努力をしながらお互い競い合うことを「切磋琢磨」という言葉で表現することがありますが、語源や正しい使い方を把握していますか?今回は日頃からよく使われる「切磋琢磨」の語源や意味をはじめ、使い方と例文、類語や対義語、英語表現を交えて解説していきます。
「切磋琢磨」の意味や語源とは?
「切磋琢磨」の意味は”努力しお互い励まし合いながら向上すること”
「切磋琢磨」の意味は、“学問や精神、また人格や道徳心を磨き、仲間同士で励まし合いながらお互いが相互に向上すること”です。友人を含め、同じグループのメンバーなどがお互い努力を重ね、苦楽を分かち合い励まし合いながら、共に向上することを指します。
つまり「切磋琢磨」は互いに鍛錬し修行をすること、時には競争し合いながらも常に協力を惜しまず、お互いを高め合うことを意味する言葉なのです。
ちなみに「切」は獣の骨や象牙を切り刻むこと、「磋」は玉や獣の角を磨くこと、「琢」は玉や石を打ち叩き美しく整形すること、また「磨」は石などを擦り磨くことを意味しています。
「切磋琢磨」の語源は中国最古の詩集”詩経”
「切磋琢磨」は中国最古の詩集として知られる「詩経」の「衛風(えいふう)」と「淇奧(きいく)」にある「如切如磋 如琢如磨」から来た言葉です。つまり、他者と競いながら自己鍛錬に努め、学問や人格を磨きながら、自己の資質を高めるための努力をするべきである、という教えから生まれた四字熟語となります。
細工師が骨や象牙などを加工すれば、輝きを放つ宝石になることと、人が天性の素質を磨き、立派な者になるという意味を重ねた一節が「切磋琢磨」の語源となります。
「切磋琢磨」の使い方と例文とは?
「切磋琢磨」の語源や意味を把握したところで、次に使い方と例文を紹介します。
「切磋琢磨する」が最も多い使い方
「切磋琢磨」は一般的に「切磋琢磨する」という使い方が最も多いでしょう。「切磋琢磨して~をする」や「切磋琢磨しながら~する」などを含め、文脈にフィットする表現を選んで下さい。
「切磋琢磨」は仕事でライバルを蹴落とすような状況では使われない
「切磋琢磨」という言葉からさまざまなニュアンスが思い浮かばれますが、仕事でライバルや敵となる相手を追い越そうと卑怯な手段を使うことに対して使うのは適切ではありません。
「切磋琢磨」は学問や知識を修めるために努力を重ね、お互いを励まし合って競い合うことをさすため、仕事でも相手や仲間と良い結果を目指している状況で使うのが正しい使い方となります。
「切磋琢磨」を使った例文
「切磋琢磨」を使った例文をいくつかご紹介しましょう。
- 同僚と「切磋琢磨」しながらチームを盛り上げていくつもりだ。
- 「切磋琢磨」することで、お互い成長することができる。
- プロのテニスプレーヤーを目指すために「切磋琢磨」しながら自己の限界に臨んだ。
- 「切磋琢磨」して、ついに世界初の電気自動車を開発した。
「切磋琢磨」の類語や言い換えとは?
「切磋琢磨」と言い換えのできる類語はあるのでしょうか?四字熟語の類語と併せて紹介します。
「切磋琢磨」の類語は”精錬”や”修行”など
「切磋琢磨」の類語は「精錬」や「修行」、また「鍛錬」や「鍛え」などになります。これらの類語はゴール達成のために努力に徹するさまを表し、自己の向上を目指す言葉ですが、言い換えをする時は状況や文脈に適したものを選ぶようにして下さい。
「切磋琢磨」と似た意味を持つ四字熟語は「粒粒辛苦」
「切磋琢磨」と似たような意味を持つ四字熟語は、継続して大層な努力を重ねることを意味する「粒粒辛苦(りゅうりゅうしんく)」です。つまり、毎日の努力の積み重ねが、結果的にとてつもない努力の賜物となっていた、という意味でも解釈できるでしょう。
「切磋琢磨」の英語表現とは?
英語で「切磋琢磨」を表現してみましょう。国際的な環境でも、お互い励まし合いながら、ゴールや目標に向かって突き進んでいきたいものです。さて、どのようなフレーズが最も適切なのでしょうか?
「切磋琢磨」は英語表現はさまざま
「切磋琢磨」を英語で表現すると、いくつかのフレーズが思い浮かんできます。簡単に意訳して「お互いに励まし合いながら頑張る」とするなら「work hard and encourage each other」、また「競い合うことでお互いを向上させていく」というニュアンスなら「improve ourselves through competition」が良いでしょう。
どちらも「切磋琢磨」に極めて近いフレーズになりますが、自分の表現したい気持ちに近い方を選んで、会話や文章に取り入れるようにして下さい。
「切磋琢磨」を”diligent”の一言で表現するのもよし
「切磋琢磨」を一つの単語で表現するなら「diligent」も適切と言えます。「diligent」は「勤勉な」という意味を持つ形容詞ですが「熱心に精を出す」「精勤する」というニュアンスのある言葉でもあります。たとえば、切磋琢磨している人を好意的に表現するときは「He is very diligent」などと言ったりします。誉め言葉としても使えるので、ぜひ覚えておきましょう。
まとめ
「切磋琢磨」した暁には、見事な成果が待っていることが多いです。というよりは、切磋琢磨したから素晴らしい結果が生まれると言っても過言ではないと言えます。
一見、何でもないような玉でも、本来の資質を丹念に磨いていけば輝く宝石になる…。この教えを胸に、自己の向上に向けて努力を続け、周囲と励まし合いながら自己の素質を高めていきたものです。