「胡乱」の意味や語源とは?使い方とあわせて類語・対義語も解説

真実味に欠け怪しいというニュアンスで使われる「胡乱」という言葉。読み方はもとより、言葉の意味や使い方について正しく理解している人は少ないのではないでしょうか?実際、日常的にあまり見聞きすることはありませんが、文学的な表現としてビジネスでも使われることがあります。

今回は「胡乱」の語源と意味をはじめ、使い方と例文、類語と対義語を解説していきましょう。



「胡乱」の意味や語源とは?

早速、「胡乱」の読み方、語源、意味から解説します。

「胡乱」の読み方は「うろん」

「胡乱」は「うろん」と読みます。「胡乱」は、言葉自体を知っていないと読み方が難しい言葉の一つかもしれません。

「胡乱」の意味は「怪しく疑わしいこと」

「胡乱」の意味は「怪しく疑わしいこと」です。ものごとや状況、人物の正体などが怪しく、ものごとが不確実で不誠実な様子を表し、確かではなく、真実かどうか疑心暗鬼なことを指す言葉です。

また「胡乱」は、表現や字体などが乱雑で無秩序、ごちゃごちゃとし雑然としているという併せ持っています。

「胡乱」は騎馬民族の中国攻撃で「慌てふためき乱れた」ことから

「胡乱」とは、もともと室町時代に禅宗を通して中国から伝えられた言葉です。

言葉が生まれたそもそもの背景は、モンゴルで威勢を放った「胡(えびす)」と呼ばれる遊牧騎馬民族(名を匈奴(きょうど)という)が中国に攻撃を仕掛けた時に、その地に住む住人が血相を変えて逃げ回り、乱れたことから生まれたと言われています。

もともと「胡乱」の「胡(う)」は一般的に外国や異民族を表し、中国では北西方の存在すると言われる未開民族を指す言葉ですが、その他に「不審」や「でたらめ」、「筋が通らない」などの意味も持ちます。そして「乱」は「乱れる」の意味の他に「秩序がない」というニュアンスのあるため、次で説明する「胡乱」の意味となったわけです。

「胡乱」の使い方と例文

それでは「胡乱」の意味を把握したところで、正しい使い方と例文を挙げてみましょう。あまり聞きなれない言葉ですが、日常でもビジネスでも活用できる便利な言葉です。ぜひ、ご自身の文章に取り入れてみて下さい。

「胡乱」は「胡散臭いこと」の意味で使われる

会話の中で「この話は、何だか胡散臭い(うさんくさい)」と言ったりしないでしょうか?「胡乱」も「胡散」も「でたらめ」という意味を持つ「胡」を使った言葉ですが、言ってみれば「胡散臭い」とはまさに「胡乱」のことでもあります。つまり、両方とも真実味がなく、いかがわしいことを指す言葉なのです。

「胡散臭い」は口語的で、日常的のごくありふれた会話の中でも自然に出てくる表現ですが、「胡乱」はどちらかと言えば文学的でトーン的にやや硬い感じがするでしょう。しかし、同じ意味を表す言葉なら、状況に合わせて使い方もマスターしておくべきです。

「胡乱げ」は「胡乱」の派生語として使われる

「胡乱げ」は「胡乱」から生まれた派生語で、形容動詞として使われる言葉です。「胡散げ」は胡散臭い気配がすること、またでたらめで不確かな雰囲気である様子を指し、「何だか怪しげな」「素性の疑わしい」という意味でも使われます。

「胡乱」「胡乱げ」を使った例文

  • 真実味のない話ばかりする担当者に、上司は「全く胡乱な奴だ」と愚痴をこぼした。
  • 胡乱な人物であるだけに、営業でどのようにアプローチすれば途方にくれてしまった。
  • 「胡乱者!」と隣村の佐助が非難した。
  • この店は何だか胡乱げな雰囲気がするから、すぐに出よう。
  • 深夜の社内で何やら物音が…。胡乱げな気配を感じざるを得なかった。
  • 彼女の胡乱げな表情に、腹の中に企む何かが見えた。

「胡乱」の類語と対義語は?

最後に「胡乱」の類語と対義語を解説します。

「胡乱」の類語は「覚束ない」「訝しげに」

「胡乱」の持つ不確かで不誠実、あやふやという意味を考えると、類語にあたるのは「覚束ない(おぼつかない)」や「訝しげ(いぶかしげ)」が挙げられます。

「覚束ない」とは不確かで心細いこと、頼りないことを意味し、また「いぶかしげ」は不審に思う様子や疑わしいことを指す言葉ですが、どちらも「怪しい」「疑わしい」というニュアンスが満面に広がる表現であることが理解できるでしょう。たとえば、以下のように言い換えをすることができます。

胡乱な表情で私を見つめた。
覚束ない表情で私を見つめた。

胡乱な人物を目撃した。
訝しげな人物を目撃した。

「胡乱」の対義語は「明白な」「確実な」

一方、「胡乱」の対義語となるのは、定かである、明らかであると意味を持つ「明白な」や「確実な」となります。どちらも確固たるもの、正体が明らかであるもの、何の疑いもないものを表す言葉で、疑念がなく確実で歴然とする様子を指しています。しかし、文脈によって適切な表現を考える必要がありますので、言葉の選び方には気を付けるようにして下さい。

たとえば、「胡乱な人物」の反対なら「正体が明らかである人物」、また「胡乱な雰囲気」なら「確固とした雰囲気」などになります。

まとめ

人は情報や正体が不明朗で不確かな時に「不審」な気持ちを抱くものですが、疑いを抱くようなあいまいなことを「胡乱」と言います。「胡乱」の「胡」には「でたらめ」という意味がありますが、もともとは中国の未開民族を指す言葉で、モンゴルの遊牧騎馬民族が中国の平和を脅かした乱の際、中国の住民が慌てふためいた逃げ回ったことに由来しています。

使い方のポイントは「胡散臭い」という意味と同じように使われる点と、「疑わしく怪しげななことに対して使われる表現であるということです。ぜひ、意味と使い方をマスターして会話に異なる印象を加えてみましょう。

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某私立大経営学部卒、大手旅行会社、商社を経て、豪州へ移住。米国PCメーカーのカスタマー部に勤務後、カンガルーやエミューのいるNSW州の片田舎で生活を開始。田舎暮らしをきっかけにフリーランス(ライター・翻訳)に転身し現在に至る。趣味はゴルフ、料理、ローカルとのゴシップ、キャンプ。