「全てを失う」を意味する「元も子もない」という言葉ですが、「身も蓋もない」や「本末転倒」と混同されやすいため、注意が必要です。「元も子もない」の正しい意味や類語、「身も蓋もない」「本末転倒」との違いを説明していきます。例文も併せて紹介しているため、ぜひ参考にしてください。
「元も子もない」の意味や読み方とは?
「元も子もない」の意味は”利益も元手もなくす”
「元も子もない」の意味は、“利益も元手もなくす・何もかもなくす”ことです。「元」は”元金”を、「子」は”利子”を意味しており、投資をして利子を得るつもりが、失敗して元金も失ったことからできた言葉です。
現在では、「利益も元手もなくす」という意味が転じ、「全てを失う」という意味や「無理のしすぎや、欲を出したことにより全てを失う」という意味でも使われます。
「元も子もない」の読み方は”もともこもない”
「元も子もない」の読み方は、“もともこもない”です。「元」という漢字は、「もと」の他にも「がん」や「げん」という読み方をするため、読み間違えないようにしましょう。とくに、話し言葉として使用する場合は、相手に失礼となるため注意してください。
「元も子もない」の使い方・例文とは?
忠告の意味をもつ「体を壊したら元も子もない」
「元も子もない」を使った言い回しの1つが、「体を壊したら元も子もない」です。無理をしすぎて体を壊してしまっては、せっかく得たものを失ってしまうという、忠告の意味をもつ言葉です。
「頑張るのもいいが、体を壊さない程度に」と、相手に伝える状況で使えます。
同じ意味の「体調崩したら元も子もない」
「体を壊したら元も子もない」と同じ意味をもつのが、「体調崩したら元も子もない」です。例えば、「明後日のプレゼンのために徹夜するのはいいが、体調を崩して当日欠勤になっては元も子もないぞ」などの使い方をします。
「本も子もない」は一般的な使い方ではないため注意
「元」の部分に「本」を当てはめた、「本も子もない」という表現。一部の辞書には「利益も元手もなくす」を意味する言葉として、「本も子もない」と記されています。しかし、「本も子もない」が載っていない辞書があることや、本来「元」は「元金」を意味していることから、一般的な表記ではありません。
同じ「利益も元手もなくす」を意味する言葉ですが、人によっては「間違いだ」と捉えられる場合もあるため、トラブルを避けるためにも「元も子もない」を使用する方がいいと言えます。
「元も子もない」を使った例文
「元も子もない」を使った例文をご紹介しましょう。
- 大会のために練習量を増やすのはいいが、怪我をしてしまっては元も子もない
- 家族にいい暮らしをしてもらおうと株に手を出したが、失敗して離婚を切り出された。これでは元も子もない
「元も子もない」と「身も蓋もない」「本末転倒」との違いとは?
「露骨な表現」を意味する「身も蓋もない」
「○も○もない」という言い回しが似ている、「身も蓋もない」という慣用句ですが、意味が異なるため注意してください。「身も蓋もない」とは、「露骨な表現」を意味する言葉です。表現がストレートすぎて、風情や情緒が感じられない状況や、話が続けられない状況で使用されます。
「重要なことを取り間違える」という四字熟語「本末転倒」
四字熟語の「本末転倒」は、「重要なことと、重要ではないささいなことを間違える」を意味しています。つまらない事柄に熱中してしまい、本来の目的を忘れている状況や、良かれと思って行ったことが悪い結果を招く状況で使えます。
「元も子もない」の類義語とは?
類語①「無駄骨を折る」は”無駄な努力”を意味する
「元も子もない」の類語には、「無駄な努力や労力」を意味する「無駄骨を折る」が当てはまります。「むだぼねをおる」と読み、やった行いが報われない状況で使用されます。例えば、「今日は営業で顧客の家を回っていたが、連休のせいで外出している人ばかりだったため、無駄骨を折ることになった」という例文。
上記の例文は、労力が報われていないため、適した使い方となります。
類語②「台無し」は”だめになる”を意味する
「元も子もない」の類語には、「物事がだめになること」を意味する「台無し」も当てはまります。「企画が台無しになった」や「せっかくの旅行が雨で台無しだ」など、「なくなった」「予定通りにいかなくなった」という状況で使われます。
「元も子もない」の英語表現とは?
「元も子もない」の英語表現は”It defeats the purpose”
「元も子もない」を英語で表す場合、「It defeats the purpose」が適しています。「元も子もない」または、「意味がなくなる」状況で使用でき、「defeats」が「ダメにする」「無にする」を意味し、「purpose」が「目的」を意味しています。
まとめ
「元も子もない」とは、「利益も元手もなくす」または「何もかもなくす」を意味する言葉です。混同されやすい「身も蓋もない」や「本末転倒」という言葉ですが、「身も蓋もない」は「露骨な表現」を意味し、「本末転倒」は「重要な事柄とつまらない事柄を取り間違えること」を意味しています。類語には「無駄骨を折る」や「台無し」が当てはまるため、言い回しを変えたい場合は類語を使用しましょう。