「気兼ねなく」は「遠慮なく」という意味でビジネスシーンでもよく使われる表現ですが、尊敬語としてどのように使うのかご存知ですか。
今回は「気兼ねなく」の意味と使い方、敬語表現や類語を例文とあわせて解説します。また英語表現も紹介しますので、ビジネスにお役立てください。

「気兼ねなく」の意味とは?

「気兼ねなく」の意味は”気軽に・遠慮なく”
「気兼ねなく」の意味は、“気軽に・遠慮なく”です。他人を気遣った表現です。
「気兼ね」は「遠慮」を意味していて、他人に配慮して気を使うことを指しています。遠慮する気持ちを、否定を意味する助動詞「ない」で打ち消して「遠慮なく」という言葉が成り立ちます。したがって「気兼ねなく」は相手が遠慮することなく話してほしい、振舞ってほしいという時に使われます。
「気兼ねなく」の使い方と例文とは?

動詞と組み合わせる使い方
「気兼ねなく」は動詞と組み合わせることで、相手に遠慮しないでほしいという配慮ある表現になります。尊敬語の動詞とも組み合わせることができ、例文は次のようになります。
- 「気兼ねなくおっしゃってください」
- 「気兼ねなくお申しつけください」
- 「気兼ねなく言ってください」
- 「気兼ねなくご相談ください」
- 「気兼ねなくご連絡ください」
- 「気兼ねなく話せる上司」
- 「気兼ねなく入れる店なので楽でいい」
- 「気兼ねなく聞いてください」
名詞と組み合わせた使い方
気を使わなくてもいい相手、遠慮のいらない人間関係を説明する場合に、「気兼ねなく」は名詞と結びついた使い方がよくされます。「気兼ねなく」を「気兼ねない」と語尾変化させて、名詞を続けます。
「気兼ねない」を使えるような相手とは、遠慮がいらないだけでなく、気を許しているような仲のいい関係が築かれています。例文は次の通りです。
- 「気兼ねない人」
- 「気兼ねない友人」
- 「気兼ねない仲」
- 「気兼ねない上司と同僚」
「気兼ねなく」の敬語表現とは?

ビジネスシーンでもよく使われる「気兼ねなく」という言葉ですが、「気兼ねなく」の敬語表現を知っておくと、上司や目上の人にも使えて便利です。
「気兼ねなく」の敬語”お気兼ねなく”
「気兼ねなく」に敬意を表す接頭語の「お」をつけることで「お気兼ねなく」とすると、丁寧な表現になります。「お気兼ねなく」に「~ください」を文尾に続けた使い方がよく使われて、目上の人にも使える丁寧な表現になります。
ただし上司によっては尊敬語を多用することでかしこまりすぎるので嫌がることがありますので、そのような相手には尊敬表現ではなく「気兼ねなく」を使っても構いません。相手との距離感によって、「気兼ねなく」と「お気兼ねなく」を使い分けましょう。
「お気兼ねなく~してください」は手紙やメールで使われる
「お気兼ねなく~してください」というフレーズは口語だけでなく、手紙やメールでの書き言葉としても使われます。読み手を配慮しながら敬意を表すことのできる便利な表現です。
「お気兼ねなく」を使った例文
「お気兼ねなく」を使った例文をご紹介しましょう。
- 「お気兼ねなくおっしゃってください」
- 「もしもお気づきのことがありましたら、お気兼ねなくご質問されてください」
- 「ご馳走というほどのものは用意できませんが、お気兼ねなくおいでください」
「気兼ねなく」の類語とは?

「気兼ねなく」にはたくさんの類語がありますので、ここでは日常会話からビジネスシーンまでよく使われる類語を紹介します。
「遠慮なく」は相手や自分にも使える「気兼ねなく」の同義語
「遠慮なく」は相手に言動や行動を控えめにすることなく、自由にしてくれて構わないという相手を気遣う表現です。また自分が自由にさせてもらうという状況でも使われる言葉です。
例文:
「遠慮なくお召し上がりください」
「遠慮なくいただきます」
「遠慮なく」に接頭語の「ご」をつけた「ご遠慮なく」で、相手に敬意を表した使い方もできます。
例文:
「ご遠慮なくおっしゃってください」
「気軽に」は「気兼ねなく」よりも砕けた表現
「気軽に」は「気兼ねなく」の類語で「気を楽にして」や「物事を深く考えすぎずに」という意味です。「気兼ねなく」よりもやわらかい表現になり、目上の人でも親しい間柄ならば使うことができます。
「気楽に」では砕けすぎていると感じられるならば、「お気楽に」と尊敬の意味を表す接頭語「お」をつけることで敬語表現にもなります。
例文:
「気軽に話せる間柄」
「いつでもお気軽にお申し付けください」
「心置きなく」なら安心感も与えらる
「心置きなく」は「遠慮せずに」や「心配をせずに」という意味の言い回しです。また「安心して」という意味もあり、「気兼ねなく」の類語の中でも相手を落ち着かせるといった作用もある言葉です。
例文:
「心置きなくお話しください」
「気兼ねなく~してください」の英語表現とは?

英語で「not hesitate to do」
「気兼ねなく~してください」という言い回しには英語で「not hesitate to do」というフレーズがよく使われます。「hesitate」は「躊躇する」や「遠慮する」という意味の動詞を「not」で打ち消すことで、「気兼ねなく~する」という意味になります。
例文:
“Please do not hesitate to contact with me.”
「気兼ねなく連絡ください」
“He is a person with whom I don’t hesitate to talk.”
「気兼ねなく話せる」
“Don’t hesitate ask me, please.”
「気兼ねなく質問してください」
まとめ
「気兼ねなく」は「気軽に」や「遠慮なく」という意味で、相手を気遣った表現です。接頭語の「お」を付けた「お気兼ねなく」は尊敬表現で、「気兼ねなく」を同じくビジネスシーンでもよく使われます。