「記 以上」の使い方とは?書き方やセットで覚えるべき言葉も解説

「記 以上」は、パーティーの案内状や問い合わせ先に送る見積書などのフォーマルな文書によく使われる言葉です。たくさんの情報を簡潔に相手に伝えることができる、ビジネスシーンでは必須の言葉です。今回はこの「記 以上」の使い方や読み方、また具体的な書き方やセットで覚えるべき言葉・英語表現まで詳しく解説していきます。

「記 以上」とは?

「記 以上」とは”伝達事項を簡潔に伝える時に使う言葉”

「記 以上」とは、伝達事項を簡潔に伝えるために“箇条書き”にして伝える時に使う言葉です。フォーマルな文書や書類などによく用いられる「記書き(きかき)」という書式の中で使われます。文章で伝えるよりも、重要事項が一目でわかりやすくなります。

公文書では「記 以上」の使用が決まっている

国の機関や役所などが作成する公文書では、必要に応じて「記書き」の書式をとるよう決められています。公文書には重要事項の記載が多いため、できるだけ簡潔に、尚且つわかりやすく情報を提示することが求められています。

「記 以上」の使い方とは?

「記 以上」の基本的な使い方

「記 以上」を使うときは、以下の「記書き」のルールに従います。

  1. 文書の最初には挨拶やどんな用件かを記載し、その後いったん文章を完結させる
  2. 文章を完結した後、「記」と記載する
  3. 「記」と記載した後に、伝達事項を箇条書きで列記する
  4. 最後に「以上」を記載して終わらせる
【「記 以上」の使い方】

件名

  1. 時候や感謝の挨拶、要件、結語
  2.  記
  3. 伝達事項を箇条書き
  4. 以上

「記」は中央、「以上」は右端の位置に書く

書き方の注意点としては、「記」は中央揃え、「以上」は右端揃えの位置に必ず表記することです。それぞれ一行あけることも忘れずに。「以上」は、「以_上」と間に一文字分の空白を入れることでより文書の見栄えが良くなります。

ほかの文字より大きめに書く

文字の大きさについては厳密なルールはありません。しかし、文章に使う文字よりも少し大きめに表記することでより見やすくなります。文字サイズを変更できそうなら取り入れるといいでしょう。

「記 以上」を使う際の注意点とは?

複数枚に「記 以上」は使用不可

「記 以上」は、1枚目で終わるような文書・書類に使うという決まりがあるため、2枚目に続くような複数枚の文書や書類に使うことはできません。「記 以上」を使っても用紙が2枚以上になってしまうなら、別の方法で多めの情報を簡潔にまとめる必要があります。書類などの文書は、1枚におさまるくらいの情報量であることが好ましいです。

「記 以上」の後は追記できない

原則、「記 以上」の後は追記はしないと形式的に決められています。ビジネス書類やプライベート文書なら必要に応じて多少追記することはありますが、公文書ではそれができません。

国が発行するような公式文書で追記状況が起こった場合は、初めから書き直しましょう。それがマナーでもあります。伝達事項のほかに自分の伝えたいことを文章に記載したいなら、「記 以上」を使う前の段階で挨拶文などと一緒に書き伝えておくことが必要です。

メールでは「記 以上」は使用しない

厳密に決められているわけではありませんが、基本的に「記 以上」はメール上では使用しません。なぜなら、メール文ではすでに箇条書きなど簡潔に伝達するような形式をとることが多いからです。決して“パソコンで作成した文章では使わない”ということではないので、間違えて解釈しないように。ちなみに手書きで作成した文書でも「記 以上」は使用できます。

“以上なし”の書き方はできない

記書きの書式を用いる場合、必ず箇条書きの後に「以上」と記載しなければなりません。「以上」がない場合は、文書を受け取る相手に“2枚目に続くのではないか”と勘違いさせてしまいます。「以上」には、“本題はこれで終わりです”という意味を示す役割があるので記載漏れがないよう注意しましょう。

「記 以上」とセットで覚えるべき言葉とは?

ビジネス文書で使う「拝啓」と「敬具」

「拝啓(はいけい)」や「敬具(けいぐ)」は、「記 以上」と同じようにビジネス文書などによく用いられる言葉です。

“謹んで申し上げます”という意味を持つ「拝啓」は、「頭語」と呼ばれる決まり文句のようなもので、フォーマルな文書の書き出しに用いられます。「記 以上」を使用する場合は「記」の後に一行改行しますが、「拝啓」の場合は一文字だけあけて文章を続けます。

「敬語」は、“謹んで申し上げました”という意味を持つ「結語」です。文書の最後に、再度相手に敬意を示す言葉として用いられます。頭語や結語には他にもさまざまな言葉がありますが、「拝啓」の対の結語は「敬具」と決まっているのでセットで覚えておきましょう。

「記 以上」とセットで使う「下記のとおり」

「下記のとおり」も「記 以上」と同じように、情報量の多い文書を簡潔に伝わりやすくする言葉です。意味は文字のままで「下に記載したとおり」で、「下記のとおり」のあとに伝達事項を続けます。ビジネス文書に用いる場合は、「記 以上」とセットで使うようにしましょう。「記」以降に記載する情報により注意が向けられるようになります。

【書き方の具体例】

懇親会を下記のとおり開催いたします。

日程:△月△日(△)
集合場所:〇〇ビル2階
集合時間:午後7時

以上

「記 以上」の英語表現とは?

「記 以上」に該当する英語表現はない

実は、「記 以上」に該当する英語表現はありません。「記」と「以上」それぞれの単語ならありますが、「記」と「以上」が対になっているような英語表現は英文書や手紙には存在しません。

「記」は”notice”、「以上」は”end of document”

「記」と「以上」に分けて翻訳するなら、「記」は”注目“や”注意“という意味を持つ「notice」、「以上」は”文書・書類の終わり”という意味を表す「end of document」が適切です。「end of document」の代わりに“一区切り”や終わり“を表す「period」で〆ることもできますが、フォーマルな文書などにはむかないの表現なので使用はオススメしません。

まとめ

「記 以上」は、情報量の多い文書や書類を簡潔にわかりやすくするために使われる「記書き」という書式に使われる言葉です。ビジネスやフォーマルなシーンでよく使われます。「記 以上」の表記位置や追記ができないなど形式的にいくつか使用ルールがあるので、慣れていない方は十分注意して使いましょう。