「あばずれ(阿婆擦れ)」とは厚かましくて品行の悪い女性のことを指す言葉です。江戸時代にはすでに使われていた言葉で、昔は男性にも使われていました。
今回は「あばずれ」の意味や由来、使い方にあわせて、類語や英語表現などを例文も使って解説します。
「あばずれ」の意味とは?
「あばずれ」の意味は「品行の悪い人」
「あばずれ」の意味は「人ずれしていて厚かましく、品行のよくない人」という意味です。現代では女性にのみ使われて、男性には使われません。
漢字では「阿婆擦れ」と書く
「あばずれ」は漢字では「阿婆擦れ」と書きます。「阿婆」という字の由来には二説あり、一説は当て字で特に意味がなく、漢字の音から「阿婆」の字が使われたという説と、中国の年を取った女性のことを指す「阿婆」という言葉から取られたいう説です。
一方「阿婆擦れ」の「擦れ」は、「すれっからし」や「人擦れ」などの「すれ」が語源です。
「あばずれ」の語源
俗語「あばずれ」は話し言葉から発生
「あばずれ」とは書き言葉から生まれた言葉ではなく、俗語と呼ばれる話し言葉から生まれた言葉です。俗語とは、日常的な話し言葉のなかでも、標準となる口語とは異なった卑猥な言葉を含む言葉です。
俗語の対義語は雅語(みやびご)になり、歌や文章に使われてきた言葉です。俗語とは対照的に風流な言葉になります。
「あばずれ」の由来ははっきりしない
「あばずれ」の「あば」の由来は、「暴れ者」の「あば」か、または話しぶりが軽率で無作法な者を意味する「あばけ者」の「あば」など複数説あり、「あば」が何から由来しているのかははっきりしません。
確かなことは、江戸時代に「人ずれした品行の悪い者」という意味で「あばずれ」という言葉がすでに使われていたことです。現代での使われ方との違いは、当時は「あばずれ」は女性だけでなく男性にも使われていました。
「あばずれ」の使い方と例文
「あばずれ」は女性に対してのみ使う
現代では「あばずれ」という言葉は、その本来の意味が失われて品行の悪い人や常識のない人を指して「あばずれ」が使われています。
一方で「あばずれ」=「女性」という認識は変わらず、「あばずれ」は女性に対してのみ使われています。
「あばずれ」を使った例文
- 「あばずれ女に引っかかって、痛い思いをしたよ」
- 「どうもあの子、二股かけてたらしいのよ。見た目よりもあばずれだったのね」
- 「たかるだけたかって何にも言わずに逃げやがった。あんなあばずれ見たことはない」
- 「確かに彼女はあばずれっぽいところがあるけれど、嫌いになれないんだよ」
「あばずれ」の類語表現
「あばずれ」の類語は「すれっからし」や「ばくれん」
「あばずれ」の類語には、「すれっからし」や「獏連(ばくれん)」、「人擦れ(ひとずれ)」が挙げられます。
「すれっからし」は「擦れ枯らし」という言葉に促音である「っ」を加えて音を変化させた言葉です。「世間ずれしていて、厚かましい人」という意味で、「あばずれ」とは異なり女性にも男性にも使われます。一方「獏連」は「擦れていてずる賢い人」という意味で、「あばずれ」と同じく主に女性に使われます。
「人擦れ」は人と人が擦れ合うという表現を短くした言葉で、「多くの人と接して世慣れしすぎていることや、そういう人のこと」という意味です。世慣れしていることは肯定的に見られることがありますが、「人擦れ」は世慣れしているからこそよくないこととして否定的にとらえています。
「 あばずれ」の類語を使った例文
- 「お礼もせずに夕食まで食べていくようなあいつは、すれっからしだよ」
- 「見た目は良いけど、本当のあの子は獏連だよ」
- 「人擦れしていない実直な青年」
「あばずれ」の英語表現とは?
「あばずれ」は英語で「bitch(ビッチ)」
「あばずれ」の英語表現は「bitch」です。「bitch」は俗語で「意地の悪い女」や「尻軽女」という意味です。
女性を批判する言葉としても知られていて、差別的な意味合いも含まれることから、人を中傷する度合いはとても高い言葉でもあります。そのため、「ビッチ」を言われた相手が憤慨することも考えられます。
もしも意地の悪い女性がいたとしても「ビッチ」を使うかどうかは、よく考えてから使うべき言葉です。
「bitch」を使った例文
- “You are stupid little bitch!”
「お前は馬鹿なあばずれだよ」
- “Did you find her attitude? She is some of a bitch.”
「彼女の態度に気づいた?嫌な女よね」
誰とでも寝る女という意味なら「whore」
「ビッチ」により性的な非難を込めて、誰とでも寝るような女性に対しては「whore」という言葉があります。かつては売春婦の意味で使われていました。
まとめ
「あばずれ」とは「世慣れしすぎて品行の悪い人」や「厚かましい人」という意味で、主に女性に使われます。「あばずれ」という言葉は女性を蔑視している表現なので、「あばずれ」を使い相手を怒らせてしまうことも考えられますから、気安く使わないのが無難です。