「泰然自若」の由来と意味とは?使い方の例文や類語・対義語も解説

落ち着いた様子や自分を見失わないことを指す言葉に「泰然自若」(たいぜんじじゃく)がありますが、正しい意味や使い方を理解している人は少ないかもしれません。

今回は「泰然自若」の意味と由来をはじめ、使い方や類義語や対義語、さらに英語表現について例文を含めて紹介しています。この機会に自身の座右の銘にしてみませんか?

「泰然自若」とは?

「泰然自若」の意味は”何事にも動じず慌てないこと”

「泰然自若」の意味は、“落ち着いた様子や何事にも動じないこと”です。自分らしさを見失うことなく、どんなことがあっても慌てず冷静な様子を意味しています。

たとえ周囲が騒いでいても、心を乱すことなく沈着で慌てふためかず、自分を持ち続ける様子そのものが「泰然自若」です。

「泰然自若」の由来・語源は”泰然”と”自若”の意味そのもの

「泰然自若」という言葉の由来や語源は、「泰然」という言葉と「自若」という言葉が示す意味、そのものとなります。どちらも「落ち着いている」や「動じない」という意味があり、二つの言葉を組み合わせることによって、意味を強調した四字熟語となっています。

「泰然」はゆったり大らかで、落ち着き払った様子を指し、「自若」は危機が迫っても心を乱さず慌てない様子を指す言葉です。万が一重大事やトラブルに遭遇しても、平常心を失わず、しっかりと対応する強い姿が想像できるでしょう。

「泰然自若」を座右の銘にする人も

「泰然自若」は「精神面の強さ」を美しく表現できる四字熟語です。トラブルやストレスの多い現代社会では、周囲のノイズにどうしても振り回されがちですが、「泰然自若」を座右の銘に日々を過ごすことができれば、今まで隠れていた強い自分に出逢えるかもしれません。

「泰然自若」の使い方と例文とは?

職場では上司や年配の方に使うことが多い

職場で新入社員や若手社員など、まだまだ経験不足で失敗の多い部下を抱える立場であるのが「上司」や「リーダー」などです。何事があっても仕事を通して学んだ知恵と経験を軸に、不動のごとく慌てない上司はたくさんいますし、ことに社長となら、売上が下がったからと言って狼狽しては話になりません。

「泰然自若」を使うシーンはあらゆる場面で想定できますが、職場において最も多く使われるのは「上司」や「社長」また、一般的には「年配の方」や「経験を重ねた人」となるでしょう。

「泰然自若」を使って精神面の強さを褒める

「泰然自若」という言葉の意味を察するなら、「過酷な局面に対しても動じない」ということで、相手の精神面の強さを賞賛する「褒め言葉」としても使えます。

社会人として備えておきたい要素として「メンタル面の強さ」は外すことができません。できるビジネスマンへの誉め言葉としても「泰然自若」は大いに活用できるでしょう。

「泰然自若」を使った例文

「泰然自若」を使った例文をいくつかご紹介しましょう。

  • 日々クレーム処理に追われるが、「泰然自若」を忘れず冷静に取り扱うことが大切だ。
  • 「泰然自若」と呼ぶにふさわしいのが、常に冷静沈着な我がチームのA部長だ。
  • 周囲の喧騒に惑わされず、「泰然自若」の精神で生きて行きたい。
  • 「泰然自若」の心を忘れなければ、突然ふりかかるトラブルにも動揺せず対応できるだろう。

「泰然自若」の類語と対義語とは?

「泰然自若」の類語と対義語について解説します。類語については文脈や状況にあったものを選ぶようにして下さい。

「泰然棒弱」の類語は”冷静沈着”や”余裕綽々”など

何事にも動じることなく、落ち着きのある様子を表す言葉は「泰然自若」の他に「冷静沈着(れいせいちんちゃく)」や「余裕綽々(よゆうしゃくしゃく)」などがあります。「冷静沈着」は「物事に動じず動揺しないこと」、また「余裕綽々」は「心や精神面、能力などにおいてゆとりがあること、またゆっくりとする様子」となります。

また、「意気自如(いきじじょ)」は、自分にとってマイナスとなる不利な状況でも周囲に惑わされず、普段の気持ちと変わらず平静なことを意味する言葉です。こちらも「泰然自若」の類語として使うことができます。

加えて、ごく自然に話し言葉で言い換えるなら「動揺しない」や「混乱しない」、「狼狽えない(うろたえない)」なども類語として適切だと言えます。

「泰然自若」の対義語は”右往左往”や”戦々恐々”など

一方、「泰然自若」と反対の意味を持つ言葉は、あっちに行ったりこっちに行ったりと、慌てて混乱することを表す「右往左往(うおうさおう)」、また、怖気づいてびくびくしていることを表す「戦々恐々(せんせんきょうきょう)」などが挙げられます。

また、思っていたことと結果が大きく異なった時や予想外の展開に狼狽えることを「周章狼狽(しゅうしょうろうばい)」と言います。こちらも、ショックで自分を見失い、どうしてよいかわからない様子を表すため「泰然自若」の対義語として理解しておきましょう。

「泰然自若」の英語表現とは?

「泰然自若」は英語で”keep cool”や”be steady”など

「泰然自若」を英語で表現すると、“keep cool”“be steady”などが最適です。また、「平常心を失わない」という意味を強調したいなら「never lose temper」や「never lose control」なども使えるでしょう。

加えて、同じような意味で比喩表現「keep my hair on(髪の毛を保つ)」がありますが、意味的には「感情が逆立ず平常心を保っているので、髪の毛を引っ張る必要がない」というろころから出来た熟語表現となります。

「泰然自若」をカジュアルに表現するなら”peace and calm”

英語で「泰然自若」をカジュアルに表現したい時は、波風のない落ち着いた様子を表す“peace and calm”を使うと良いでしょう。たとえば、家族が事故に遭い連絡を受けた時、慌てることなく電話で対応する、というシーンでは「He was one the phone talking peace and calm(乱れることなく落ち着いて話していた)」と言ったりします。

まとめ

「泰然自若」とは「ものごとに動じず、自分を見失しなわない様子」を指す言葉で、通常人が緊張する場面や重大事に遭遇した時などでもばたばたと慌てず、決して平常心を見失わないことを意味しています。

「泰然自若」という表現が相応しいのは一般的に「年配の方」や「経験豊富な人」などです。どんな事態が訪れても心がブレず、沈着な姿でものごとに対応する姿には心から魅了されるものです。また、日々「泰然自若」を心の拠り所としている人も多いため、座右の銘としても好んで選ばれています。