「高い身分と低い身分」を意味する「貴賎」という言葉。「職業に貴賎なし」という言い回しを、耳にしたことがあるのではないでしょうか?「貴賎の正しい意味を知りたい」や「使い方を知りたい」という方に向けて、「貴賎」の意味や使い方、類語を紹介します。例文も併せて紹介しているため、ぜひ参考にしてください。
「貴賎」とは?
「貴賎」の意味は”高い身分と低い身分”
「貴賎」の意味は、“高い身分と低い身分・貴(とうと)いことと卑(いや)しいこと”です。「大小」や「強弱」のように、それぞれの漢字が反対の意味をもっており、「貴」は「身分の高さや貴さ」を、「賎」は「身分の低さや卑しさ」を意味しています。
「貴賎」の読み方は”きせん”
「貴賎」の読み方は、“きせん”です。「貴賎」は、他にも「貴賤」と表記することがあります。「賎」の旧字体が「賤」であり、意味に違いはありません。
「職業に貴賎なし」とは仕事の平等さを意味する
「職業に貴賎なし」とは、「それぞれの仕事に価値はあり、どの職業も貴いもの」を意味する言葉です。仕事の内容や雇用形態、賃金に関係なくどのような仕事にも、同等の価値があることを表しています。
「職業に貴賎なし」の他にも、「○○に貴賎なし」という表現はあり、例えば「命に貴賎なし」だと「命の平等さ」を表す言葉となります。
「貴賎」の使い方と例文とは?
「貴賎○○」のように熟語を加えて使う
「高い身分と低い身分」または、「貴いことと卑しいこと」を意味する「貴賎」という言葉。「貴賎○○」や「○○貴賎」のように、前後に熟語をつけて使用します。
例えば、「老若貴賎(ろうにゃくきせん)」という言葉だと、「若者や年長者、身分の低い人や高い人」を意味しており、「全ての人」を表す言葉として使われます。
「全ての人」を意味する「貴賎都鄙」
「貴賎」の使い方の1つに、「貴賎都鄙(きせんとひ)」があります。「都鄙」とは、「都会と田舎」を意味する言葉で、「老若貴賎」と同じく「全て」を表しています。例えば、「貴賎都鄙問わず、愛された人物」という例文。
上記の例文は「身分や住んでいる地に関係なく、愛された人物」「全ての人に愛された人物」という意味になります。また、四字熟語を2つ繋げた「老若男女貴賎都鄙(ろうにゃくなんにょきせんとひ)」という言葉もあり、「全ての人」を強調した表現となります。
「身分の高低」を強調した「貴賎上下」
「貴賎上下(きせんじょうげ)」とは、「高い身分の人と低い身分の人」または「全ての人」を意味します。意味としては「貴賎」と同じですが、似た意味の「上下」をつけることで、更に強調した表現になります。
「きせんじょうげ」と読む以外に、「きせんしょうか」とも読むため、状況に応じて使用しましょう。
「身分差のある結婚」を意味する「貴賎結婚」
「貴賎結婚」とは、「社会的・法的身分に大きな差がある人物同士の結婚」を意味します。「卑賎結婚(ひせんけっこん)」や、国によっては「左手婚」とも言われています。
優劣をつけることの「貴賎をつける」
「貴賎をつける」とは、「対象となるものの価値に優劣をつけること」を意味しています。「○○に貴賎をつける」という使い方をし、「○○」の部分は優劣をつける対象の言葉が当てはまります。
例えば、「芸術に貴賎をつけるのは間違いだ」という文章。例文では「芸術はどれも価値のあるもので、優劣をつけることは間違い」ということを表しています。
「貴賎」を使った例文
「貴賎」を使った例文をご紹介しましょう。
- 「職業に貴賎なし」とは言うが、日本も江戸時代までさかのぼると職業に貴賎はあった
- 生き方によって、人生は良くも悪くもなるのだから、やはり人生には貴賎がある
「貴賎」の類語とは?
「高い身分と低い身分」を意味する「尊卑」
「貴賎」の類語には、「高い身分と低い身分」を意味する「尊卑」が当てはまります。読み方は「そんぴ」であり、「そんひ」ではないため注意しましょう。「貴賎」と同じく、それぞれ反対の意味を持つ「尊い」と「卑しい」が組み合わさった言葉です。
例えば「職業に貴賎なし」という文章に、「尊卑」を入れて「職業に尊卑なし」と表現することもできるため、状況に応じて使用しましょう。
「優れていることと劣っていること」を表す「優劣」
「優れていることと劣っていること」を意味する「優劣」も、「貴賎」の類語です。「貴賎」の「身分や価値の差」を表している点と、「優劣」の「物事や能力、品質の良し悪し」を表している点から、類語に当てはまります。
「貴賎」の英語表現とは?
「貴賎」は英語で”all ranks”
英語で「貴賎」を表す場合、「全ての階級」を意味する「all ranks」が当てはまります。「高い低い」を意味する「high and low」も、「貴賎」を意味する単語なのですが、一般的には「あちこち」や「あらゆる場所に」という意味で使われているため、注意しましょう。
まとめ
「高い身分と低い身分」や、「貴いことと卑しいこと」を意味する「貴賎」という言葉。「職業に貴賎なし」や「貴賎をつける」などの使い方をします。類語には「貴賎」と同じ意味の「尊卑」や、「優れていることと劣っていること」を意味する「優劣」が当てはまります。状況に応じて、類語に言い換えてみましょう。