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「業が深い」の意味とは?仏教との関係に類語や「罪深い」との違い

「業が深い」とはよくないことが続いたときに「運が悪い」という意味で使われますが、本来の意味とは違うことをご存知でしょうか。

今回は「業が深い」の意味や由来に、正しい使い方を例文とあわせて解説します。また「業が深い」の類語や対義語、そして似た言葉「罪深い」との違いに英語表現も紹介します。

「業が深い」の意味や由来とは?

「業が深い」の意味は”欲が深い・運が悪い”

「業が深い」の意味は、“欲が深い・運が悪い”ことです。

本来は「業が深い」は「前世での行いが悪かったため、その報いを受けているさま」という意味でしたが、前世の悪行とは欲深さから行われた罪深い行いと解釈されて、「欲が深い」という意味が定着しました。また、運が悪いときやひどい思いをしたときに使われるため、「運が悪い」という意味でも使われるようになりました。

ただし本来の意味である「前世の悪行の報い」という意味がなくなったわけではないので、「運が悪い」は広い意味でとらえておくのがいいでしょう。

「業が深い」の由来は仏教用語”カルマ”

「業が深い」は仏教用語である「業」が由来しています。「業」(ごう)は、古代インドの文語であるサンスクリット語の「Karman」から生まれたカタカナ語「カルマ」とも訳されます。

「業」または「カルマ」とは、仏教において、ある行為は未来の出来事に報いられるという意味です。悪い行いは未来でまた悪いこととして起こり、良い行いに関しても同じです。善悪の行いだけでなく、言動や心情までもがカルマの対象となり、因果の道理を受けて将来に繰り返されるという教えです。

「業が深い」と「罪深い」との違いとは?

「罪深い」は前世の悪行と関係なく、意味も異なる

「罪深い」とは「罪となる行為を何度も重ねて行うこと」という意味の形容詞です。「業が深い」が前世の悪行の報いという意味から転じて「欲深い」や「運が悪い」という意味に対して、「罪深い」は前世の悪行とは関係がなく、また「欲深い」や「運が悪い」という意味もありません。

2つの言葉とも「深い」という言葉が使われていることから混合されやすいのですが、深さの意味合いが異なります。「業が深い」の深さとは欲が強いことであり、「罪深い」は繰り返される悪行による罪が重さのことです。

「業が深い」の使い方と例文とは?

「業が深い」は悪い意味で使われる

「欲深い」や「運が悪い」という意味なので、「業が深い」はいい状況で使われることはありません。悪いことや不運な出来事が続いているような状況で使われます。

「業が深い」と本人が気づいていても他人に言われると傷つく人もいますので、「業が深い」を使う場合は相手の立場も考えて使うようにしましょう。

例文:
「悪いことばかりが起きているのは業が深いからかも。でもいつまでも続くわけではないから落ち込まないで」

「業は深い」は述語を修飾

「○○さんは業は深い」のように、「業は深い」は述語を修飾する言葉です。一方、体言を修飾する場合には、「業は深い」の「は」を「の」に変えて、「業の深い」にします。

例文:
「佐藤さんは業は深い」
「彼は業の深い顔つきをしている」

「業の深い人」の特徴は”欲深い人”

「業が深い」の使い方のひとつに、「業の深い人」という言い方があります。「業の深い人」は男女問わず使われますが、その意味は性別によって多少変わります。

男性に対して「業の深い人」を使った場合は、お金に執着する人や威張ってばかりいるような人のことを指し、女性を指して「業の深い人」と使うと、ブランド品のような「物に執着する人」や「嫉妬深い人」という意味があります。

「欲深い」「運が悪い」の意味も誤用ではない

「業が深い」の意味は「欲が深い」や「運が悪い」というのが、現代での「業が深い」の使い方です。

「業が深い」の本来の意味である「報いを受ける」とは意味や使い方が異なるため、「欲が深い」や「運が悪い」という意味で使うと間違いだと理解されることがあります。しかし現在では「業が深い」を「欲が深い」や「運が悪い」という意味で使うことも受け入れられているので、誤用でないことを知っておきましょう。

「業が深い」の類語と対義語とは?

類語①「罰が当たる」は”悪事の報い”という意味

「業が深い」の類語には「悪事の報い」という意味の「罰が当たる」があります。「罰」とは、神や仏が人の悪事を懲らしめることという意味で、「たたり」とも言い換えられます。

「業が深い」との違いは、「業が深い」は前世の悪い行いの報いという意味ですが、「罰が当たる」は前世の行いは関係なく、自ら行った悪事について報いを受けるという意味です。自分の意志で悪行を行ったかどうかに違いがあります。

類語②「強欲な」は”強い欲求があるさま”という意味

「強欲な」は欲深いという意味で「飽きることを知らないほどの欲求」という意味です。ただ「業が深い」よりも「強欲な」の方が直接的な表現なため、欲への欲求という意味合いが強くなります。

対義語「果報」は”よいめぐりあわせ”のこと

「果報(かほう)」は「業が深い」の対義語で、「業が深い」のように前世の行いの報いという意味もあるのですが、さまざまな行いの中でも「いい行いの報い」として使われることが多い言葉です。ことわざに「果報は寝て待て」とあるように、「果報」は「幸運」や「よいめぐりあわせ」という意味でよく使われます。

「業が深い」の英語表現とは?

「業が深い」は英語で”greedy”

「欲が深い」という意味の英語表現は“greedy”です。金銭や物、権力まで何でも欲しがるさまという意味があります。

例文:
“She is greedy ”「彼女は業が深い」
“He is a selfish and greedy person.”「彼は自己中心的で欲深い人」

「運が悪い」という意味なら”unlucky”

「業が深い」を運が悪いという意味で使うのなら、英語ではカタカナ語にもなっている“unlucky”(アンラッキ-)です。「うまくいかない」や「残念な」という意味もあります。

例文:“He is unlucky.”「彼は業が深い」

まとめ

「業が深い」は現代では「欲深い」や「運が悪い」という意味で使われることが多い言葉ですが、本来の意味である「前世の悪行の報いを受けること」という意味もなくなったわけではないので、それぞれの意味を教養として覚えておきましょう。

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「難解なワードでもわかりやすく」をモットーに、常識ワードからビジネス用語、時には文化・アート系など、幅広く記事を書かせていただいています。ドイツ在住で2児の母。好きな食べ物はビターチョコレートとナッツ類。