「拘り」の意味とは?2つの読み方と使い方例文・言い換えも解説

「拘り」には2つの読み方と意味があります。どちらも馴染みのある言葉ですが、漢字で「拘り」と書かれると途端にわからなくなるものです。今回は「拘り」という言葉の意味や使い方、類義語などについて解説します。「拘りたい」「強い拘り」などよく使われる表現も例文と一緒にご紹介します。ぜひ参考にしてください。

「拘り」の意味と漢字の読み方

「拘り(こだわり)」の意味は”自分にとっての意義”

「拘り」の意味は、“自分にとっての意義”です。自分や誰かが、何かに意義を感じていること自体を「拘り」と表現することができるのです。この場合読み方は“こだわり”となります。

この「拘り」が意味する「意義」は、誰もに共通するものである必要はなく、あくまでもその人にとっての「意義」を指します。

「拘り(かかわり)」の意味は”こだわって関係する”

「拘り」を「かかわり」と読む場合、一見「拘り(こだわり)から意味が離れるような印象を持つ人は多いででしょう。しかし「拘り(かかわり)」も、人が人や物事について「拘り(こだわり)を持つことでかかわって行く」という意味です。

つまり「拘り(かかわり)」も「拘り(こだわり)」がなければ、生まれない現象ということになります。

「拘う(かかずらう)」の意味は”面倒なことにとらわれる”

「拘り」という言葉の送り仮名を「う」に変えると、また別の意味を持つ言葉になります。「拘う」は「かかずらう」です。

「拘う(かかずらう)」とは、人が面倒と感じる人や物事に捕らわれてしまうことを意味します。「拘う」は「面倒事にかかわる」と同じ意味で使えるので、「また拘うことになった」などとすることもできます。

「拘り」の読み方は”こだわり・かかわり”

「拘り」という言葉には2つの読み方があります。ひとつは「こだわり」、もうひとつは「かかわり」です。

「拘」という漢字は「とらえる」「つかまえる」という意味があります。その意味から派生した読み方が「こだわり」「かかわり」です。

「拘り」の使い方と例文とは?

「強い拘りを持つ」「拘りが強い」は人の特性を表す

「拘り」を「こだわり」と読む場合、比較的頻繁に使われる表現がいくつかあります。その中の「強い拘りを持つ」「拘りが強い」などは、その人の性格や特性を表す言い方です。

「強い拘りを持つ」とは、その人自身がその物事や人に対して、自分なりの強い意義を持つことを示します。「拘りが強い」も同様で、その物事に意義を強く持っていることを指しています。

  • 「彼は仕事で使うスーツに強い拘りを持つ人で、すべてオーダーメイドしているそうだ」
  • 「課長は部下の積極性に対して拘りが強く、積極性がない部下は仕事ができないと決めつけるところがある」

「拘りたい」「拘りません」は人の要望を表す

「拘り」を使った表現の中には「拘りたい」「拘りません」などもあります。どちらもその人が、その物事や人に対して強く希望することがあるかどうかということを表します。

「拘りたい」とは、その人がその物事や人に対して、強い意義を持っていたいという意味です。反対に「拘りません」とは、その物事や人に対して、特に強い意義を感じておらず、取りたてて希望や要望がない様子を表します。

  • 「私はビジネスを行う上で、相手とのコミュニケーションの質に拘りたいと常日頃から思っています」
  • 「彼はおおらかな性格で、他人の過去の失敗には拘りません」

「拘りませず」は「かかわらず」の敬語

「拘り」を使った表現の中には、日常であまり耳にしない表現もあります。それは「拘りませず(かかわりませず)」です。「拘りませず」には「(そのことに)かかわらず」という意味があります。

たとえば、相手が忙しい中時間を割いてくれたときなどに、「ご多忙にもかかわらずお越しいただきありがとうございます」などと言いますが、このときの「かかわらず」を「拘りませず」と表現することができます。

しかし「拘わりませず」は日常的に使われる表現ではありませんし、人によってはバカ丁寧で反対に失礼なのではないか、と判断することも多いようです。

  • 「このような失態をしたにも拘わりませず、温かいお言葉をいただき大変恐縮しております」
  • 「私から言い出したにも拘わりませず、お伺いできなくなり申し訳ございません」

「拘り」の言い換えに使える類義語とは?

「拘り(こだわり)」の類語は「固執」

「拘り(こだわり)」を言い換える類語には、その物事にかかわって拘るという意味の「固執(こしつ)」があります。

「固執」は古くは「こしゅう」と読まれていたことがあり、現代でも「こしゅう」は間違いではありません。しかし一般的には「こしつ」と読まれます。

「固執」とは、その物事や人に対して強い意義を感じ、頑として譲らない様子を表しています。「拘り(こだわり)」が持つ「自分にとっての意義」がさらに強くなった様子を表す言葉です。

「彼女は成績に固執している」「彼が固執している上司の考えはかなり偏っているようだ」などと使い、「固執」という言葉を使うことで、その人が周囲の言葉を聞き入れないほどに、強い意義を感じて拘っている様子を表します。

「拘り(かかわり)」の類語は「執着」

「拘り(かかわり)」を言い換える類語はいくつかあります。中でも使いやすい言葉は「執着(しゅうちゃく)」です。

「執着」とは、その人が何かに強い拘りを持っていることを表します。「拘り」よりも意義を感じる気持ちが強く、その物事や人に気持ちや体が惹きつけられて離れられないようなニュアンスです。

「彼はトップセールスを獲ることに執着している」「彼女は美に執着している」などと使い、そのことに強い意義を感じて自らかかわっていく様子を表します。

「拘り」の英語表現とは?

「拘り」は英語で「particular」

「拘り(こだわり)」を英語で表現する場合は、「特別な」という意味の単語を使います。それは「particular」です。

「particular」は、複数の方補の中から「特にこれが」「格別に」と感じる気持ちを表します。「拘り」が持つ「強い意義」と似たニュアンスを持つ言葉であるため、日本語の「拘り」を表す場面で使うことができる言葉です。

  • 「He’s very particular about his hair style.(彼は自分のヘアスタイルに拘りを持っている)」

まとめ

「拘り」という言葉は、日常で「こだわり」「かかわり」など比較的頻繁に使われています。どちらも何気なく使っている言葉ですが、こうして意味をじっくり見てみると、自分が持っている「こだわり」や何かについての「かかわり」に対する自分の気持ちがわかるでのはないでしょうか。ぜひ今後は「拘り」という言葉を意識的に使ってみてください。