「おしなべて(押しなべて)」とは、「大体」や「一様に」という意味の言葉。日本では古語として古くから使われてきた歴史ある言葉です。近年では「すべからく」と混同している人も多いため、正しく意味を理解し、使い分けできることが望ましいでしょう。
この記事では、「おしなべて」の意味や古語の用法、語源、使い方と類語を紹介します。英語表現も併せて解説しましょう。
「おしなべて」とは?
「おしなべて(押しなべて)」の意味は”同様に・大体”
「おしなべて」の意味は、“同様に・大体”です。大体の傾向を表す状況で使われます。例えば、「今年の営業功績はおしなべて良好だ」という例文。上記の例文では、「全体を見ると大体の功績が良好だ」という意味になります。
古語では「普通である様子」を意味する
「おしなべて」は古語として、古くから使われていた言葉です。現代と同じく「同様に」という意味でも使われていましたが、「普通に」「人並みに」という意味でも使われていました。普通である様子を意味する場合は、助詞の「の」を加えた「おしなべての」という表現が適しています。
「おしなべて」は方言ではなく共通語
普段耳にしない方からすると、方言と捉えられることもある「おしなべて」という言葉。しかし「おしなべて」は方言ではなく共通語です。辞書に記載されており、ビジネスシーンでも使用される言葉であるため覚えておきましょう。
「おしなべて」の語源とは?
語源は「全体を同じように並べる」様子の”押し並べて”
「おしなべて」の語源は漢字表現にあります。「おしなべて」を漢字にすると「押し並べて」になり、「隙間なく敷き詰め、全体を同じように並べる」様子を表しています。上記の理由から「おしなべて」は、「同様に」や「大体」という意味で使われるようになりました。
「おしなべて」の使い方と例文とは?
「おしなべて」は全体の状態を表すときに使う
「同様に」や「大体」を意味する「おしなべて」は、全体の状態を表すときに使われます。「おしなべて○○だ」や「おしなべて○○ではない」などの使い方をします。例えば、「今年の作物はおしなべて豊作だ」という例文。
上記の例文の場合、「今年の作物は全体的に豊作だ」という意味になります。
全体の中に「反対のもの」がある場合には使えない
「「おしなべて」は、「全体」のなかに反対のものや共通しないものがある場合には不適切となります。また、全体をおおまかに表す言葉であるため、詳細を伝えたい場合にも適していないので注意しましょう。
「おしなべて(押しなべて)」を使った例文
「おしなべて(押しなべて」)を使った例文をご紹介しましょう。
- 景気が良くないからなのか、商店街ではおしなべて閑古鳥が鳴いている
- 彼の処女作は押しなべて良い評価をもらっている
「おしなべて」の類語とは?
「すべからく」は全く意味が違うため注意
古語であり、現代でも使われる「すべからく」という言葉。「すべからく」から「すべて」が連想できることから、「おしなべて」と混同されることがあるのですが、意味が全く違うため注意しましょう。
「すべからく」は「当然」や「本来ならば」を意味しています。「大体」や「同様に」という意味はないため、混同しないようにしましょう。
「おしなべて」の類語は”あまねく・概して・大体”
「おしなべて」の類語には、”全体的に、広く行き渡る”を意味する「あまねく」が当てはまります。同じ「全体的に」を意味するのですが、2つの言葉には違いがあります。「おしなべて」が「物事の大体の傾向」を表しているのに対し、「あまねく」は「物事が広範囲に及んでいる様子」を表しています。
また、「概して」や「大体」という言葉に置き換えることもできます。「概して」や「大体」の方が伝わりやすい場合もあるため、状況に応じて使用しましょう。
「おしなべて」の英語表現とは?
「おしなべて」は英語で”generally”
「おしなべて」の英語表現には、”概して”や”全体に”を意味する「generally」が当てはまります。例えば「generally good」だと、「おしなべて良好だ」という意味になります。また、「On the whole」も”概して”や”全体として”を意味するため、状況に応じて使用しましょう。
まとめ
「大体」や「同様に」を意味する「おしなべて」という言葉。全体の傾向を表す状況で、「おしなべて○○だ」などの使い方をします。類語には「全体的に、広く行き渡る」を意味する「あまねく」が当てはまります。類語ではあるものの、少なからず違いがあるため注意しましょう。また、「概して」や「一様に」も類語に該当するため、状況に応じて使用してください。