「バリデーション」とは「確認」や「承認」を意味する言葉で、製造や介護の分野でも使われています。今回は仕事や生活上でも理解しておきたいカタカナ語の一つ「バリデーション」について、基本的な意味や英語表記をまとめました。「ベリフィケーション」との違い、熟語表現などを参考にしてみてください。
「バリデーション(validation)」の意味とは?
「バリエーション」の基本的な意味は”価値があるかどうかを検証する”
「バリデーション」の基本的な意味は、“作業や業務における結果や仕上がりが、規定の条件や仕様、規格などに適合しているかを検証すること”です。英語の「validation」です。
商品やサービスのみに限らず、人が達成した業績や功績などを含めて「証明する」「妥当性があるか確認する」という意味があります。また、製品やシステムなどにおいて、規格内に収まっているか、消費者のニーズや要望に応えたものになっているのか、など妥当性を確認するのが「バリデーション」です。
「バリデーション」はもともと”有効にする”という意味がある
「バリデーション(validation)」はもともと“有効にする”という意味の動詞「validate」が名詞となった単語です。正当性を立証していないものや妥当性を確認していないものに対して「有効であるか、価値があるかどうかを検証する」という意味があります。
英語圏では「法律的に有効にする」と言ったニュアンスが強く、事件の立証や結果を法に基いて認めるというような意味でも使われています。
現在、日本でカタカナ語として使われている「バリデーション」の意味が、「validate=有効にする」、つまり「認める」「認定する」「承認する」となるのは、この点からも理解できるのではないでしょうか?
「バリデーション」業界別にみる3つの意味とは?
「バリデーション」は上記で紹介した基本的な意味の他に、各分野別に特別な意味を持つ言葉として使われています。早速、紹介していきましょう。
IT業界では「書式設定やデータ形式が規定通りかどうか検証すること」
IT業界での「バリデーション」とは「書式の設定や文字の入力場所、保存されたデータの形式などが規定された通りになっているか、マニュアルに沿ってなされているかを検証すること」を指します。
「バリデーション」が必要なのは、システム開発の段階で従来の計画案がねじれ、本来目指すべき意図や目的からそれてしまうような状況です。用途や目的、規格から外れてしまい、製品に対して求めるものが十分に反映されていない時に、改善の意図を持って使われています。
医療業界では「医薬品の製造工程が最適かを確認すること」
医療業界での「バリデーション」は「医薬品の製造過程や製造手段が最適に行われるかどうか、目的に合致したものが製造されるかどうかを確認すること」を指します。
医薬品を製造する設備や品質管理を含め、製造される医薬品が目的通りの工程を経て適切な製品となるか、成分配合は正しいか、また薬剤の条件を確認し、服用後に同様の効能を得られるかどうかなどを検証するのが「バリデーション」です。
介護業界では「認知症における行動を理解する姿勢そのものを指す」
介護業界での「バリデーション」は、他の業界とはやや使い方が異なります。介護業界ではアルツハイマーなどの認知症をかかえる高齢者が、徘徊や物忘れの兆候を見せた時に、周囲が「これらの行動には意味があること」として捉え、理解する姿勢そのものを指します。
認知症の高齢者が突然どなったり、散歩に出た切り戻ってこなっかりすることもあるでしょう。これらの行動に対して、高齢者と向き合い上手にコミュニケーションを進めていこうとする方法が「バリデーション」です。
覚えておきたい「バリデーション」の付く10つの英熟語
「バリデーション」のつく熟語ベスト10
ビジネスシーンで見聞きする「バリデーション」のつく熟語について、最も覚えておきたいベスト10を挙げてみましょう。英語表記と併せて紹介します。
- validation key:認証番号(コンピューターシステムなどの)
- validation domain:有効化ドメイン
- validation analyses:検証解析
- validation program:検証プログラム
- validation test:妥当性確認テスト(バリデーションテスト)
- code validation:コード確認
- cluster validation:クラスター検証
- cross validation:クロス確認(統計での相互検証)
- data validation:データ妥当性検証
- import validation:輸入承認
「バリデーション」という言葉を使った熟語は非常に多い
日本はもちろん、英語圏でも、あらゆる検査や作業の最後で検証や評価をし、ゴーサインを出すか、出さないかを見極めることを「バリデーション」と呼びます。そのため「バリデーション」はコンピューターやデータ管理をはじめ、医療、科学的な実験、輸入・輸出などの手続き、商品やサービスの品質管理などにも多数使われています。
「ベリフィケーション(verification)」とは?
「ベリフィケーション」とは”調査やテストで質の検証をすること”
「バリデーション」に似た言葉に「ベリフィケーション(verification)」がありますが、この二つには多少なりとも意味の違いが存在します。
「ベリフィケーション」とは、「本当であるか、真実や質そのものを実証し確認すること」で、製品やシステムの仕上がりについて調査やテストし、正しいかどうかを見極めることを指します。
「バリデーション」と「ベリフィケーション」の違い
「バリデーション」と「ベリフィケーション」との違いは、ネイティブでも混同してしまう程、意味の上で酷似しています。「バリデーション」が「妥当性を確認すること」を指すなら、「ベリフィケーション」は「調査やテストを経て、質や真実性の認証をすること」になります。
まとめ
「バリデーション」はIT、医療、介護と業界別に使い方が異なりますが、基本となる意味合いは「規定に沿っているか妥当性や価値を検証すること」となります。ベリフィケーションと酷似した言葉ですが、意味や使い方がやや異なりますので気を付けましょう。
「バリデーション」を必要とする場面は製造や開発、医療全般に至るまで幅広いです。適切な製品やサービスはもちろん、患者とのコミュニケーションツールとしても活用される言葉ですので、この機会にそれぞれの意味をマスターしておきましょう。