」と「流行」という相反する言葉を組み合わせた四字熟語になりますが、正しい意味や使い方を理解している人は少ないかもしれません。今回は「不易流行」に焦点を当て、言由来や意味、使い方や類語、また英語と交えて解説しています。例文とあわせて早速みていきましょう。

「不易流行」とは?

「不易流行」の意味は”不易と流行は同じくらい大切なもの”

「不易流行」の意味は、“新しみを探求した流行こそが、実際は俳諧の不易の本質である”です。もっと砕けて意味を説明するなら「永遠に変わらないこと(もの)を忘れず、新しみや変化も同様に取り入れて行くこと」または「新しみや変化を取り入れていくことこそが、実際は永遠に変わらないことでもある」となります。

つまり、「不易流行」を総じて解釈すると「不易=永遠に変わらないこと」も「流行=変わり続けること」もどちらも大切であるということなのです。

「不易流行」の由来は”松尾芭蕉が説いた俳諧理念”

「不易流行」は江戸中期の俳人として最も後世に名を遺した「松尾芭蕉」の「去来抄(きょらいしょう)」にある俳諧理念から来ています。

芭蕉の俳諧理念とは「俳句の趣向や表現に目新しさがないのが不易、そして、その時々、その場所場所で、人の好みによって斬新さを発揮したものを流行」と説くものです。俳諧が新鮮さをもって命を授かることから、新しさや奇抜さを望み、常に変化を重ねていく風潮や趣向などの「流行性」こそが、俳諧における不易の価値であると考えられています。

また、俳諧の世界での「不易」は「17音である」や「季語がある」、また「流行」は「文字数を変える」「季語を変える」などとなります。

「不易」と「流行」は真っ向から対立するものではない

「不易流行」とは、「不易」と「流行」という本質的に対立する言葉を組み合わせた四字熟語です。しかし、むしろ真剣に「流行」を探求すれば「不易」が生まれ、真剣に「不易」を曲げなければ「不易」が生まれるとも考えられています。

俳諧では「静的」を不易、また「動的」を流行とし、それぞれ相反する局面から俳諧の面白みや楽しさを探すのが醍醐味とも言えるでしょう。そのため「不易」と「流行」が対立し、俳諧の本質が失われてしまうことはほぼないと考えられます。

松尾芭蕉は伊賀で生を受けた松尾芭蕉は、京都で北村季吟に学んだ後に江戸・深川に移り住みり、芭蕉独特の排風を主とする「蕉風」を確立したことでも知られていますが、「不易流行」という理念は、俳諧のあるべき本質を説明した理念だとも指摘されています。

「不易流行」の使い方と例文とは?

「不易流行」の使い方と例文を見てみましょう。

「不易流行」はビジネスや経営理念でよく使われる

「不易流行」は俳諧という特殊な分野での言葉ですが、ビジネスシーンでも用いられることがあります。ファッション関係はもちろん、パソコン機器、携帯電話やカメラなど、人気のデザインや機能は時代と共に移り変わるものですが、本来のカタチを残しながら新しい要素を取り入れることはとても大切です。もちろん、変化をつけていくことで消費者の興味を引き付ければ、売上や知名度を上げることもできるでしょう。

「不易流行」はビジネスや経営理念において「不変的な本質を持ちながら新たな変化を取り入れる」という意味で使われることがほとんどです。「不易流行」をモットーとすることで、100%ガラリと姿を変えるのではなく、「永遠に変わらないもの」をキープしながら「時代とともに変わりゆくもの」も斬新に取り入れていくことができるからです。逆に「流行を取り入れることが、実際は永遠に変わらないものである」とも言い換えることができるでしょう。

「不易流行」を使った例文

「不易流行」を使った例文をいくつかご紹介しましょう。

  • 先代の社訓を守りながら、「不易流行」の理念で斬新な考えも取り入れていこう。
  • 「不易流行」の精神を保ちながら、新商品の開発に挑みたい。
  • 営業でトップのAさんは、「不易流行」な性格だと言われている。
  • 我が社の経営理念は「不易流行」と「不断節季」である。

※不断節季:毎日が節季のつもりで地道に商売をすること

「不易流行」の類語とは?

「不易流」行の類語には、どのようなものがあるのでしょうか?

「不易流行」の類語は”千古不易”や”万代不易”など

「不易流行」の類語には「千古不易(せんこふえき)」や「万代不易(ばんだいふえき)」などがあります。基本的に「不易流行」の類語となる言葉のニュアンスは「永久に変わらないこと」であるため、これらの四字熟語が意味を満たすということで、類語としては適切だと考えられます。その他「万世不易(ばんせいふえき)」も同等の類語となります。

「一次流行」も「不易流行」の類語となる?

「流行」というものは期間的なものが多いですが、その状況を四字熟語で表したのが「一次流行」です。「不易流行」の類語としては意味が完全に満たないかもしれませんが、「流行」という言葉が入る四字熟語として、また「不易流行」の関連語として覚えておくとよいでしょう。

「不易流行」の英語表現とは?

「不易流行」を英語で表現してみましょう。

「不易流行」は英語で表現することが難しい

残念ながら「不易流行」は俳句をベースとした理念であるため、英語で表現することは大変難しいです。たとえば「不易」と「流行り」という相反する言葉をそのまま「eternal epidemic」と並べても意味は通じないでしょう。

あえて言うなら「不変なものに、変化を取り入れる」という内容の英語を文脈に合わせて探すしかありません。次で英語例文を作ってみましょう。

「不易流行」を使った英語例文

  • 我が社の経営理念は不易流行である。
    The management philosophy of our company is to get a breath of fresh air whilst being eternal.

まとめ

「不易流行」の根本が示すところは、俳諧は不易でありながら、実は変化を続ける流行の根源だということです。俳文学では不易と流行の結合における矛盾打ち勝つために発起された理念であるとも考えられますが、俳諧を学ぶ者の理解においては、全員が一致する理念とは言えないそうです。賛否両論といったところでしょうか?

ビジネスや経営理念としても使われる「不易流行」。ぜひ、自分自身に対するモットーとしても取り入れ、個性の光る存在になってみましょう。