「針小棒大」は、よく見る漢字が組み合わさった四字熟語ですが、正しい意味や使い方をご存知でしょうか。「針小棒大」には、他人を批判する意味を含みがちですので、使い方には注意が必要です。今回は「針小棒大」の意味や使い方を解説します。由来となったことわざや、類語・対義語もあわせて解説していますので、一緒に確認しておきましょう。
四字熟語「針小棒大」の意味や由来・語源とは?
四字熟語「針小棒大」の意味は”大げさに言うこと”
「針小棒大」の意味は、“大げさに誇張して言うこと”です。「しんしょうぼうだい」と読みます。漢字をそのまま解釈してもわかる通り、「針のような、とても小さなものを、棒のように大きなものとする」と表現しています。
針を棒だと言い張るように、「大げさに言うこと」や「小さいものを誇張して大きく見せること」、また「誇張して大きく見せようとしている様子」を表しています。例えば「それは針小棒大だ」という言葉は、「それは大げさに言っているだけだ」という意味になります。
「針小棒大」の由来・語源は”ことわざ”
「針小棒大」の語源は、「針ほどのことを棒ほどに言う」ということわざです。「針ほどのこと」とは、「針のように小さいこと」という意味であり、四字熟語では「針小」と表現されています。
また、「棒ほどに言う」とは、針と棒を比較して、「棒のように大きく言う」という意味であり、四字熟語では「棒大」と表現されています。
現在では、「針ほどのことを棒ほどに言う」ということわざよりも、四字熟語である「針小棒大」の方が多く使われています。
四字熟語「針小棒大」の使い方とは?
「針小棒大」は他人の発言に使うことが多い
「針小棒大」を使う時には、他人の発言に対して使うことが多いです。例えば、「上司の発言は針小棒大だ」のように、上司の発言が大げさに誇張して言っているだけだと批判して使います。
反対に、自分の発言に対して「針小棒大だが」などと使うことは、基本的にはありません。自分の発言が誇張されているときに、「大げさに言うと」や、「少し誇張していうけれど」と使うことはありますが、「針小棒大だが」と使うと違和感を持たれる可能性がありますので、注意しましょう。
また、「針小棒大」は、批判する場面で使われることも多い言葉です。使う時には失礼のないように注意して使いましょう。
「針小棒大」を使った例文
「針小棒大」を使った例文をいくつかご紹介しましょう。
- 私の上司はいつも、自分の若いころの話を針小棒大に話している。
- あの記者は、今回の事件を針小棒大に書きすぎている。
- 彼は、物事を針小棒大に話す癖があるので、話を聞くときには注意した方がいい。
- 怪我をして痛かったことを必死に伝えたのに、針小棒大だと聞き流された。
- 屋根に大きな穴が開き、雨漏りがひどいと聞いていたが、針小棒大な話で、ちょっと漏れてくるだけだった。
- 彼女が、私のミスを針小棒大に言いふらしたために、職場での居心地が悪くなった。
四字熟語「針小棒大」の類語と対義語とは?
「針小棒大」の類語は”大言壮語”
「針小棒大」の類語には、“大言壮語”があります。「たいげんそうご」と読みます。「大言壮語」とは、実力に合っておらず、できそうもないことをできると言ってしまうことや、できると言った言葉のことをいいます。
自分の実力を誇張して言ってしまう点では、「針小棒大」に近い意味ですが、「自分の実力」に関する場面でのみ使うことができる点が、「針小棒大」とは異なります。
「針小棒大」の類語には、「大言壮語」の他にも、「できそうにもない、おおげさな話」という意味の「大風呂敷」などがあります。
「針小棒大」の対義語は”控え目”
「針小棒大」の対義語は不明ですが、「大げさ」という意味の対義語である“控え目”などが当てはまるでしょう。「針小棒大」の反対の意味の言葉が必要な時には、「控え目」や「慎重」などを使ってみてはいかがでしょうか。「大げさであることを避ける」という意味では「適度」も使用できます。
四字熟語「針小棒大」の英語表現とは?
「針小棒大」は英語で”make a mountain out of a molehill”
「針小棒大」を英語で表現すると、“make a mountain out of a molehill”となります。「molehill」とは、モグラ塚と言われるもので、モグラが穴を掘ったときに余った土を地表に出してできるものです。「モグラ塚を大きな山のように言う」という意味で、「針小棒大」と同じく、「大げさに言うこと」を表現しています。
「針小棒大」を、一言で表現したい場合は、「誇張した表現」という意味の「exaggeration」を使うこともできます。場面に合わせて使い分けましょう。
まとめ
「針小棒大」とは、「大げさに言うこと」や「小さいものを誇張して大きく見せること」、また「誇張して大きく見せようとしている様子」を表す四字熟語です。針のように小さいものを、棒のように大きく見せることから生まれた言葉です。他人の発言を「大げさに言っているだけ」と批判して使うことも多い言葉ですので、使うときには注意して使うとよいでしょう。