「どうもどうも」や「どうも〇〇です」など何気なく使っている「どうも」は、挨拶時や満足のいかない様子を表したりする時に使う言葉です。敬語のように使われることもありますが、その用法は正しくありません。今回は「どうも」の正しい使い方の解説、そして意味や語源、使い方の例文・類語を詳しく説明していきます。
「どうも」の意味や語源とは?
「どうも」の意味は”気楽な挨拶・満足できない気持ち”
「どうも」の意味は、”気楽な挨拶・満足できない気持ち・深い感謝や謝罪”です。大きく分けると以下の5つの意味があります。
- 「どうもこんにちは」や「昨日はどうも」のような気楽な挨拶、またはお礼
- 「どうも納得できない」など、いろいろと考えたり試しても満足できない気持ち
- 「どうも雨らしい」など、理由や根拠があいまいな状態で推測する気持ち
- 「どうも彼が苦手らしい」など、物事の理由や原因がはっきりとわかっていない気持ち
- 「どうもありがとう」など、深い感謝や謝罪の気持ち
語源は「言葉で表せない程の感動」
そんな「どうも」の語源は、江戸時代にできた「どうも言えぬ」という言葉だと言われています。この「どうも言えぬ」は“言葉にできない程の感動”を表した言葉で、当時「どうも言えぬ味」や「どうも言えぬ景色」、「どうも言えぬ気持ち」などといった風に使われていたそうです。
明治時代からは「どうも」へと省略され、“とても”や“すごい”など、「どうも」に続く言葉を強調するものとして使われるようになりました。この時代から使われ始めた謝意を表す「どうもありがとう」などのフレーズから次第に用途が増え、「どうもお世話になりました」などにも使われるようになったされています。
「どうも」の使い方と例文とは?
副詞である「どうも」は動詞などと使う
気軽な挨拶として「どうも」と単体で使われることがありますが、実は文法上正しくありません。なぜなら、「どうも」は動詞・形容詞を修飾する副詞だからです。
そのため「どうも」を使うときは必ず、その後に動詞・形容詞が続かなければいけません。挨拶として使う場合は「どうも」で終わらせず、「どうもこんにちは」など最後まで言い切ることで正しい表現になります。
「どうも」は敬語として使えない
「どうも」は敬語表現と間違われることがありますが、今ほど説明したように副詞なのでもちろん敬語ではありません。意味に「気軽な挨拶」とあるようにカジュアルな印象の強い言葉ですので、ビジネスシーンや目上の相手に使うと軽い印象を与えてしまいます。そのため、かしこまった場面では別の強調言葉「誠に」を使う方が良いでしょう。
「どうも」の用法例と例文
<気軽な挨拶で使う場合>
- 「どうもこんばんは」
- 「先日はどうも」
<満足できない気持ちを表す場合>
- 「今日はどうもうまくいかない」
- 「あの結果にはどうも納得いかない」
<漠然と推測する気持ちを表す場合>
- 「あの噂はどうも本当らしい」
- 「明日はどうも台風が来るらしい」
<原因がはっきりとわかっていない気持ちを表す場合>
- 「今日はどうも調子が出ない」
- 「どうもこの分野だけは好きになれない」
<深い感謝や謝罪の気持ちを表す場合>
- 「どうもありがとうございました」
- 「どう失礼いたしました」
「どうも」の類語とは?
気軽な挨拶を意味する類語は「やあ」
気軽な挨拶を意味する類語なら、話し言葉でよく使われる「やあ」という言葉があります。「やあ」は「どうも」よりもカジュアルな印象が強い言葉なので、近しい間柄や仲のいい仲間内だけで使うようにしましょう。
感謝の気持ちを表す類語は「ありがとう」
感謝の気持ちを表す類語には、日常語として頻繁に使う「ありがとう」が挙げられます。「どうも」と違い、「ありがとう」は単体で使っても文法上間違いではありません。また「ありがとうございます」とすれば、丁寧語としてビジネスシーンや目上の方に使うこともできます。
「どうも」の英語表現とは?
「どうも」の英語表現は「hello」「hi」
気軽な挨拶としての「どうも」を英語表現する場合は、“こんにちは”や“やあ”を意味する「hello」や「hi」を使うといいでしょう。「hi」の方がカジュアルな印象が強めです。
- “Hello, John.”
→「どうも、ジョン」
- “Hi, there.”
→「どうも、みんな」
感謝の気持ちを表すなら「thanks」
感謝の気持ちを表す「どうも」を英語表現するなら、“ありがとう”を意味する「thanks」が適切です。「thank you」よりもカジュアルさがあるので、かしこまった場面ではなく、家族や友人など近しい間柄で使うようにしょう。
まとめ
日常的によく使っている「どうも」は、“気軽な挨拶”や“深い感謝・謝罪の気持ち”など5つの意味を持っている言葉です。「どうも」は副詞なため、文法上では単体で使うことは間違いとされています。
また敬語でもないため、ビジネスシーンや目上の方に用いるのはあまりオススメもできません。「どうも」は正しい使い方をしないと、使う相手に失礼な言葉をかけることになりますので注意しましょう。