「一応」の意味とは?敬語・類語や「一様」との違いも例文で解説

「一応」は「ひととおり」といった意味の言葉ですが、いい加減な印象があり敬語と併せて使うことができるのでしょうか。また「一様」など似たような言葉も多い「一応」について、意味と使い方、類語や敬語、英語表現などを例文とともに解説します。ビジネスシーンでも相手に失礼にならないような言葉の使い方を覚えてみませんか。

「一応」とは?

「一応」の意味は”ひととおり”

「一応」の意味は、“ひととおり”です。「十分とは言えないが、最低条件を満たしているさま」という意味の名詞で、大切なことはおさえられているものの、完ぺきではないという状況で使われます。「ひととおり」や「ひとわたり」という言葉で言い換えられように副詞的に使われます。

例:「一応準備はできた」

「一応」のもう一つの意味”念のため”

「一応」には“念のため”という意味もあります。ほぼそれでいいと思われるが確認するといった状況で使われて、「とりあえず」や「ひとまず」とも言い換えられます。

例:「一応ミスがないが書類には目を通しておく」

「一往」と書くこともできる

「いちおう」という言葉は、本来は漢字で「一往」と書かれていました。その意味は、「一度行くこと」または「はじめて行くこと」です。また副詞的に使われて、「一応」のように「ひととおり」や「念のため」という意味があります。

ただし副詞的に使われるときは、「一応」と書かれることが多いです。

「一応」の使い方と例文とは?

「十分ではないがダメでもない」という状況で使う

「一応」は「十分または完璧とは言えないもののダメとはいけない」といった状況で使われます。必要最低限の条件は満たしているという状況で使われるので、受け取り方次第で「一応」はポジティブにもネガティブな意味合いにもなります。

例文:
「まだ完璧ではないが、一応はでき上った。これで何とか明日のプレゼンはできるだろう」
「一応の準備はしておいたが、不安が残る。でも他に何を準備すべきなのか優先順位がつけられない」
「一応完成したので、上司に見せて意見を聞こう」

「念のため」という意味で使う

問題はないはずだが確認のために何かを行うときに使われる「一応」には、「念のため」や「とりあえず」という意味があります。使い方によっては相手のことを信頼していないように聞こえることがありますので、注意が必要です。

例文:
「一応スケジュールが正しいかどうかもう一度確認させてもらうよ」
「ミスがあるといけないから、一応読み直してください」
「雨が降ると天気予報ではいってなかったけれど、一応傘は持って行った方がいい」

敬語表現なら「一応」ではなく「念のため」

「一応」にはいい加減というニュアンスが含まれているのであまりいい印象を与えないことがあり、敬語表現と合わせて使うのに向かない言葉です。。

「一応」の意味は「最低限の条件は満たしていること」ですから、最低限のことはやっていると解釈できる一方で、完ぺきには満たないとも言えます。上司に対して「一応やっておきました」などと報告すれば、「適当にやった」ととらえられることもあるでしょう。

敬語が必要とされるシーンではネガティブに受け取られないような言葉遣いも大切です。「一応」の代わりに「念のため」を使うことでいい加減といったニュアンスがなくなるので、敬語とは「一応」よりも「念のため」を使うことをお勧めします。

「一応」の類語とは?

「一応」の類語①”とりあえず”

とりあえず」とは「ほかのことはおいておき、まず先に」や「まず第一に」という意味です。漢字で「取り敢えず」と書くこともできます。

「とりあえず」が使われるのは、行われるべき出来事の一部を先行して何かを行うときであるのに対して、「一応」には優先的に何かをするという意味はありません。

例文:
「遅れそうなので、とりあえず電話はしておく」
「医療器具はなかったが、とりあえず応急処置はしておいた」

「一応」の類語②”一通り”

一通り」(ひととおり)は「始めから終わりまでざっと」という意味です。「一通り」は物事の全体をとらえている言葉ですが、「一応」のような満たすべき条件の最低条件といった制約がない点で違います。

例文:
「一通り読ませてもらった」
「治療方法は一通りやってみたので、後は様子を見よう」

「一応」の類語③”さしあたり”

さしあたり」は「今のところ」や「当面」という意味の言葉で、漢字で「差し当たり」と書くこともできます。「さしあたり」は「一応」のように全体の一部を指しているのに対して、「さしあたり」は「今」という時間に着目しています。

例文:
「これだけあれば、さしあたりは間に合うだろう」
「さしあたり今日必要な分だけを買うことに決めた」

「一応」と「一様」の違いとは?

「一様」とは「全部同じこと」の意味で、使い方も異なる

「一様」(いちよう)は、「全部同じこと」または「よくありふれていること」という意味です。「全員一様に頭を下げた」や「それぞれ個性があって一様ではない」のように使います。

「一応」と「一様」は発音が似ていて聞き間違えやすいのですが、意味は違う言葉ですので、文脈からどちらの言葉を使っているのかを考えるようにしましょう。

「一応」の英語表現とは?

「一応」は英語で「somewhat」や「just in case」

「最低限には」や「大体は」という意味の「一応」なら英語では「somewhat」や「to some extent」です。「多少」や「ある程度は」とも訳される言葉で、あいまいさを表しています。

「念のため」という意味なら、「just in case」がよく使われて、日常会話からビジネスまでよく使われるフレーズです。

例文:
“Our work has progressed somewhat.”
「私たちの仕事は一応前進した」
“Just in case, I’ll check the documents again.”
「一応、資料をもう一度チェックするよ」

まとめ

「一応」とは最低限の条件は満たしているが十分ではないという意味の「ひととおり」と、「念のため」という意味で使われます。状況に応じて使い分けられるので、文脈からどちらの意味で使われているのか判断しましょう。

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「難解なワードでもわかりやすく」をモットーに、常識ワードからビジネス用語、時には文化・アート系など、幅広く記事を書かせていただいています。ドイツ在住で2児の母。好きな食べ物はビターチョコレートとナッツ類。