「共々」を使った表現は、メールや手紙などの書面やスピーチなどでもよく使われますが、この場合の「共々」は誰のことを言い含められるのでしょうか。誰でもいいというわけにはいかない「共々」の意味とその使い方を、ビジネスシーンでの使い方も交えながらご紹介します。
「共々」の意味と読み方
意味は「一緒に同じ行為をするさま」
「共々」とは「一緒に同じ行為をするさま」、「同じようであるさま」を意味します。
ある人と他の誰か、または複数の人が、同じことをする様子、または誰もが同じような状態のことを指します。
読み方は「ともども」
「共々」という漢字「ともども」と読みます。
「共々」の上司や目上の人への使い方
「共々」に目上の人を含めてはいけない
「共々」は確かに「誰かと誰かが同じ行為をするさま」や「同じようであるさま」という意味ですが、へりくだった表現でもあります。そのため「共々」は身内を指して使われることが多く、目上の人を指して使うことができません。自分と目上の人を一緒にして「共々」と使えば、目上の人に対して失礼になるからです。
たとえば、「ご夫婦共々、ぜひおいでください」のようには使うことはできません。
「共々」は自分たちのことを指して使うべき表現で、目上の人や敬意を表すべき相手は含まれません。
「共々」は目上の人への挨拶には使える
ただし、目上の人への挨拶として「共々」を使うことができます。「夫婦共々よろしくお願いいたします」のように、目上の方に対してのあいさつ文として使えます。
話し言葉として、相手に直接話しかける際に使ってもいいですし、スピーチなどの不特定多数に対しても使えます。また、メールや手紙にも書き言葉として使えますので、形式にこだわらず、使うことができる重宝な表現です。
ビジネスシーンでの「共々」の使い方
目上の人に対する挨拶としてよく使われる「共々」は、ビジネスでも活用できます。
身内を紹介する場合
- 「社員共々これからもどうぞよろしくお願いします」
- 「営業部の○○共々、これからお世話になりますので、よろしくお願いします」
このように自分の身内にあたる会社の関係者を顧客や取引先相手に紹介するときに使えます。
気をつけるべきことは、この表現を誰もが使っていいわけではありません。挨拶をする代表者の中でも部長や課長などの最も責任のある人物がするべき挨拶であって、新人社員が部長に代わってこのような挨拶はしません。若手の社員が同伴しているのなら、その社員の取るべき行動は、挨拶をしている部長の横で何かを言うことなく一緒に頭を下げるというのが立場に合った行為と言えるでしょう。
関連会社や子会社を紹介する場合
- 「弊社共々(子会社である)○○会社をよろしくお願いします」
取引先相手に、会社の代表として関連会社や子会社を紹介するような状況でも、「共々」は使われます。
会社のサービスを紹介する場合
- 「新しく開発した○○を、弊社共々よろしくお願いします」
会社だけではなくて、自社の商品を紹介する際にも「共々」を使うことができます。紹介する商品と自社名を並べることで両方を宣伝できるいい機会にもなります。
「社長共々」という言い方は正しい
- 「社長共々よろしくお願いします」
社長や上司は、自分からすれば格上ですが、同じ会社で働く身内と見れば同じ立場と考えられます。別会社や取引き先に、自社を紹介する際に社長や上司のことを出したほうがいい場合は、このような言い方もできます。
一般的な「共々」の使い方
「共々」という表現は、家族や夫婦ぐるみで付き合いのある関係の間柄でよく使われます。
書き手がグループ代表として挨拶する際
メールや手紙の中で、書き手があるグループの代表として挨拶をする際に、「共々よろしく」といった表現を使います。
- f「共々よろしく」
話し手が家族代表として、相手に挨拶する際
話し手が家族の代表として、相手に頼んだり挨拶をしたりする際に使われる表現です。このように言うことで、親と子が同等の立場に立っていることがわかります。
- 「親子共々お世話になります」
- 「親子共々嬉しく思っております」
近況報告を兼ねた手紙や年賀状などに使う際
近況報告を兼ねた手紙や年賀状などに、よく使われる文例です。家族全員が先方に挨拶をしている感じが伝わります。
- 「今年も家族共々よろしくお願いします」
夫婦が一緒に何かをする際
夫婦が一緒になって何かをする場合「夫婦共々」を使います。
- 「夫婦共々お祝いを申し上げます」
文頭に「共々」を置く場合
メールなら読み手が、会話の中なら聞き手が、「共々楽しみにしております」と言っている人物と他の誰かも特定できているような状況で、このように文頭に「共々」を置くこともできます。
- 「共々楽しみにしております」
「共々」の敬語表現
「共々」だけでは謙譲語にはならないので注意
「私ども」の「ども」は謙譲の意味を含みますが、「共々」は謙譲の意味を含まないため、使う際に注意が必要です。また「共々」という言葉自体にも敬語表現がないため、「共々」を使った文例は敬語表現を用いて使われることが一般的です。
「共々」の敬語表現の例文
- 「弊社共々よろしくお願いします」:丁寧語を使った表現
- 「弊社共々よろしくお願いいたします」:謙譲語を使った表現
「共々」は目上の方に対する挨拶として使われますので、文末に敬語は欠かせません。
「共々」の類語
類語は「ともに」、「一緒に」など
「共々」という言葉の言い換え表現としては「ともに」「一緒に」「連れ立って」などが挙げられ、日常的なシーンで使われることが多いです。
「家族とともにがんばってまいりますので、今後ともよろしくお願いします」
「夫婦連れ立って参りましたがお留守でしたので、また機会を見てお伺いいたします」
ビジネスシーンでこうした置き換え表現は少しくだけた印象になるので、状況を選んで使うべきでしょう。
まとめ
一般的によく使われる「共々」という表現は、ビジネスシーンにも自社や自社に関わることを紹介するときによく使われます。自分と会社、自分と家族など、人と人の関係を強調できる上に、その代表して挨拶することになるので責任も負います。軽々しく使うことなく、「共々」の意味を考えながら使われることをおすすめします。