「叡智」の意味や使い方は?「英知」との違いや類語・対義語も解説

「叡智の結集」や「人類の叡智」などのフレーズで聞かれる「叡智(えいち)」ですが、その意味がわからないまま聞き流してはいませんか。

今回は「叡智」について、漢字の持つ意味から「叡知」の意味を解説します。また「叡智」の例文とともに使い方を説明し、「知恵」や「知識」などの類語や対義語、さらに英語表現も紹介します。

「叡智」の意味とは?

「叡智」の意味は「深遠な道理をわかるほどの優れた才知」

「叡智」の読み方は「えいち」です。意味は「物事に秘められた深い道理がわかるほどの優れた才能や知恵」のことです。物事の本質を見抜くほどの研ぎ澄まされた才能や知恵のことを指し、時には人類の枠を超えて、自然や神などの人類の叡智を持っても計り知れないような才知に対しても使われます。

ちなみに、叡智はラテン語で「sapientia」、ギリシャ語で「σοφία(ソフィア)」と書きます。

「叡」と「知」はどちらも「賢さ」を表す漢字

「叡智」の「叡」という漢字は画数も多く難しい漢字のひとつですが、「賢い」という意味です。

「叡」という字は、複数の漢字や意味を持つ形などを組み合わせて作った会意文字です。「叡」の場合、「賢い」という意味を引き出す「谷」と、洞察力のある「目」の象形が含まれてます。この二つの象形から「深い谷を見通すほどの物事を深く見る目」、つまり「賢い」という意味が生まれました。

「智(ち)」という漢字は、「ものごとをよく知り、わきまえている」という意味で、戦術に優れた将の「智将(ちしょう)」などにも使われます。

「叡知」の使い方と例文

「優れた才能や知性がある」ときに使う

人や物に対して、優れた才能や知性があると思われるときに「叡智」が使われます。人並よりも格段に優れた才能や知性のある人のことを「叡智」と言い表したり、人の理解が及ばないほどの驚異を感じられる自然、または神のように超越した存在にも「叡智」という言葉が使われます。

言い換えれば「叡智」は、ちょっと人よりも賢いと感じられる程度では使わない言葉です。

「叡智」を使った例文

  • 「この業界をけん引してきた彼こそ、叡知の人と呼んでふさわしい」
  • 「叡知を集めて取り組んだ研究の成果を発表する」
  • 「この壮大な哲学的理念こそ、叡知の結晶である」
  • 「叡知が結集されて望むプロジェクトに期待が募る」
  • 「多くの人の命を救う医学は人類の叡知だ」
  • 「環境に適応して進化を遂げる動植物に、自然の叡知を感じる」
  • 「祈ることで病から救われた。まさに神の叡知だ」

「叡智」の類語

「英知」は「優れた才能や知性のある人」に限定している

「英知(えいち)」は主に「優れた才能や知性もを持つ人」という意味に限定して使われます。「英知」の「英」には「優れている」という意味と同時に、「秀でた人」のことも指すからです。

「英知」という使い慣れた漢字が使われている上に言葉の意味も伝わりやすいため、「英知」はよく使われます。

「叡知」は「叡智」の代字を使った表記

「えいち」の「ち」に「知る」という漢字が当てられて「叡知」と書かれることがありますが、これは「智」の代字として「知」が使われた一例です。「智」を置き換えて「知」が使われることは多く、「叡知」もそれにならっています。「叡知」の意味は「叡智」と同じ意味です。

「知恵」は「道理を判断して物事を処理する能力」

「叡知」の類語として「知恵」も挙げられますが、「知恵」の意味は「物事の道理を見極めて適切に処理する能力」のことです。

「叡智」とは「物事の道理をみとおす能力や知性」という意味で同義ですが、「知恵」はそこからさらに推し進めて「叡智を使い応用して、人のためになることをする」という行動も加わってきます。

「知識」は「知っていることとその内容」

「知識」は「ある事柄を知っている、またはその内容」としての意味がよく使われていますが、「知恵」の意味もあります。そのため「叡智」の意味とほぼ同義とも考えられますが、「知識」は「ある事柄を知っている」という意味で使われることが多いため、「知識」と「叡智」は類語ですが違う言葉として理解されることが多いです。

「叡智」の対義語は?

「叡智」の対義語は「凡庸」「人並み」

「叡智」の対義語には、人並程度の才能や能力という意味の言葉が挙げられます。「凡庸」(ぼんよう)や「凡智」(ぼんち)、「人並み」や「月並み」という言葉です。

また「大部分で共通しているため特殊ではない」という意味から「一般的」という言葉も、「叡智」の対義語として使われます。

「叡知」の英語表現

「叡智」は英語で「wisdom」

「叡智」の英訳は「wisdom」で、「wisdom」は賢明や知恵とも訳されてます。その人の持つ知識や経験、聡明な判断能力などの意味も含まれます。

例文:
“a man of wisdom”
「叡智の人」
“Concentrating wisdom brings to our success.”
「叡智の終結こそ成功を招く」

まとめ

「叡智」とは「物事の深遠な道理をわかるほどの才能や知性」という意味で、そうした能力を持つ人のことも指します。類語も多い「叡知」は難しい言葉のひとつですから、その意味をしっかりと理解して相手に伝わる別の表現も同時に理解しておくのがいいでしょう。

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「難解なワードでもわかりやすく」をモットーに、常識ワードからビジネス用語、時には文化・アート系など、幅広く記事を書かせていただいています。ドイツ在住で2児の母。好きな食べ物はビターチョコレートとナッツ類。