「会社都合退職」とは?5つの理由とデメリット・失業保険も解説

「会社都合退職」と聞くと、経営状況の悪化で退社勧告を受けるケースを想像する方が多いかもしれませんが、実はそのような理由だけではありません。近年ではいじめやパワハラ、残業代の未払いといった例も見られます。

今回は「会社都合退職」のパターンを5つの理由別で紹介し、メリット・デメリット、「自己都合退職」との違い、失業保険の受給要件についても解説しています。

「会社都合退職」とは?【5つの理由別で解説】

「会社都合退職」とは、リストラや倒産など会社側の一方的な都合で、労働者との雇用契約を解除することです。

倒産・大量の人事削減(リストラ)の場合

企業が経営困難に陥り倒産した場合、また悪化した経営状態から改善を見込み、大量の人事削減を行った場合です。

正当な理由で解雇になった場合

自己責任に帰し、会社に対し大きな損害を与えたり、トラブルを引き起こしたことによる正当な解雇の場合です。会社の資産を悪質に流用したり、顧客に多大な迷惑をかけたなど、会社に対して汚名をきせた場合や顧客損失などを含みます。

残業代や賃金未払い、また勤務条件が契約と著しく異なる場合

賃金が未払いが続いたり、労働場所、職種、賃金などの労働条件が、契約提携時と大幅に異なっていた場合です。たとえば、営業職で契約を締結したにも関わらず、人事に配属された場合、また残業代が何年も未払いになっているなどのケースに当てはまります。

会社から退職奨励を受けた場合

早期退職優遇制度をのぞき、会社からむやみに退職をするように勧められたり、またそのような状況を促すケースです。自分の意思とは異なり、無理やり退職奨励を受けた場合に該当します。

上司や同僚からいじめやパワハラなどを受けた場合

職場の上司や同僚などからいじめや、パワハラなどのハラスメントを受けた場合、周囲の嫌がらせなどにより心身的な理由で退職を余儀なくされた場合です。

「会社都合退職」のメリットとは?

メリットは「失業保険の支給が早く、支給期間も最大330日」

「会社都合退職」のメリットとして社員が好意的に受け止めたい点は、退職した後に受給する「失業保険」の支給が早いこと、また期間が長いことです。

一般的には自己都合で退職した場合、失業保険が下りるまで「3か月」という制限がありますが、一方で、会社都合退職の場合は制限を設けておらず、ハローワークで適切な申請を行えば、向こう7日間という短い待機期間のみで、失業保険を受給することができます。また給付日数も長く、自己都合退職が最大で150日であるのに対し、会社都合退職の場合は最大で330日の保険を受給することも可能です。

退職後にさまざまな理由で費用がかかることもあるでしょう。今まで給料をコンスタントにもらっていた生活から、一転して「ゼロ」になってしまうという不安も抱える必要がありません。お金が全てではありませんが、子供がいたり、自宅や車などの大型ローンを組んでいる人なら、なおさら実際的な問題として失業保険が支給されるスピードは見逃せません。

「会社都合退職」のデメリットは?

社員側のデメリットは「面接での質問が一気に増える」

それでは「会社都合退職」のデメリットとは一体何でしょうか?「会社都合退職」のデメリットは、転職活動や復帰時の就職活動で、面接官とのインタビューの際に「会社都合退職」が真っ先に目に留まってしまうことでしょう。その際「会社都合退職」の理由や、そうなった背景を正直に面接官に説明しなければなりません。

会社都合退職にはさまざまな理由があります。たとえば「会社倒産」や「会社合併」、また「経営悪化による人員削減」など、会社に非がある場合はそれほど根掘り葉掘り聞かれることはありませんが、「解雇」の場合は前社でのトラブルの有無や内容を聞かれることが大方予想されます。

企業側のデメリットは「助成金」がもらえなくなること

企業側のデメリットとして、「自己都合退職」でない場合は「助成金」がもらえなくなってしまう点が挙げられます。実は、国が企業に対して支給する雇用・労働に関する助成金には「6か月以内に会社都合退職者がいると受け取ることができない」というルールがあります。そのため、実際には会社都合にも関わらず、自己都合退職を促される社員もいるケースがあるようです。

「会社都合退職」と「自己都合退職」の違いとは?

「自己都合退職」は自己が希望して退職に至る場合

「自己都合退職」とは言葉通り、自分の意思で、自分が希望して会社を退職するケースを指します。一般的に多いのは自己都合退職で、主な理由としては結婚や転居、また両親の介護や自己の病気療養などがあります。

現在、日本では働き方改革が大々的に推進されていますが、育児休暇の取得が実際的に難しい場合もあるでしょう。企業風土や企業の人事的な特徴なども、育児休暇の取得を難しくしてしまう理由の一つですが、一旦、キャリアに区切りをつけ、出産や育児に専念するかたちで退職するケースもあります。

「転職」は自己都合退職の大きな理由の一つ

「転職」は「自己都合退職」の大きな理由の一つです。自分で未来につながる企業を見つけ、夢を実現するために「働く場所を変える」という決断は自己責任となるため、おのずと「自己都合退職」というカタチとなります。

まとめ

「会社都合退職」には倒産やリストラを筆頭に大きく分けて5つの範囲があり、そのどれかに該当する場合にのみ当てはまる退職のカタチとなります。対極にある「自己都合地職」とはメリット・デメリット共に異なりますが、今後の就職活動や失業保険の支給スピードに影響してくることを理解しておくことが大切です。

また「会社都合退職」でありながら「自都合退職」を勧められ場合もパニックにならないようにすべきです。自分にとって正当な選択をしっかりするようにして心を強く持つようにして下さい。