「恩着せがましい」の意味とは?使い方の例文と類語表現も解説

「恩着せがましい」とは、相手に対して感謝を促す態度をとること。相手のために「してやった」と言わんばかりの言動を行うことで、ネガティブな意味合いとして使われる場合がほとんどです。今回は「恩着せがましい」の言葉の意味について解説し、使い方の例文を紹介します。

「恩着せがましい」とは?

「恩着せがましい」の意味は”感謝しろと言いたげな態度をとる”

「恩着せがましい」の意味は、“感謝しろと言いたげな態度をとること”です。相手が自ら「恩を受けた」と感じるのではなく、相手に対して「感謝」を促すような言葉や態度を示すことを表した言葉です。したがって、ネガティブな使い方をすることが一般的です。

「恩に着せる」と「がましい」が組み合わさった言葉

「恩着せがましい」と言う言葉を分解すると、「恩に着せる」と「がましい」の2つに分かれます。それぞれの言葉の意味を理解すると、「恩着せがましい」の意味がより理解することができます。

「恩に着せる」の意味

「恩に着せる」とは、「相手にありがたく思わせようとする」ことを意味しています。それほどたいしことをしていないにも関わらず、「やってやった」と言わんばかりに振る舞い、相手の感謝を求めることを表した言葉です。

「恩に着せる」ではなく「恩を着せる」という使い方を見かけることもありますが、「恩に着せる」が本来は正しい表現であるとされています。また「恩を掛ける」(おんをかける)という言葉は、「恩に着せる」と同じ意味を持っています。

「がましい」の意味

「がましい」という言葉は、名詞や動詞の連用形の後につけて「○○がましい」と使う接尾辞です。「○○の様子だ」「○○のように見える」との意味で使います。したがって「押し付けがましい」や「恨みがましい」は、それぞれ「いかにも押し付けているようだ」「いかにも恨んでいるようだ」の意味の言葉となります。

「がましい」の言葉は、ネガティブな意味合いで使われる場合がほとんどです。しかし、「晴れがましい」などポジティブな場合で使う場合もあります。

「恩着せがましい人」とは”恩着せがましい態度の人”の意味

「恩着せがましい人」とは、「恩着せがましい」の意味の通り「相手に感謝しろと言いたげな態度をとる人」のことです。恩着せがましい人の行動には特徴があり、「褒められたい」「認められたい」「見返りが欲しい」などさまざまな心理に基づいていると考えられます。相手が「恩着せがましい」行動をとるときの特徴を見極め心理を理解することが、「恩着せがましい人」への対処法につながります。

「恩着せがましい」を使った例文とは?

「恩着せがましい」と言う言葉は、「恩着せがましい○○」と使うことが多い言葉です。○○には人称代名詞が入る他、「態度」「振る舞い」や「こと」などの名詞が入ります。

「恩着せがましい男」の例文

  • ここまできたのは俺のおかげだと言わんばかりの社長の言葉はもう聞き飽きた。恩着せがましい男は、うっとうしいものだ。
  • 恩着せがましい男は嫌われるから気をつけた方がいいよ。

「恩着せがましい彼氏」を使った例文

  • 恩着せがましい彼氏とは、付き合っていても気持ちが休まらない。

「恩着せがましい夫」を使った例文

  • 恩着せがましい夫いわく、嫁姑関係が円満なのも夫のおかげだそうだ。
  • 恩着せがましい夫の性格を、この歳になってから直すことは難しいだろう。
  • 少しばかり家事を手伝ったからといって恩着せがましい夫に、うんざりするやら腹立たしいやらだ。

「恩着せがましい親」の例文

  • いくら貧しいからと言っても、親が子を養うのは当たり前のことではないだろうか。そんなことさえ恩着せがましい親に自分は絶対なるまいと思った。

「恩着せがましい○○」の例文

  • 悪気がないとは思うが、義母の恩着せがましい態度にもほとほと困ったものだ。
  • 感謝の気持ちはすでに十分示しているのに、ことさらに恩着せがましいことを言わなくてもいいのにと思う。

「恩着せがましい」の類語と類似表現とは?

“恩着せがましい”の類語①「恩がましい」

「恩がましい」(おんがましい)と言う言葉は、「恩着せがましい」に比べると聞く機会の少ない言葉ですが、同じ意味を持った言い換え表現です。「恩がましい○○」「恩がましく思う」などと使います。

“恩着せがましい”の類語②「親切の押し売り」

「親切の押し売り」(しんせつのおしうり)は、相手が望んでいないにも関わらず自分が良かれと思った行為を行うことです。「親切を押し付けること」を意味しています。相手が望んでいるわけではないという点から、「恩着せがましい」と似た意味合いとなります。

「恩」を使ったことわざ・慣用句

「恩を着せる」の類似表現となる「恩」を使ったことわざと慣用句を紹介します。いずれも「恩着せがましい」とは異なる意味を持ちます。

「恩を仇で返す」の意味

「恩を仇で返す」(おんをあだでかえす)とは、ネガティブな意味合いの言葉です。恩を受けたことを感謝するどころか、反対に相手が損になるような害を与える行動をすることを意味しています。

「仇を恩で報いる」の意味

「仇を恩で報いる」(あだをおんでむくいる)は、「恩を仇で返す」と逆の意味合いの言葉です。相手に恨みを持っているにも関わらず、恩を与える行動を行います。

「親の恩より義理の恩」の意味

「親の恩より義理の恩」(おやのおんよりぎりのおん)とは、親に育ててもらった恩より、世話をかけた相手に報いるほうが先であることを意味します。「義理」とは義母などではなく、親以外の他人をさしています。

「恩着せがましい」の英語表現とは?

「恩着せがましい」は英語で”patronizing”

「恩着せがましい」を英語で表現する場合は、「patronizing」が適しています。「patronizing」は動詞「patronize」の現在分詞で、「恩着せ顔の」「恩人ぶった」を意味する言葉です。したがって日本語の「恩着せがましい」とほぼ同じ意味を持っていると言えます。

まとめ

「恩着せがましい」は、「感謝しろと言いたげな態度をとる」の意味を持つ、ネガティブなニュアンスを持つ言葉です。本来であれば「恩」や「親切」は見返りを求めて行うものではないはず。自分自身にはそのつもりがなくても「恩着せがましい人」と思われないように、言動には気をつけたいものです。