話や物語には「起承転結」が大切、と小学生のときに習ったという人は多いでしょう。しかし「起承転結」という言葉自体にどんな意味があるのか知っているでしょうか。
今回は「起承転結」の意味や語源・使い方について、わかりやすく解説します。「起承転結」のそれぞれの意味やレポートでの注意点、英語圏での伝え方にも触れていますので、ぜひ参考にしてください。
「起承転結」の意味と由来とは?
「起承転結」とは「話をわかりやすくする文章術」
「起承転結」は「きしょうてんけつ」と読みます。「起承転結」とは、簡単に言うと「話や文章をわかりやすくするための文章術」です。
人に話を伝えるとき、思いついたままに話すと相手が理解に苦しみ、思うように伝わりにくくなります。しかし「起承転結」を意識して話したり、文章を書いたりすれば、相手に自分が伝えたいことをスムーズに理解してもらいやすくなるのです。
「起承転結」の語源・由来は漢語の絶句
「起承転結」はもともと日本で生まれたものではありません。元は中国の漢詩で用いられる文章の構成方法でした。漢詩の中でも「絶句」といわれる、もっとも短い漢詩が「起承転結」によって書かれたと言われています。
この「絶句」では少ない文字数で、いかに効率良く内容を伝えるかということが重要視されており、その方法のひとつとして「起句」「承句」「転句」「結句」という構成が用いられていました。
この「絶句」の書き方が、日本に伝わり、話や物語を簡潔に伝える方法として「起承転結」が用いられるようになったと言われています。
「起承転結」の使い方と例文
「起承転結」はそれぞれに意味がある
「起承転結」とは具体的にどのようなものかというと、「起」「承」「転」「結」という4つの分類に話を配分する方法です。「起承転結」は話を4等分にする必要はなく、むしろメインとなる部分に多く情報を入れます。
以下では「出勤途中に電車が止ってしまったが遅刻せずに済んだ」という話を「起承転結」に分けて解説します。
「起」は背景や事前情報
まず「起」とは話や物語の最初の部分です。「物事の背景や事前に伝えておきたい情報」を示します。その話を聞いたり読んだりする人へ、「このことを知っておいてもらっていた方が理解がしやすいだろう」と考えられる情報を渡す場面です。
- 「私はいつも最寄りの駅から電車に乗って通勤しています。電車は本数が多く、ホームで5分と待つことはほとんどありません。」
「承」は本題の導入部分
「起」の次に来る「承」では本題に入る準備をします。話の導入部分と考えると良いでしょう。メインとなる事が起る直前をイメージして話します。
- 「今日もいつも通りの時間に駅へ向かいました。今思えば普段よりも多くの人がホームに人がいたようですが、そのときは気になりませんでした。」
「転」はできごとや展開
「転」では、「起」「承」で話したことが、「転じる」部分です。メインとして話したいできごとや展開を伝えます。
- 「ところがいつもはすぐに来る電車がなかなか来ません。そのときアナウンスが流れ、事故で電車が止ってしまったことを知りました。」
この例では「起」の部分で伝えた「ホームで5分待つことはほとんどない」という事前情報が生きてきます。
「結」はメインとなったできごとへの対処
最後の「結」では、その話がどのように終結したのかということを話します。トラブルであればどのように解決したのか、驚いたことであれば、何について驚いたのかなど、種明かしをする部分です。
- 「そこで私はすぐに駅を出て、タクシーを拾うことができたため、会社に遅刻せずに済みました。」
「起承転結」をレポートで使ってもいいの?
ビジネスのレポートやプレゼンでは「起承転結」は推奨されない
「起承転結」は物語や口頭で話を伝えるときに用いることで、内容をわかりやすくするものです。しかし、ビジネスレポートやプレゼンではあまり推奨されていません。
ビジネスでは「結論の先出し」が好まれるため、「起承転結」の順序で話をしてしまうと、相手は内容の理解が困難になります。特にレポートでは、「起承転結」よりも「5W1H」の方が重視される傾向があるようです。
- 「私はプレゼンのときに起承転結を気にしてしまうので、いつも上司にまどろっこしいと叱られてしまう」
- 「彼のレポートは起承転結より5W1Hが意識されていて、理解がしやすいと評判だ」
「起承転結」の英語表現
「起承転結」という意味の英語はない
「起承転結」という言葉と同じ意味表すためには、「起」「承」「転」「結」をそれぞれ英訳する必要があります。
- 「起」:「introduction」
- 「承」:「development」
- 「転」:「twist」
- 「結」:「conclusion」
これは英文に「起承転結」という概念自体が存在しないためです。「起承転結」を英語圏の人に伝えたい場合は「起承転結」とそのままの言葉を使って、内容を英語で説明することになります。
まとめ
「起承転結」という言葉は、子供の頃から何となく耳にしてきた言葉です。しかし、大人になって考えてみると、意外とその意味を知らないことに気づきます。
今回理解した「起承転結」という言葉の意味や、それぞれの句の意味を元に、エピソードを話したり、手紙を書いたりしてみると「起承転結」を体で覚えることができるかもしれません。ぜひこの機会に試してみてください。