印刷業界には似たような言葉がありますが、その一例が「校了」です。「校了」に似た言葉で、「校正」「責了」や「再校」がありますが、それぞれ意味は違います。そこで、「校了」の意味と、「校了」に似た言葉の意味をそれぞれ分かりやすく解説します。また「校了」を使った文例や英語表現も紹介します。
「校了」と「校正」の違いとは?
「校了」と聞いて「校正」と何が違うのかと迷われた方のために、それぞれの意味について解説します。「校了」は「校正」のひとつですから、先に「校正」について理解しましょう。
「校了」の意味は「印刷をしてもかまわない状態になること」
「校了」の意味は、校正が終わり、印刷をしてもかまわない状態になることです。原稿を印刷するまでの段階では、校正は2度、3度と何回も繰り返されます。もうコレで修正箇所はないという状態まで校正されたものを、最後の校正という意味で、「校了」と呼んでいます。
また、校正には赤いペンを使うのが通例です。赤いインクで修正箇所を書きいれていくので、これを別称「赤字」とも呼ばれています。
「校正」の意味は「印刷物に不具合があった箇所を修正する」
「校正(こうせい)」とは、印刷される物について、字句や誤字脱字などの誤植、内容や色彩、レイアウトなどが間違っていたり不具合があった箇所を修正することです。
特に色合いについての校正は「色校正(いろこうせい)」、略して「色校(いろこう)」と呼ばれています。
「校了」の使い方と文例とは?
校了は、印刷物が印刷される前の最後の校正です。ですから、文例は下記の通りです。
「印刷業者とのやり取りの場合」の例文
- 「校了です」
- 「校了しました」
- 「校了したので、よろしくお願いします」
このように言えば、印刷業者は校正が終わったものとして、下阪、つまり印刷の段階へと移ります。
「校了前に別件の注文が入った場合」の例文
- 「現在、校了をひかえ急がしくしていますので、その件については後ほどお伺いします」
校了間際は忙しいもの。そんなときに別件を依頼された場合には、このような言い方でその以来を断るます。もちろん、先方が待つことができる前提での話です。
校正の流れに沿って8つの印刷用語を解説
紛らわしい印刷用語を整理するために、印刷の手順に沿いながら解説していきます。出版物を印刷する工程を理解しながら、「校正」や「校了」の他にもたくさんある印刷用語をまとめて確認してみましょう
入稿
印刷するための原稿を印刷会社に渡すことを「入稿(にゅうこう)」といいます。これが最終的な印刷にするまでの長い工程の出発点です。
ゲラ・校正刷り
入稿した原稿が試し刷りされてきます。これを「校正刷り(こうせいずり)」または「ゲラ」と呼びます。これから、ゲラに誤植などの間違いがないか、仕上がりはどうかなどの校正が加えられていきます。
初校(最初の校正)
ゲラの手直しをすることを校正と呼びますが、その第1回目の校正を特に「初校(しょこう)」と呼びます。これが校正の始まりで、校正の基本は、ゲラと原稿をつき合わせて間違いがないかどうかを確認していきます。
最初の原稿を示す「初稿」と読み方は同じですが、意味が異なるので注意して使うようにしましょう。
再校
初校によって修正された箇所を反映されたゲラが印刷されてくると、2回目の校正をします。これを「再校(さいこう)」といいます。また、印刷しなおされた試し刷りそのものを「再校」と呼ぶこともあります。別称「二校(にこう)」です。
再校では、初校で指摘された修正箇所が、印刷に正しく反映されているかどうかを確認していく作業が中心です。試し刷りの回を重ねることに呼び名の数字が増えていき、3度目の校正なら「三校(さんこう)」と呼ばれます。
責了
「責了(せきりょう)」とは、「責任校了」の略です。修正箇所が見つかったとしても、それをわざわざ発注者に戻してチェックするほどではないので、校正担当者の責任で修正依頼を出して校了とすることを指します。
それまでの校正のように赤字で修正箇所が記されて、余白に「責了」と朱記します。すると、校正担当者と印刷業者の責任の下で修正されて印刷されます。時間がない場合などに、「責了」となることがあります。
念校
校了にあたり、その中の一部分を念のため再チェックすることを「念校(ねんこう)」といいます。または、校了前の最後の校正という意味で使われることもあります。
校了
校正が繰り返されてもう校正は必要ないという状態になると、「校了」です。校了になると修正箇所がないので赤字が入らず、余白に「校了」と赤い字で書かれます。
下判
校了された原稿を印刷するすることを、「下判(げはん)」と呼びます。一昔、印刷をすることを「版を下ろす」と言っていたことが由来です。
校了の英語表現とは?
「校了」は英語で「final proofreading」
「校了」の英語表現は、「final proofreading」です。最後の校正という意味ですね。
「校了にする」と言いたい場合の英語表現
「校了にする」と言いたい場合には、以下のような英語表現が使われることが多いです。。
- OK the proofs.
- I finish proofreading of …
- The proofreading is completed.
- It is ready for the press.
まとめ
印刷用語には、校了や校正、責了など一度聞いただけでは分かりづらい言葉がいくつもあります。混乱をする前に、これらの言葉の意味を整理して理解しておけば、印刷業者とのやり取りをスムーズにになります。そうなれば、仕事も効率よく進めることができるでしょう。